キックボクシング
レポート

【NJKF】嵐がダウンを奪うも山脇飛翼の猛追に辛勝、立嶋篤史のフェザー級100戦目は前田浩喜に初回KO負け「引退しません」

2025/04/27 22:04
アイピック株式会社PRESENTS NJKF×CHALLENGER 82025年4月27日(日)東京・後楽園ホール ▼第9試合 WBCムエタイ日本統一バンタム級王座決定トーナメント 3分3R延長1R○嵐 (KING gym/NJKFバンタム級王者)判定3-0 ※29-28×2、29-27×山脇飛翼 (K-1 ジム心斎橋チームレパード/K-1甲子園 2019 -55kg王者/RKSバンタム級王者)※嵐が決勝へ進出。  5歳から名門キングジムで練習を開始した嵐は、アマチュアベルトを獲得するなど早くから才能を発揮。2023年11月30日、ラジャダムナンスタジアムにてボディストレートで初回KO勝ち。2024年2月、18歳にして初のタイトルマッチに臨み甲斐元太郎を左ミドルキックでKOして戴冠。4月の桂英慈戦はドローとなった。好戦的でボディブロー、ハイキックと多彩な技と倒せる力を併せ持つのが強みでNJKF関係者からの期待も高いが、2024年8月のイマッド・サヒに2RでKO負け、11月に壱・センチャイジムに判定負けと連敗中。  山脇はK-1甲子園2019 -55kg王者。2020年4月4日のKHAOSでプロデビュー。2023年5月には「第2代Krushフライ級王座決定トーナメント」に出場も準決勝で大鹿統毅に敗れた。K-1グループでは4勝3敗1分。2024年は9月に田中恒星を破りRKSバンタム級王座を奪取、10月にWBCムエタイ日本統一バンタム級ランキング査定試合で志賀将大にヒジでカットしてのTKO勝利、4戦全勝で終えている。K-1ルール出身ながらヒジありキックボクシングルールにも適応したところを見せつけた。  1R、左右カーフと左右ローを蹴っていく山脇。嵐はそのローをもらいながら、左ミドルの蹴り合いから圧を強めていく。コーナーを背にした山脇に右ストレート、左フック、左ボディを当てていった。  2R、圧を強めた嵐は蹴ろうとした山脇の右ストレートを直撃させてダウンを奪う。さらにジャブ、右ストレートを当てていく嵐。山脇はフラつく場面もあり、ダメージが残っている様子。しかし、山脇の右ローで嵐は後退。表情が曇る。ここまでのオープンスコアは20-18×2、20-17で嵐がリード。  3R、右ローを狙い撃ちする山脇に嵐は大きくバランスを崩す。サウスポーになり、パンチで応戦していくが右ローをもらうとダウン寸前も踏みとどまる。組み付き、必死に耐える嵐。山脇のパンチも当たりだし、ピンチに追い込まれた嵐だが最後まで耐え抜き、山脇の追い上げならず。  判定3-0で勝利し、決勝へコマを進めた嵐は「この戦いじゃメインはつとまらない。試合には勝ったけれど勝負には勝ってないです。タイトルを獲ったらもう一度山脇選手とやらせてください」と、トーナメントで優勝したら山脇と再戦したいと話した。 [nextpage] ▼第7試合 フェザー級 3分5R×立嶋篤史 (ASSHI-PROJECT/第11・第13・第15代全日本フェザー級王者)KO 1R 1分56秒 ※左ローキック○前田浩喜 (CORE/NJKFスーパーバンタム級4位)  90年代にカリスマとして低迷期にあったキックボクシング界を盛り上げる立役者となり、52歳となった今も現役を続ける立嶋篤史(ASSHI-PROJECT)が、「フェザー級100戦目」を愛する後楽園ホールで迎えた。  立嶋は1971年12月28日生まれの52歳。1987年8月にタイでプロデビュー(非公式)後、1988年7月に16歳で全日本キックボクシング連盟にてプロデビューした。1991年4月に全日本フェザー級王座を獲得すると、清水隆広、山崎路晃、前田憲作、佐藤孝也、鈴木秀明といったライバルたちと激闘を展開。 【写真】全日本キックの後輩にあたる魔裟斗から花束が贈られた チャモアペット・チョーチャモアン、マイケル・リューファット、ジョンパデットスック・ピサヌラチャン、ピーマイ・オー・ユッタナゴンといった海外の一流選手たちも迎え撃ったが、2000年あたりから黒星が増え始めた。2003年12月には交通事故で重傷を負ったが、2009年9月にカムバック。昭和・平成・令和と3世代を駆け抜け、2023年4月には100戦目に到達した。戦績は42勝(27KO)50敗8分。  今回の101戦目は、立嶋がこだわりを持つフェザー級での100戦目となり(デビュー2戦目だけバンタム級)、本人にとっては真の100戦目という位置づけだ。  前田は2004年8月プロデビューのベテラン選手で、第6代NJKFスーパーバンタム級王者、第8代・第11代NJKFバンタム級王者。サウスポーから繰り出す左の蹴りとストレートを得意としており、2020年2月にはISKAムエタイ・インターコンチネンタル・フェザー級王座にも挑戦した(判定2-1で惜敗)。2021年9月には国崇とのベテラン対決でTKO勝ちしている。2022年2月、大輔に判定勝ちしてNJKFフェザー級王者となり、3階級制覇を達成した。2024年7月にハリィ永田を初回2分55秒でKO、9月に石川直樹に判定負け。  歓声に迎えられて客席から入場した立嶋。往年のファンから「立嶋!」と会場のあちこちから声があがる。  1R、前田は左ローと左インローを蹴り、立嶋は序盤からもらい続ける。立嶋も左ローを蹴り返すがスピードがない。前田は左ミドルと左ハイも見せるが、徹底的に左ロー。  右足にもらった立嶋はしゃがみ込むようにダウンし、立ち上がろうとするが足が言うことをきかない様子。立ち上がることは出来ず、そのまま10カウントを聞いた。  レジェンドに宣言通り圧勝した前田は「自分はずっと立嶋さんの試合を見ていてキックボクシングを始めたので…うーん…感慨深いです。ありがとうございます」と、試合の内容も含めて言葉にならないようだった。  今後のことを聞かれると「自部は3階級制覇しているんですけれど、現在の団体でベルトを巻いていないのでまたベルトを巻きたいです」と、再びNJKFのタイトルを手にしたいと語った。  敗れた立嶋は試合後、控室にてインタビューに答え「本当に悔しいです。(ローキックは)嫌だなと思って何とかしたいと思ったんですが、何とか出来ずに終わりました」と、試合を振り返る。  フェザー級100戦目を達成したことには「とりあえず出来たこと、やれて良かったと思います。それが目標だったので。デビューした時からの、いつか目指して辿り着けるか分からない目標のひとつだったので。結果と試合内容はよくなかったので、それは反省するしかない」とし、「自信にしていいことのひとつだと思うので、胸を張って自信にしたい」と今後の自信にしたいとする。  引退については「しますけれど、言わなくてもいいんじゃないかと思います。立嶋、辞めてたんだ、でいいと思います。はっきり引退を口にするのは、そっち(マスコミ)は気持ちいいかもしれないけれど、こっちが辛いだけなので」と立嶋らしい皮肉を交えて答えた。  今、これからの目標はあるのかと聞かれると「あります。無事に家に帰ることです」と、いつも通り試合会場から千葉の自宅まで走って帰ると笑った。  最後に、セコンドに就いたソムチャーイ高津から「これで引退しますか?」と聞かれると「引退しません」とスッキリとした顔で答えた。
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