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【RIZIN】朝倉未来、原点回帰の「“負ける覚悟”を持って楽しんで試合したい」──鈴木千裕戦は“100%勝つ“、クレベルには「応援してますよ」、大逆転のシナリオとは?

2025/04/27 08:04

世間の評価なんか、これ以上下がることない。だから──

 その鈴木戦を「負ける覚悟を持って楽しんで試合したい」という。

 その想いは、朝倉のRIZINでの戦いの原点回帰ともいえる。2018年8月の『RIZIN.12』で朝倉未来は、RIZINデビュー戦を地元・名古屋で戦った。

「日沖(発)戦のとき、覚えてますよ。足に結構、重大な怪我を負っていて、PRP注射を足首に打ってました。名古屋の試合前、結構プレッシャーすごくて。というのも、今のBreakingDown選手みたいに簡単に出れる場所じゃなかったんですよ。RIZINの枠が少ないし、RIZINに出るってすごいことだった。なおかつ弟(朝倉海)が2連勝してたんですよ。(才賀)紀左衛門とマネル・ケイプに。それより『10倍強い兄貴が来た』みたいな煽りV出されて、ここで負けようもんならもうRIZIN出られないと思ってたんですよ」と、朝倉は重圧にガチガチになっていたという。

「試合前やっぱり控室でめちゃめちゃプレッシャーもあるわけじゃないですか。緊張してたんですけど、RIZIN関係者の人が来て、『社長が“面白い試合したら負けてもまた使うから”って言ってる』って言ったんですよ。それでもうちょっと気が楽になって“やってやろう”ってなったんですよね。それで結果勝ったんで」と、絶対に負けられないプレッシャーを越えて、得意の左ハイキックを迷いなく振り切り、KO勝ちを収めている。


【写真】2018年8月の『RIZIN.12』で日沖発と対戦した朝倉未来。その日沖は2025年4月27日、奇しくも『ROMAN2』で道衣MMAで復帰戦を行う

 RIZINデビュー戦から6年9カ月、朝倉は当時と同じような心境で、「それこそもう“負ける覚悟”を持っていきますよ、今回は」と2連敗で委縮することなく戦うと宣言する。

「もう別に世間の評価なんか下がってるんで、これ以上下がることないじゃないですか。だからなんかこう慎重な戦いをするわけじゃなく、今までやってきたことを全部出します」と、すべてを出し切って戦うと言い切る。

 それは、敗戦も経て、自身の弱点とも向き合った末に掴んだスタイルだという。

「レスリングだったり、寝技の展開になった時に、俺がどんぐらい強いか知るんじゃないですかね、みんな」と、組み技・寝技の強化に自信があるからこそ、打撃も思い切りよく戦えることを示唆した。

 JTTの練習メニューの変化とともに、チームとしての結束力も高まったという。

「練習メニューが変わったというか、引退してからボクシングと柔術が苦手だったんで、それをもう徹底的にやってきたんですけど、寝技はもう毎日ずっと練習してきましたね。もうぶっ続けで1時間とかずっと組み続けてきたんで。そこは5分3R、動き続ける自信はある。あとはスパーリングとかもみんなでして、みんなで意見を出し合うっていうのに変って断結力がすごい、まとまってきたなっていうのがあって。ちょうど今回、JTTから5人出るじゃないですか。結束力が上がって、みんなで勝とう、みたいな気持ちになってます。全勝したいという気持ちが強いです」と、JTTのチームとして勝ちたいとした。

 鈴木の攻撃で一番警戒してる部分を右ストレートではなく「左フックですね」という。

 分析力に定評があるが、「いつも『ファイトIQ、高いですよね』みたいに言われますが、普通にIQ、高いです」と笑うと、「今回、正直、鈴木選手の分析はめちゃめちゃしてきましたね。癖みたいなのも全部。弟(朝倉海)が分析したものも色々聞きました。『鈴木千裕の右は見やすいけど、返しのフックが思ったより伸びてくる』とか、そういう話は何個かもらって」と、「負ける勇気を持って勝ちに行け」の言葉通り、自身の強みを活かすために、相手の分析にも全力で取り組んで万全の体制で臨むつもりだ。

「セコンドは、弟と竹浦(正起)さんとなぜか堀(鉄平)さんが。堀さんの声が結構通るんですよね、高いんで。言ってることはもうメンタル的な部分。打撃に関しては弟が的確なこと言うし、寝技に関しては竹浦さんが言ってくれると思うんで、堀さんはいつも判定で今どっちが取ってるかっていう客観的な視点を持ってる。斎藤(裕)戦のときに弟もみんな俺が勝ってるってラウンド毎に言ってたんで、“このまま行けばいいか”みたいなのがあって、でも堀さんだけは『ちょっと負けてたかもね』みたいな感じで言ってたんで、そういう意見ってすごい大事で」と、チームも原点回帰の部分と、新たなパートを組み合わせた陣営になると明かした。

 東京ドーム大会出場は2回目。初めてのドームは2021年6月のコロナ禍で、フルに観客を入れることは許されていなかった。今回は規制のないなか、大会は開催される。

「前回のさいたま(スーパーアリーナ)もスタジアムモードで4万8000人の観客が来てくれて、格闘技がこんだけ盛り上がって熱を持ってるっていうこと自体が僕は嬉しいです。もう本当にね、僕グスタボ戦で勝って4連勝したのに、総合格闘技の認知度がめちゃめちゃ低くて悔しかったんで。何年か経って、これだけ認知度が増えて熱を持ってるし、一般人が格闘家に対するリスペクトを持ってるじゃないですか。それが嬉しい」と、自身の戦いとYouTuberとしての活動で高めた知名度によって、MMAの認知度と、ファイターへの敬意が高まっているとした。

 5月4日、朝倉未来はMMAに復帰する。その後のことは白紙だが「やりたいこと」は確実に残っているという。

「今後のことは分かんないけど、でもクレベルとやりたいっスね、俺は」と、最初の東京ドーム大会で失神一本負けしたクレベルへのリベンジは、忘れたことはないとした。

 だから、今回、最強挑戦者であるラジャブアリ・シェイドゥラエフと戦う宿敵クレベルの勝利を願っているという。

「応援してますよ、クレベル選手。ボペガーしてもらって、クレベルと次、俺が戦って、俺がボペガーしますわ」と、前王者を倒すことで、一気にタイトルコンテンダーに名乗りを挙げて、クレベルとの対戦を実現したいとした。

 クレベルも大晦日の相手として、朝倉戦を視野に入れている。「俺と戦うとファイトマネー上がるんすか?」と榊原CEOに問いかけた朝倉は、最後に「ついに来週ですか、僕自身もめちゃめちゃ楽しみです。この日に向けてねすごい練習してきたし、自信があるんで、それこそ負ける覚悟を持って、楽しんで試合したいと思います。是非皆さん期待して見てください、楽しんでください」と、大一番に向けて、充実の表情を見せた。

 鈴木千裕、クレベル・コイケ、そして昨年末にラスベガスを訪れた朝倉には、さらに“その先”に大きな野望を抱いている。悲壮感なき復活ロードを進む朝倉は、大逆転の一歩を、黄金週間に踏み出そうとしている。

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