俺にはMMAで誰も見たことのないムーブがいくつかある。ATTだけで見せている
──勝利おめでとうございます。フィニッシュ近くで、太田選手が投げたときにサバテロ選手が姿勢を変えて、太田選手が頭から突っ込んでダメージがあったようでした。姿勢を変えたことで意図的にダメージを与えたのでしょうか?
「ここ数年ずっと言ってきたんだけど、俺にはMMAで誰も見たことのないムーブがいくつかある。それを知ってるのは、アメリカン・トップチームのチームメイトとコーチだけには見せてきた。相手がポジションの主導権を握ったと思って有利になったぞと油断したときに、それを仕掛けるのだけど、ちょっとヒップをずらして、頭をマットに突き刺すように叩きつける。あの瞬間、相手がフラついたのが見えたからすかさず上に行って一気に仕留めた。
1、2Rでしっかり削って、頭を“やわらかく”しておいたから、3Rでフィニッシュできると分かってたし、そうできた。俺の打撃に押されて、相手はタックルに来たけど、その瞬間、俺の代名詞“サバテロムーブ”が炸裂した。叩きつけて、一気に顔面にラッシュをかけた。目が飛んで顔に血が滲んでたな。その瞬間、俺はケダモノになった。時々、ケージの中でも外でも、俺は獣になるんだ。だから何って感じだ、だって仕留めなきゃいけないから。今回のは、自分の中でもかなりイケてるフィニッシュのひとつに刻まれた」
──マーク・コールマンがリングサイドで大声で応援していましたね。聞こえていましたか? また、励みにはなりましたか?
「いや、本当に最高だった。マーク・コールマンや(アレックス)ペレイラ、イリー(プロハースカ)のような人たちが揃いぶみしていて。それだけ歴史的なイベントだということだし、メチャクチャにクールだと思った、リングサイドで、こういうスーパースターたちが目の前で見てくれてるってだけで、自然と気持ちも高まったから。それでマーク・コールマンがリングサイドで応援してくれてたのを見たとき、“見せてやるぞ”って気持ちがさらに湧いた。数日前にホテルでちょっと話す機会があって話したんだ。ラウンドの合間とか試合中にも、彼にちょっと声かけたし、彼も俺をしっかり応援してくれて、本当に嬉しかった。マーク・コールマンはまちがいなくレジェンドだ。だから最高だった。
今回、自分を応援してくれてる人が本当にたくさんいるのを感じた。もちろん、俺のことをとことん嫌う人もいるってわかっているけど、熱狂的に愛してくれる人もいる。それが俺がリングに持ち込むものというのかな。マーク・コールマンみたいなレジェンドが、俺のためにコーナーで叫んでくれているわけだから。でも同時に、別のスター選手が『お前なんか倒されろ!』って叫んでるかもしれない。だけどそれでいい。俺は良くも悪くも、みんなの感情を引き出したい。RIZINでこれからも、そういう試合をし続けたいと思う」
──井上直樹選手へ挑戦する準備ができているということでしたが、いつがいいと思いますか? RIZINは毎夏もビッグイベントがあり、それは7月あたりなのですが、そこはいかがですか。
「7月なんて遅すぎる。俺は今晩、今すぐここで戦いたい。何も気にしない、RIZINの別の試合が進行中なのも分かってるけど、そんな他の奴らは脇にどかして、俺と井上直樹の試合を今すぐ始めてくれ。待たせないでくれよ、待ちくたびれてるんだ。試合が終わってからすでに1時間経ってるんだぞ? どうなってんだ。俺は今すぐ、あいつの顔をボコボコにしたい。7月? それでもいい。でももっと早ければ、もっといい。ただ俺はとにかく速攻でやりたい。だって、あの美しいRIZINのベルトが欲しいんだよ」
──今日この会場に井上選手はいないようですが、もしいたら、どんな言葉をかけますか。
「言葉なんかかけない。いきなり顔面蹴りだ。そのまま飛びかかってヒジを叩き込みまくる。誰かが止めに入ってもをれを突き飛ばしてまた戻って、ぼこぼこにし続ける。『(日本語で)井上直樹、首を洗って、待っとけ』」
──外国人選手としてスターになるのは簡単じゃないと思いますが、できると思っていますか。
「そう、間違いなく俺はスーパースターになると思ってる。それはオーセンティック、つまり自分らしくいることから始まるんだ。多くの選手は日本とか、他の国に行くと、ファンに合わせようとして、自分のスタイルを変えたりするけど、俺は『ダニー・サバテロ』として戦うというだけ。そういうことなんだ。もちろん、日本人にとってのみんなの緑茶みたいな感じで、全員に好かれるわけじゃないって分かってる。俺を嫌う人もいるだろう。ただ、日本のファンに対しては、敬意以外の何ものもない。本当にずっとそう思っているけど日本のファンは格闘技を本当によく理解してる。会場が静かなときというのも、日本のファンのみんなは技術を分析して観てるんだ。だからこそ、そういう人たちのために素晴らしいショウを見せたいと思わされる。
だから、俺がここに来たってことは、俺がスーパースターになるってこと。俺みたいな存在は他にいないから。試合はエキサイティングだし、リング外でも面白い存在だ。でもすべては勝利し、リングの中で魅せることができてから始まること。フィニッシュ勝利する──それが俺のスタイル。日本のファンが求めてるのも、そういう本物で、口だけじゃダメなんだ。トラッシュトークする奴は多いけど、勝てなきゃ意味がない。俺は勝つ。だからこそトラッシュトークだってする。なぜなら、俺はこの世界で最もハイレベルなバンタム級ファイターで、世界最高のジム、アメリカン・トップチームで誰よりも努力してる。だから何を言おうが、誰も文句は言えない。井上直樹にはなにもできやしないし、言えないだろ。もし何かしてこようもんなら、チョークスラムをかましてサッカーボールキックしてやる」
──今後、堀口選手に日本語を習って磨きをかけていくつもりですか?
「もちろん。自分としては、RIZINと契約したのは日本との契約だからこそ、日本の言葉を学ぶ責任があると感じてる。ここは日本だからこの土地の言葉を理解しようとするのは当然のことだと思う。実際、アメリカン・トップチームには、恭司も倫也、金太郎に、(牛久)絢太郎、それから(元谷)友貴と、日本人選手がたくさんいる。だからこそ、言葉を学びたいって思った。この国のファンたちは、もう俺にとって自分の仲間みたいな存在だから、少しでも日本語を話せるようになって、ちゃんとコミュニケーションを取りたい。流暢に話せるようにはならないかもだけど、それでいいんだ。大事なのは、応援してくれる人とも、あるいは俺を嫌ってる人とも、ちゃんと通じ合えること。
俺の人生は、戦うこと、煽って感情をぶつけ合うこと、そこに懸けてる。だからこそ、日本語でもトラッシュトークしたい。『井上直樹をチョークスラムしてやる』って、ちゃんと日本語で言えるようになりたい。そうすれば、みんなが俺の言葉をちゃんと理解できるだろ? 俺が何者かをちゃんと伝えたいんだ。だから、これからも日本語の勉強は続けていくよ。正直言って、超むずい。日本語は本当に難しい言語だ。俺は語学の才能があるわけじゃないけど、努力はする。絶対にもっと上手くなるつもりだ」






