堀尾からの強烈なひと言と胸肉ジュース

【写真】前列左から3人目が堀尾、後列左から2人目が谷川
――そこから一気にゴールインまで行くわけですが、決め手は何でしたか?
谷川 2つ理由があって。ひとつめは家庭的じゃないんだろうなと、ウーバーばかりしているんだろうなってイメージだったんですが、めちゃ家庭的で。その頃、僕は75kgからまたヘビー級でやるために増量していて、ご飯を1日8回くらい食べていたんです。それを嫌な顔ひとつせず作ってくれたんですね。ふたつめは、10月の無差別級トーナメントアジア予選が決まった時に、練習へ行く前に“死ぬ気で頑張って来るわ”と言ったら「なんでお前が死ぬんだ、殺す気でやって来い!」ってケツをパーンと叩かれて。これはすげぇやと思って。それが決め手です(笑)」
――勇ましいですね!
堀尾 気は強い方でして(笑)。
――その時の増量食とはどんなものだったんですか?
堀尾 胸肉ジュースです。
――なんですか、それは…。
堀尾 胸肉をミキサーにかけて、カレー粉で味付けをするってレシピがあるんですけれど、それを主に飲んでいましたね。
谷川 名前を聞いて“うぇっ”と思ったかもしれないですけれど、思ったよりも不味くはないです。美味くもないですけれど(笑)。ちょうどその頃、トレーナーが変わって山田崇太郎さんに見てもらうようになったんですね。そうしたら山田さんが、身体をデカくするなら無駄なく食べた方がいいからプロテインよりもそれにしましょうと言って。(堀尾が)作って、たまに味見してましたよ。
堀尾 どうせなら美味しい方がいいかなと思って。

【写真】K-1ガールズ時代の堀尾(C)K-1
――格闘家の奥様になることで、覚悟のようなものはなかったですか?
堀尾 それ、凄い聞かれるんですけれど、覚悟って感じで一緒になったわけではなくて、それよりも私自身が芸能畑で夢を追いかけてきた人間なので、同じように格闘技の世界で夢を追いかけている姿は素敵だなって思うし、それを傍で支えられるっていうのはいいなって気持ちで。だから覚悟みたいな悲壮感はなくて、ハッピーです。
――でも、試合に送り出す時に無事に帰って来るのかなっていちいち心配しないといけないですし、健康面や体調管理も常に気を配らないといけないですし、格闘家の奥様って凄く大変だなって思うんですが。
堀尾 私を味方に付けたなら勝ち組だな、くらいの感じでいます(笑)。大丈夫、大丈夫って。
谷川 これ、本当に言いましたからね。「私を倒したんだから誰でも勝てる」って言われました。
――スーパーポジティブですね!
堀尾 でも、無意識にそう思うようにしてるんだと思います。心配っていうマインドになってしまったら、重量級なんて特に心配要素が多いと思うので、そういう風に思わないように自分の中でポジティブに変換しているのだと思います。
谷川 「しっかり勝って来い!」って感じです。
――格闘家の妻に向いてますね。
谷川 そうなんですよ。頑張ってね、とかではなく、勝って来い、パーン!って感じなので。
――会場で応援しているんですか?
堀尾 はい、会場で。
――怖くはならないですか?
堀尾 いつも楽しく見させていただいています。
――完全に向いてます!
谷川 もし逆だったら僕は嫌だなあ。
――恋愛感情は別として、好きなK-1ファイターはいたんですか?
堀尾 私、元々RISEのラウンドガールもしていて、その時からずっと“ブラックパンサー”ベイノア選手推しだったんです。だからK-1ガールズのオーディションを受ける際も他の格闘家のことをあまり知らなくて、推しの選手は誰ですかって聞かれた時に他の子はK-1ファイターの名前を言っていたんですが、私だけ「“ブラックパンサー”ベイノア選手です」って(笑)。
堀尾 それでも通していただけたのでありがたいなって思っています。
谷川 失礼極まりないですね(笑)。
――ベイノア選手ですか。面白さは通じるところがあるかもしれません。
谷川 いやいや、あそこまで振り切っていません(笑)。
――格闘家の妻として何か心がけていることはありますか?
堀尾 何かあるかな?
谷川 僕は昔からそうなんですけれど、練習を家に持ち込みたくないタイプなんです。そういう意味では、疲れて帰って来ても同じように接してくれるので。格闘技を知らないってこともあると思うんですけれど、変に意識してないところがいいというか。僕も変に気を使われた方が嫌ですね。でも、揚げ物とかを僕は気にしないから食べていいよって言ってるんですけれど、我慢してくれているらしくて。
堀尾 無意識ですかね。マインドを格闘家の嫁だから、みたいなことにしたことはないです。
――夫婦喧嘩をしたことはありますか?
谷川 よくお叱りを受けることはあります。ご指導をいただいております。
――どんなご指導を?
谷川 部屋が汚いとか、電気を消せとか。あと僕、ビビりで虫とかがダメで。なんでこんな小さな虫を倒せないんだ、みたいなご指導をいただきます。いつもありがとうございます(笑)。そのうち、ゴン格の表紙を飾っているかもしれないですね。「格闘家の嫁の心構え100」とか。
――いいですねえ。
堀尾 結婚することが決まって、各スポンサーさんに私もご挨拶の同席をさせていただくことが増えたんですけれども、必ず言われるのが「絶対に奥さんを立てろ」と。「自分が悪くなくても謝れ」と。「ごめんなさいとありがとうは絶対に言うべき」と指導を受けていて、そのおかげですぐに謝ってくれます(笑)。だから凄くいい関係でいられます。
――ああ、夫婦円満の秘訣ですね。
谷川 だから喧嘩したことはないですね。一方的にご指導をいただくだけです(笑)。僕も普段は好戦的なタイプではないので、返事は「押忍」か「はい」で。
――そこで押忍が活きるわけですね。
谷川 そうです。押忍の世界でずっと生きてきましたから。






