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【ONE】工藤諒司、内藤頌貴が判定勝ち! 鈴木祐子が一本勝ち=「ONE Warrior Series: 日本vs.世界」

2019/10/05 12:10
【ONE】工藤諒司、内藤頌貴が判定勝ち! 鈴木祐子が一本勝ち=「ONE Warrior Series: 日本vs.世界」

(C)ONE Championship

10月13日(日)両国国技館で開催されるONE Championship 第100回記念大会「ONE: CENTURY 世紀」に先駆けて、10月5日の「ONE マーシャルアーツ・ファン・フェス」(ベルサール渋谷ガーデン)内にて、選手育成&発掘大会「ONE ONE WARRIOR SERIES」(OWS)が初めて日本で開催された。

メインとセミでは、ともに修斗で活躍中の工藤諒司(TRIBE TOKYO M.M.A)、内藤頌貴(パラエストラ松戸)が海外の強豪相手に判定勝ち。両者ともにOWS初参戦ながら、あらためて実力を証明した。

また、ONE Championshipとパートナーシップを結ぶ新空手のジャパンカップで優勝した基山幹太、有井渚海の2人が、キックボクシングルールでOWS初参戦。両者は、2019年のシンガポール「EVOLVE GYM」での招待合宿にも参加し、ONEムエタイ世界王者のノンオー・ガイヤーンハーダオらとスパーリングをするなど、貴重な経験を通し成長。今大会、大抜擢の中、卓越した技術をみせて、海外勢に快勝した。

特に、複数のダウンを奪い会場を沸かせた有井は、今大会のホストを務めるリッチ・フランクリンの目に留まり、18歳ながらその高い技術と熱い情熱をみせたとして、優秀賞を手にした。また、腕十字で一本勝ちした鈴木祐子、激闘を繰り広げたSARAMIとキム・ソユルの3人の女子選手を含む合計4選手に優秀賞が贈られた。

▼第15試合 フェザー級(※70.3kg)5分3R
○工藤諒司(日本/TRIBE TOKYO M.M.A)※MMA5勝1敗1分
[判定3-0]
×ジェリー・オルシム(フィリピン)※MMA6勝0敗

「ONE Warrior Series: 日本 vs. 世界」で、工藤諒司が同シリーズに初参戦。チームラカイの新鋭ジェリー・オルシムと日本勢最後の大将格として対戦する。

青森県八戸市出身で小学生の頃からレスリングを始めた工藤は、中学で柔道も経験。高校ではフリースタイルでインターハイ3位となり、国士館大学レスリング部に所属した。卒業後、同大出身の先輩だった安藤達也に連れられてTRIBE TOKYO M.M.Aに出稽古、すぐに入門を決意したという。

2017年7月のアマチュア修斗関東選手権では、決勝で椿飛鳥に勝利し優勝。全日本大会に出場することなくプロ昇格を果たしている。MMA5勝1敗1分。アマチュア時代から怪我に泣かされながらも、「一つひとつの試合を大事に戦い」、連勝で今回の「ONE Warrior Series」出場を決めた。

対戦相手のオルシムはすでに「ONE Warrior Series」4勝。その強さは、春日井たけしや赤尾セイジに一本勝ちしているキム・ミョンギュに判定勝ちという実績で説明ができる。

今回の「ONE Warrior Series」に勝てば本戦出場は決定的。8日後に両国国技館で開催される「ONE:CENTURY 世紀」では、同じチーム・ラカイのホノリオ・バナリオ、ケビン・ベリンゴン、ダニー・キンガッド、リト・アディワンの4選手の試合も控えている。チームとして勢いをつけるためにも、オルシムにとって工藤戦は重要な試合になるだろう。

本戦で組まれてもおかしくない実力者同士の一戦。実直な工藤は連勝した試合に反省点ばかりを口にするが、その工藤が「自分でも強くなっているという実感がある」という言葉には説得力がある。あとは、それを強豪相手に試合で見せるだけだ。

1R、ともにオーソドックス構え。遠間からダブルレッグは工藤。差し上げるオルシムはコーナーに詰める。四つからヒザを突く工藤。オルシムもヒザを返しアゴ下に頭を置く。体を入れ替える工藤。しかし回すオルシムが再びコーナーに押し込み四つからヒザ。右で小手に巻く工藤だが回せず。ブレーク。工藤がボディロックテイクダウンからパウンド! しかしオルシムが脇差し立ちゴング。

2R、圧力かける工藤。右ロー。しかしオルシムは長い右を振る。工藤も回り左右から組み付き四つに。コーナーに押し込むがオルシムの脇は固い。クリンチボクシングでボディ突く工藤。しかしオルシムもボディロックテイクダウン! しかし工藤もノーダメージですぐに立つ。左フックは工藤。オルシムは鼻血。左ミドルのオルシムの打ち終わりに工藤は左右。右をかぶせてくるオルシムにかわす工藤は右から左ストレートを当てる。

3R、オルシムの右ミドルにダブレッグ合わせ尻つかせる工藤。すぐに立つオルシムに前出る工藤。オルシムのワンツーにカウンターのダブレッグテイクダウン! 背中をついたオルシムにインサイドからヒジを突く工藤。ニーシールドもさばく工藤に脇差し立つオルシムは四つに。互いにコーナーでヒザを突き、体を入れ替える工藤。離れスタンドへ。両者、最後の攻防に慎重になるなか、オルシムの右の蹴り足を掴んだ工藤が前へ。コーナーに押し込み左で差してテイクダウン! ゴングで判定へ。3-0で工藤が勝利。OWS初出場、最初の白星を挙げた。

工藤の勝利により「日本vs世界」は7勝6敗で日本の勝ち越しが決定した。

▼第14試合 女子ムエタイ 52.2kg契約 3分3R
×Little Tiger(日本)
[判定0-3]
○サンドラ・ゴドヴィク(スウェーデン)

オープンフィンガーグローブのリングムエタイ。Little TigerはWMC世界ミニ・フライ級王座、WPMF世界ミニ・フライ級王座、WMC世界ピン級王座、WPMF世界ピン級王座など、9本のベルトを獲得している日本女子ムエタイの第一人者。現在はタイを拠点に練習、活動している。

1R、サウスポー構えの両者。Little Tigerと長身のゴドヴィック。詰めるゴドヴィックをこかすLittle Tiger。首相撲からヒザ突くもこかしはLittle Tiger。しかしゴドヴィックもこかし返す。右から左ストレートで前に出るゴドヴィック。さらに掴んでのヒザ! Little Tigerは後退。

2R、左ミドルはLittle Tiger。さらに左ストレートも突いて前に。ゴドヴィックは首相撲ヒザもはがすLittle Tiger。しかしゴドヴィックはワンツー組んでヒザ・ヒジにLittle Tigerは後退。

3R、首相撲でこかすゴドヴィック。左前蹴りも。圧力かけるゴドヴィック、Little Tigerは右ミドルもチェックされ距離を潰される。首相撲ヒザに頭を下げさせられるLittle Tiger。左ローを返すがLittle Tigerはスタミナも削られる。判定は0-3でゴドヴィックが勝利。試合後、オープンフィンガーグローブで熱戦を展開した両者にボーナスが贈られることが発表された。

▼第13試合 バンタム級(※65.8kg)5分3R
×ジェイク・ムラタ(日本/パラエストラTB)※MMA10勝5敗1分
[判定]
○ソン・ミンジョン(韓国)※MMA10勝7敗



ムラタは現ZSTバンタム級王者。プロデビューから3年ほどはPANCRASE、DEEP、修斗等で白星と黒星を交互に繰り返すなど芽が出なかったが、17年12月のFighting NEXUSで「初代バンタム級王者決定トーナメント」決勝進出(※優勝は渡部修斗)。続く「ZST第3代バンタム級王者決定トーナメント」では金井塚信之、滝田J太郎を下し、バンタム級のベルトを巻いている。

そのムラタの相手は、アラン“ヒロ”ヤマニハ、田村一聖、春日井たけしといった現PANCRASEランカーに勝利している強豪ソン・ミンジョン(韓国)。2012年の「ONE FC」時代に上田将勝と対戦し判定負け以降、「ROAD FC」を主戦場としてきたが、2019年4月に「ONE Warrior Series」に参戦。ACB1勝1敗のアラン・フィルポットを相手にネック・クランクで一本勝ちを決めている。今大会の目玉ともいえるミンジョンを相手に、ムラタは予告通り「100回に1回」のアップセットを起こせるか。

1R、ともにオーソドックス構え。右フック当てるミンジョン。両脇差しヒザ突くミンジョン。小外テイクダウンも立つムラタ。ダブルレッグテイクダウンはミンジョン。背中つかせハーフガードから肩固め狙いにムラタはヴァンフルーチョ-ク狙いからいつものようにディープハーフで煽り、シングルレッグで立つ。

2R、右ハイキックを当てるミンジョンはさらに左ヒザでコーナーに詰めるがムラタも差し返しボディロックへ。ムラタの引き込みにヒザ十字狙うが外すムラタ。ダブルレッグテイクダウンはムラタ。しかし下からミンジョンはヒジを突く。三半規管に平手も。ムラタが上のままゴングもダメージは与えられず。

3R、ミンジョンは左右ミドル、前蹴り。ワンツーで前に出るムラタ。ミンジョンもミドルを返す。シングルレッグからテイクダウンはムラタ! 背中つかせハーフから肩固め狙うがニーシールドから立つミンジョン。押し込まれるムラタにボディロックからサバ折テイクダウンし両足を束ねるミンジョン。得意のディープハーフからシングルレッグで立つムラタ。しかしミンジョンは左右からボディロックテイクダウン、バック奪いゴング。

▼第12試合 フライ級(※61.2kg)5分3R
○内藤頌貴(日本/パラエストラ松戸)※MMA7勝5敗3分
[判定3-0]

×アレックス・シルド(米国)※MMA5勝2敗

「基本的に自分がやりたいことを、いつもやりたいんですよ」という内藤頌貴。

兄・内藤のび太とともに格闘技のバックボーンが無く、パラエストラ松戸に同時に入門し、プロになることすら考えていなかった兄弟は、修斗で世界ランカー入りするファイターとなった。先に総合を始めたのは頌貴だった。

トッププロや王者が集い、日々、自信を失うような相手と練習する環境だったからこそ、格闘技を続けることができた、と兄弟ともに口をそろえる。

弟は兄と異なり、立って戦う時間が長い、打撃を軸に戦うファイターだ。そこでも「自分主導で戦いたい」という頌貴は、グラウンドで一見、受けの寝技のようで「自分がやりたいこと」を徹底する兄と、我儘な点では似通っている。

「試合は自分のために戦います。周りを言い訳にしたくないし、自分のために必死に頑張る。なおかつ、周りが喜んでくれたら嬉しい」──内藤頌貴は「ONE Warrior Series: 日本 vs. 世界」での初の国際戦で自身のスタイルを貫けるか。

1R、シルドは強い右ミドル。内藤はサウスポー構えから左を突く。スイッチしての右ロー、左ミドル、左ストレートで追う内藤。3R、シルドのシングルレッグ切る内藤は利き手の右ストレートを当て前進。

▼第11試合 フェザー級(※70.3kg)5分3R
菅原和政(日本/マスタ-ジャパン福岡)※MMA5勝5敗1分
アリ・モタマド(イラン)※MMA6勝3敗
※モタママドがビザ不取得による入国不可で試合中止に

▼第10試合 バンタム級(※65.8kg)5分3R
○吉野 光(フリー)※MMA7勝1敗
[判定3-0]

×チャン・サマート(カンボジア)※MMA2勝5敗

柔道出身の吉野は、ボディロック、大内刈、払い腰と多様なテイクダウン。サイドからアメリカーナを狙う。2Rもテイクダウンから鉄槌は吉野。3Rもダブルレッグテイクダウンは吉野。サマートは下からヒジを頭部に当てるも判定は3-0吉野が勝利。



HEAT、GLADIATOR、Fighting NEXUS、DEEP、PFC等で活躍、MMA8勝1敗とした吉野はONE WS初勝利をマーク。サマートはONE WS1勝2敗に。

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