SNSを使う事が全てではない

――一緒に練習している門口選手は今回の試合に関して何か言っていますか?
「EX ARESに関しては、今目標とか見る点を大事にしていて、『どこにゴールを設定してそのためにどこに届けたいのか』みたいな自分がどういうふうに動けば良いのかってことを大事にしているんですよ。鈴木選手って多分そうではなくて、どちらかというと無我夢中にやってきたファイターだと思うんです。僕は志を持っている者の大きさとかが、絶対にファイトスタイルに影響してくると思っているので、『そういう所をEX ARESとして見せたいね』って話はよくしています」
――朝礼を練習前にみんなでやっているのを拝見したのですが、そういう部分も変えていこうっていう取組みなんですか?
「コーチングを勉強したりしているんですけど、“チェックイン”をすると、練習に入る前にリフレッシュして、自分が本当に今日やるべきことを頭にしっかり叩き込めたり、今ある感情をそのまま伝えるという事をやってから練習に入れるので、気分が上がってすごく良いなと思います」
――大森選手は「ファイターの意識的な部分の底上げや、ファンの開拓をしたい」と仰っていると思うんですけど、その辺りについて大森選手から見た最近のファイターはどういう風に映っていますか?
「人によるっていうのが率直な意見ですね。頑張っているファイターは頑張っているし、逆に頑張っていてもミスっているやつもいるし。10人全員に好かれたら良いって訳じゃないですけど、刺さりすぎるのも良くないなと思っているので、本気で大きくしようと思っていくと自分1人とかファイターだけの力では限界があって色んな知見のある人と組まないと難しいかなと思っています。フェーズ的には良いかなと思っていて、ちょとずつSNSや外に向けるってことに対しては、みんな頑張っている印象があるので、ここからもうちょっと詰めていきたいなと思っています」

――ファイターの意識改革やファンの獲得を得るために、いま大森選手が取り入れている事ってあるんですか?
「僕が言いたいことは『SNSを使う事が全てではなくて、人に届くための努力が必要』っていうだけなので、皆に何かを感じてもらえるのが格闘技だと思っているので、SNSだったりタイミングだったりをもっと突き詰めていきたいです。今回はこの試合に懸けているので、正直全然できていないというかやっていないんですけど、格闘技には格闘技の本物の魅力があるぞって事を、ずっとSNSで発信してきた僕だからこそ、発信しないという手段を取って皆に届ける方法を模索しています」
――それが先日SNSに書いていた『俺なりの試合の見せ方』っていうのに繋がる訳ですね。
「そうですね」
――試合まで10日くらいですが、残りの期間でその過程や表現を見せたいと考えていますか?
「これをやりたいとかは思っていなくて、ただただ試合に勝つっていう事だけを考えています。ただやっぱり勝つだけだと面白くないので、テーマが必要だなと思いました。鈴木選手と試合をして自分がどうしたいかっていうテーマを絞り出すと、言葉は悪くなりますけど『鈴木選手の時代を終わらせたい』と思ったんですよね。今、天心から龍心になったように、鈴木真彦から大﨑孔稀に、門口佳佑から安本晴翔に変わって若い世代にチャンピオンが変わっている中で、鈴木選手がいなくなった方がきれいに新時代になるかなと思ったんですよ。だから時代を変えるつもりで終わらせにいきます」
――最後にファンの皆さまにメッセージをお願いします。
「今回の大会は自分の中ですごく思い入れのある大会で、SNSもあまりできないくらい集中してやってきているというか、それだけこの試合に懸けています。当日は1番仕上がった僕が見れると思うので、楽しみにしていてください。勝手に応援したくなります(笑)」


