この試合で勝って、日本の講道館に行ってみたい
──12月のシャフカト・ラフモノフとの試合は5Rの終盤でも落ちない動きを見せました。最終Rにラフモノフがシングルレッグを仕掛けてきたときにあなたはバックを奪いボディトライアングルでパーム・トゥ・パームで絞めながら、正対際にツイスターにも行けそうでしたが……。
「ああ、あの時はバックを取ってリアネイキドチョークで極め切りたかったんだ。でもシャフカトはさすがに優秀で、しっかりディフェンスされて、スクランブルの中で崩れちゃった感じさ。やりたいことがうまくできなかったけど、それも含めて経験としてすごく勉強になったよ。今はデミアン・マイアに柔術を見てもらっていて、どんどん成長中だ」
──今回はメインイベント。Cage Warriors以来だったラフモノフとの5ラウンドの経験は、今回の試合でアドバンテージになりますか?
「それは間違いなくプラスになるよ。でも正直なところ、今回は5Rまで行かせたくない。できるだけ早く終わらせたいんだ。僕がそれだけ強いって事をみんなに見せたいしね。
前回の試合後、シャフカトの方がより危険なファイターだと言える人は世界中にほとんどいないと思う。彼が勝ったかもしれないが、彼の方が危険だとは思わない。
そして、今回のプラテスは、シャフカト(ラフモノフ)ほどバランスが良いとも思わないし、MVP(マイケル・ペイジ)ほど速くないから、ぎこちなさを感じるわけでもない。背が高くてリーチが長いから、ある程度ぎこちなさを感じる部分はあるだろうけど、ヤツにはジェフ・ニールのようなスタイル上のイライラ感がない。
だから僕にとって、今回のプラテスとの戦いは、オクタゴンに出て、彼よりはるかにレベルが高いことを十分に示せる機会で、それを実現できることに興奮しているよ」
──現在11連勝中のプラテス選手の過去の試合をみると、前に出ると強いですが、逆にプレッシャーをかけられると苦戦しているように見えました。ガリー選手はこの点についてはどうとらえていますか。
「それ、ほんとその通りだと思うよ。彼は“いじめっ子”タイプなんだ。自分が前に出て主導権を握りたいスタイルなんだ。でも、そうさせない相手とはあんまり戦ってきてないと思う。彼の試合を確認すると、レフェリーに手を上げて『もう終わりだ』と言って、試合を諦めたシーンを見た。あれはカルロス・プラテスの真の姿を見せつけた。厳しい状況になると、彼は諦める。彼が所属するファイティング・ナードは相手を研究してくるだろうけど、俺が試合を諦めたことがないことを知るだろう。土曜の夜、僕は彼が嫌がる状況にどんどん持っていって、彼に諦めるかどうかの選択を迫るよ」
──長い左はストレートとフックを打ち分けてどちらでもフィニュシュし、ガードで顔をブロッキングすると、空いたボディに左のテンカオを打ち込んで来る。同じ位置に立つと危険な相手に、スタンドポジションや角度が重要になりそうですか?
「カルロスは前に出てプレッシャーかけてこなきゃいけないはずだから、僕としては彼が前に来た瞬間を狙って、全力で打ち込むだけ。そしたら、だんだん下がっていくようになると思う。そうなったら、僕のターンだ。スタンドで楽しく崩していくよ」
──プラテスはストライカーですが、彼の組み技のスキルについては、どう見ていますか。
「テイクダウンディフェンスは結構いいと思う。でもグラップリングの本質的な部分は、まだあんまり見えてないし、そこはでっかい“?”って感じ。まぁ、僕としては頭を蹴りたいし、ボディも蹴りたいし、相手の得意なところで勝ちたい。でも組み技・寝技で勝負する展開になっても、全然OKだよ」
──ところであなたのバックグラウンドは、キックと柔道だと思いますが、試合ではオーソからの左のキックも印象的です。
「柔道時代からオーソドックス構えだったけど、左右どちらでも戦えるんだ。好きな技は体落とし。僕、手足が長いから上からガシッと組んで投げるのが好きだった。周りは『リーチも長いから内股でしょ?』って思うみたいだけど、相手がそれを警戒して下がった瞬間に、サッと体落としで落とすのが得意だったね」
──奥襟や袖が無い分、MMAでは難しい部分をアジャストする必要がありますね。
「でも、壁際とかで攻めてる時には結構柔道の投げ技を使ってるよ。それこそ崩しのリアクションのちょっとした際でも。道衣がある柔道と、肌と肌で組むMMAでは全然感覚が違うんだよね。例えば背負いや体落とし、払腰とかも、全部ちょっとずつ違ってくる。でも、柔道をやってて一番役に立ってるのは腰なんだ。テイクダウンディフェンスの時に腰の強さとか、相手の投げに腰をぶつけるとか、組みの感覚はほんとに助かってるよ。今週もチャンスがあれば見せたいなって思ってる。できれば彼をブン投げたいんだよな(笑)。空中で飛んでひっくり返ってるシーンをみんなに見せたい。君たちに約束するよ、できたら世界に柔道を見せるから」
──柔道のみならず、デミアン・マイアに師事している柔術の組み技やレスリングなど、あなたのグラップリングも見せる機会となるかもしれませんね。
「そうだね。グラップリングをみんなに披露できるなら、それも楽しみだよ。この試合で勝って、日本の講道館に行ってみたい。アイルランド代表で柔道やってた仲間たちも行ったことあるし、僕もずっと行ってみたかった場所なんだ。日本の文化にもすごく興味あるし、MMAにもっと柔道を取り入れて楽しめたら最高だね。ぜひ行きたいよ!」
──では最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。
「いつか絶対、日本に行くよ。道衣を着て、日本式のトレーニングを体験する。世界でも柔道に関して日本にかなう国はないから、本当に光栄だし、みんなに会えるのを楽しみにしてる。僕のことを歓迎してくれたら嬉しいな。今週末の試合にもU-NEXT配で注目してください!」




