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コラム

【ONE】リアルファイトとeスポーツを行き来するデメトリアス・ジョンソン──ONE Championshipの挑戦

2019/10/07 03:10
【ONE】リアルファイトとeスポーツを行き来するデメトリアス・ジョンソン──ONE Championshipの挑戦

10月13日(日)両国国技館で開催されるONE Championship 第100回記念大会「ONE: CENTURY 世紀」に先駆けて、10月5日と6日の2日間にわたり、格闘技とeスポーツを同時にライブ観戦が可能で、各プログラムに参加・体験が出来る新しいスタイルのファン・フェス「ONE マーシャルアーツ・ファン・フェス」が、ベルサール渋谷ガーデンにて開催された。

初日の5日では、選手育成&発掘大会「ONE WARRIOR SERIES」の開催に加え、新空手の演舞、さらに「ミート&グリート」として、岡見勇信、山口芽生、若松佑弥、平田樹、秋山成勲、ONEリングガールズらが来場し、多くのファンと交流を図った。

また「マーシャルアーツ部門」と並行して、「ゲーミング」部門では、eスポーツの大会を同時開催。5日は「ONE TEKKEN トーキョーインビテーショナル」として、「鉄拳7」の招待制大会も行われた。

「チームジャパン」「チームコリア」「チームオールスターズ」に加え、一般応募者による「コミュニティトーナメント」を通過した「チーム破壊王」らが激戦を繰り広げた「ONE TEKKEN トーキョー・インビテーショナル」は、かねてから鉄拳に強さを見せている「チームコリア」が優勝。賞金99万円を獲得。準優勝の「チームジャパン」は49万5千円を獲得した。

2日目の6日に、「マーシャルアーツ部門」と「ゲーミング」の両部門で存在感を示したのが、元UFC世界フライ級王者のデメトリアス・ジョンソン(DJ)だ。

10月13日の両国大会で、ONEフライ級(※61.2kg)ワールドGP決勝に臨むDJは、「マーシャルアーツ部門」での公開ワークアウトに先駆け、「ゲーミング」部門の「ONE STREET FIGHTER トーキョー・チャレンジ」に登場。プロ格闘ゲーマーBonchan(ボンちゃん)と、元DEEPフェザー級王者で現在はプロゲーマーのジョビン(松本晃市郎)とエキシビションマッチを行った。

ジョビンとの試合では、“大物”から執拗に勝利を狙うジョビンの攻撃に完封されたDJだが、Bonchanとの試合では、ナッシュ使いと知られるBonchanに対し、ナッシュで対抗。互いに攻防を繰り広げるなか、1KOを挙げる見せ場を作った。

ゲーム後は、両国大会でのダニー・キンガッド(フィリピン)戦に向けてのオープンワークアウトに登場。いつものように相手にまとを絞らせない、そして“波に乗る”かのような動きで、技から技の連携を披露。かつてUFC世界フライ級タイトルマッチでレイ・ボーグを極めた、バックスープレックスで投げながらの腕十字の再現では、詰めかけたファンを大いに沸かせてみせた。

トップファイターでありながら、試合1週間前でのこのプロモーションは何を残したか。

2019年8月に、米国ラスベガスで開催された世界最大級の格闘ゲームトーナメント『Evolution Championship Series 2019』の「ストリートファイターV アーケードエディション」部門で優勝し、世界一の栄冠を手にしているBonchanは、DJとの対戦をこう語る。

「DJ選手は、ほんとうに“動かして”ましたね。『ストリートファイターV』をやっていないと動かせない、格闘技と同じように、自分の思ったように動かすのは大変なことなので、それが出来るくらい普段からゲームをやっていることが伝わってきました」

その取り組みが、Bonchanは「嬉しかった」という。

「友人のプロゲーマーの“ときど”が、格闘ゲームを強くなるために格闘技を習っているんです。実際の格闘技をやることでゲームに活かされると言っていて、その意見について、本職の方に聞いてみたかったんです」

格闘ゲームをやることで空手を習い始めたときどのように、格闘ゲームとリアルファイトに親和性はあるのか。Bonchanの問いに、DJはこのように答えている。

「共通点はいくつかあるね。プレッシシャーのかけ方、立ち回り、それに同じ技ばかりを使わず上下に散らしたり、リズムを変えたりして戦うことは、ゲームもリアルファイトも同じだよ」

身体的に痛みを伴うリアルファイトと、格闘ゲームのファイトはもちろん別ものだ。しかし、人と対することでは、DJの言う通り、共通する部分がある。

この日、Bonchanは自らチームを率い、決勝で強豪チームコリアを下し、優勝賞金105万円をチームとして獲得した。その戦いでも、攻めるばかりでなく防御、受けが強いこと、そして勝負を決めた動きのひとつが、必殺技ではなく、相手のタイミングをはかった1発のジャブであったことが印象的だった。対戦相手がいること、セコンドも含めたチームスポーツでもあるところも、リアルファイトと共通する部分だろう。

「相手がいて、選択肢が豊富であることなど、DJ選手の言葉に、すごくいい経験ができたなあと思っています。今日、ゲーマーのなかには『何か、雰囲気が違いますね』という人もいて、たしかに格闘ゲームと格闘技は、180度違うスタートのように見えるかもしれません。でも、僕らもほんとうに全力でやっていることなので、互いにいい経験になって、互いのことを知って、互いのファンにも興味を持ってもらえれば、格闘技の楽しみ方が増えて、いいんじゃないかと思います」とBonchanは、声を弾ませる。

他ジャンルでも、現実の競技とeスポーツのクロスオーバー化は進んでいる。

2019年のF1のeスポーツには、これまで参戦してこなかった名門F1チーム・フェラーリが参加し、かつてフェラーリでもステアリングを握ったフェルナンド・アロンソが再結成した自身のeスポーツチームには、英国F3で優勝経験のある女性ドライバー、ジェイミー・チャドウィックが所属している。

また、日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメントは、人気ゲームソフト「実況パワフルプロ野球(パワプロ)」を使って実際のプロ野球と同様にペナント制覇を目指すeスポーツリーグ「eBASEBALL プロリーグ2019」を共催し、ドラフト会議も行われている。

現在のeスポーツはフィジカルスポーツとの距離が近くなっている、いや、現実の競技がeスポーツに近づいているのかもしれない。マーケットだけを考えれば、その規模の逆転現象が起こりうるなかで、ONE ChampionshipはONE Esportsの代表にカルロス・アリムランCEOを就任させ、格闘ゲーム以外のタイトルである、オンラインストラテジーゲーム『Dota2』の大会を、格闘技との複合イベントではなく、単独イベントとして本拠地シンガポールで開催することが決まっている。

ファン層や市場の拡大だけではない。リアルファイトのなかにも『マネー・ボール』のようなゲーム理論は、現UFC世界ライトヘビー級王者ジョン・ジョーンズ擁するジャクソンズMMAなどに採り入れられ、選手はファイトツリーに沿ってゲームプランを練っている。

それでもなお、直接コンタクトするリアルファイトには、リアルファイトにしかない魅力があることは間違いない。その魅力をいかに伝えるか。

DJの「ストリートファイターV」でのエキシビションマッチ後、チャンピオンが揃うオープンワークアウトには、ゲームゾーンから足を運んだファンの姿が多く見られた。

そこで彼らは、DJの流れるような動き、チャンピオンたちがミットを打つ打突音を、生で見聞きしたことだろう。彼らを格闘技の会場にまで足を運ばせることができるのか。

自身もムエタイの試合を戦い、柔術でヘンゾ・グレイシーの紫帯を持つチャトリ・シットヨートンCEOは、そのとき、オープンワークアウト会場の最前列でファイターたちの動きをチェックしていた。その目がマットに向いている代表は今後、どんなかじ取りをするのか。試みは、すでに始まっている。

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