アンカラエフ「実質的な王者は俺だ、なんて言うつもりはない」
──今回、タイトル挑戦の機会を長い間追い求めてきましたね。ようやく再び王座を懸けて戦うことになりましたが、今のお気持ちはいかがですか?
「正直、今の感情を言葉にするのは難しい。長いこと、このベルトを追いかけてきたからな。ようやくこのチャンスが手に入ったって感じだ。すごくモチベーションが上がってるし、今回の試合は今までとはまったく違うものになると思う」
──これまでは、あなたとアレックス・ペレイラ(ライトヘビー級王者)との間にそこまで深い因縁のようなものは感じられませんでした。しかし数日前、あなたの“アルコール”に関するSNSの投稿をめぐってペレイラ側が気分を害し“ラマダンを言い訳にしているのではないか”などと言及していました。この発言で、試合の雰囲気は変わりましたか?
「別に個人的に攻撃するつもりはなかったんだ。むしろ、あいつがあちこちのUFCイベントに顔を出しすぎていて、ちゃんと試合準備してるのか心配だって意味だったんだけどな。どう受け取るかは相手の勝手だけどね」
※アンカラエフは1月、X(旧Twitter)で「ペレイラがUFCのイベントに顔を出しているのは、タダ酒を飲みながらカメラに映るため」と投稿。この発言に対し、ペレイラ側は反発。ペレイラは過去にアルコール依存症を公表しており、酒を断って人生を立て直し、チャンピオンにまで上り詰めた経緯がある。
──今回の試合は、打撃で行くのか、それともレスリング中心で行くのか、教えていただけますか?
「最初は打撃でやってみるつもりだ。そこでどうなるか見てから、次の展開を考える」
──多くの人は、アレックス・ペレイラを“今のUFCで最もスター性のある選手”のように見ています。イズラエル・ アデサニヤ(ミドル級4位)が負け、ショーン・オマリー(バンタム級1位)も敗戦して、UFCにおけるスターの存在感が薄れた今、ペレイラの人気はますます際立っているようです。ファンの反応なども含めて、そのあたりは感じていますか?
「まあ、確かに今はあいつがUFCで一番目立ってるかもしれないけど、その時間もそろそろ終わるんじゃないかと思うんだ。UFCには常にニューフェイスが出てきて、また新たなスターが生まれるもんだからな」
──以前、ヤン・ブラホビッチ(ライトヘビー級3位)との王座決定戦であなたは自分が勝っていたと感じていたそうですね。あの試合以来、“自分こそ真の王者だ”と思っている部分はあるのでしょうか。今回のベルトは、あなたの中ではすでに手にしていたような感覚はありますか?
「正直、あの時は俺が勝ってたと思う。あれでベルトを手にする資格はあったんじゃないかってな。でも、“実質的な王者は俺”だなんて言うつもりはないさ。今は目の前にベルトがあって、俺と相手がいて、これから真の王者を決めるわけだからな」
──アレックス・ペレイラがチャリティを賭けたツイートをしたとき、それをご覧になってどう思いましたか? ああいった形の“賭け”はできないとしても、何か別の形でチャリティに協力するつもりはありますか?
「俺たちはSNSでもはっきり伝えたけど、イスラム教徒として“賭け”をするのはできない。ただ、もし彼が何らかのチャリティ活動をしたいんだったら、もちろん協力は惜しまない。できることがあればやってやるよ」
※ペレイラは試合に向けて “負けたほうが20万ドルを慈善団体に寄付”という賭けをアンカラエフに提案していた。
──アレックス・ペレイラは、以前カリル・ラウントリーJr.(ライトヘビー級7位)にも「先にテイクダウンを狙ったほうがチャリティに寄付しよう」というような“賭け”を持ちかけたことがありました。彼はどうしてこういうことをすると思われますか? 心理戦のつもりなのでしょうか?
「正直、何が狙いなのかは知らない。心理戦だろうが何だろうが、俺には通用しないさ。SNSで何を書こうが知ったことじゃない。もう一度言うが、もしチャリティに寄付したいなら、喜んで協力するよ」
──ラマダンとファイトウィークが重なったことで、苦労はありましたか?
「トレーニング自体はラマダンの前にしっかりやってきたから問題はなかった。ラマダンに関しては、今週は体重をつくるために(本来は禁止されている時間帯に)水分を多く取らざるを得なかったくらいで、それ以外はいつもと変わらないよ」
──今日はサングラスを着用していませんが、どうしたのですか?
「コーチが持っていっちまったんだ。なんでかは知らないけどな」
──ジャマール・ヒル(ライトヘビー級4位)は過去にアレックス・ペレイラを批判していましたが、今回あなたが勝つと予想しているようです。理由は“あなたのほうが試合を終わらせる手段が多い”からだと。どうお感じになりますか?
「人の意見なんて変わるもんだし、そういうもんだろ。まあ、“ありがとう”って言っておくよ」
──ところで、アレックス・ペレイラがホテルで“あなたの食事が届いたのを見た。ラマダン中だと言っていたのに実は断食していないんじゃないか”とコメントしていました。これについてはどう思われますか?
「そこまで俺のことが気になるんだろうな。神経質になってるってことだろう。さっきも言ったけど、体重をつくるために、何回か断食を中断した。それだけのことだ。もし冷蔵庫を開けて俺の名前が書かれたUFCの食事が入ってるのを見て気になるなら、好きに持っていってくれよ」
──そういった彼の“神経質な部分”が、あなたにとってアドバンテージになると思いますか?
「まあ、どうだろうな。俺はもうやるべきことをやるだけだから。他の部分で、すでにたっぷりアドバンテージがあるんだよ」
──アメリカのファンは、メディア対応が派手なファイターを好む傾向があるように思います。もしあなたがベルトを手にして王者となったら、もう少しメディアとのやり取りを増やしていくおつもりはありますか?
「メディアが大事なのは分かってる。ただ、俺はSNSでふざけた投稿をして人気取りをするようなタイプじゃないんだ。王者になったら、もう少しオープンにしてメディア対応は意識するつもりだけど、基本スタンスは変わらないと思うな」
──アレックス・ペレイラと向かい合った時、彼の目にはどんな感情が浮かぶと思いますか? また、試合は何ラウンドくらいで決着すると考えていますか?
「俺は最初のラウンドから決着を狙っていく。何ラウンドかかるかは分からないけどな。ペレイラの目に何があるか……王者としてベルトを守りたい気持ちとか、怒りとか、いろいろ混ざったもんだろうけど、それがどう見えようと俺はやることをやるだけだよ」



