フィジエフ「常にあのとき何が起きて、どうしてそうなったのかって考えてた」
──前回の試合から少し時間が空きましたね。最後に試合をした時はケガを負ってしまい、その後しばらくの間は試合を求め続けてもなかなか組まれなかった印象があります。そんな中、今回ジャスティン・ゲイジー(ライト級3位)との再戦のチャンスが巡ってきましたが、この1週間はどんな気持ちでしたか?
「この間ずっと俺は待ってたんだ。誰も名乗りを上げてこないから、自分で体重を常にチェックしつつ、いつ呼ばれてもいいようにトレーニングは続けてたよ。緊急オファーが来るかもしれない、って信じてたんだ」
──UFCから何か試合が組めなかった理由を説明されましたか? それとも単純に、相手探しが難航していたのでしょうか。
「いや、特に何も聞かされてなかった。マネージャーには、対戦相手を俺に確認する必要はないって伝えていたんだ。“相手が誰でもいいからUFCが用意した相手とすぐにやる”ってね。トップ15だろうがトップ10だろうが、デビューしたての新人だろうが関係ない。とにかく試合をしたかった」
──ゲイジーは、あなたとの初戦やマイケル・チャンドラー(ライト級7位)戦では“安全策”を取ったと振り返り、“それは間違いだった”と言っていました。ファンは昔の荒々しいゲイジーが帰ってくるのを期待しているようですが、あなた自身は彼がどんな試合をしてくると思いますか?
「どっちにしても俺は構わないさ。奴が前に出てきてオクタゴンを激しい戦場にしてくれるなら、俺としては最高だな。それを聞いたら、俺ももっとワクワクしてくるよ。戦いに来るなら望むところだ」
──ダン・フッカー(ライト級6位)は、あなたとゲイジーの試合は“勝っても負けても両者とも病院送りになるかもしれない”と言っていましたが、実際そうなる覚悟はありますか?
「もしかしたらそうなるかもな。でもここの病院はこの前行った時にすごく混んでて、4時間も待たされたんだ。そんなに待ちたくないから、結局何もしないで帰っちまった。正直、あんまり行きたくはないけど、俺とゲイジーがやればそういう試合になる可能性は高い。終わったら薬局に直行することになるかもな」
──ゲイジーは“もし自分が勝ったら、イスラム・マハチェフ(ライト級王者)への挑戦があるかも”と言っていました。ダスティン・ポイエー(ライト級4位)がブノワ・サン・デニ(ライト級15位)に勝った流れでイスラム・マハチェフ(ライト級王者)と対戦したように、あなたもゲイジーに勝てば次はタイトルマッチに絡むと考えていますか?
「それは最高だね。イスラムはトップ5の連中とほとんど戦っちまってるし、そろそろニューフェイスが挑むのもいいだろう」
──今回の試合は、キャリアの中でもわりと長いブランク後の復帰となります。いわゆる“リング・ラスト(試合勘の鈍り)”は気になりますか?
「正直、少しは気にならないと言えば嘘になる。でも、長いこと何かを恋しく思っていて、いざ戻ってみると意外とスムーズにいくってこともあるだろ? 俺は毎回そうなんだ。しばらく休んでからジムに戻ると最初の練習でめちゃくちゃ動けたりして、“やっぱりこの感覚が好きだな”ってなる。今回もそうなるって信じてるよ」
──マテウス・ガムロ(ライト級8位)との試合のオファーがあったと聞きましたが、その後どうなったのでしょうか?
「2月1日にサウジアラビアで再戦って話をもらって、“やろうぜ”って即答したんだ。でもその後、状況が変わったらしくて、ガムロットはなぜかパディ・ピンブレット(ライト級12位)だとか別のヤツとの対戦をアピールし始めたんだ。“あれ? 俺たちもう決まってるんじゃないの?”って驚いたよ。俺の準備はできているよ」
──結果的にガムロ(ライト級8位)には一度負けていますが、今回あなたのほうが大きい試合を掴んだ形ですね。そのあたりはどう感じていますか?
「彼は俺との再戦を避けたわけだし、それなら俺が今回のチャンスを掴んでもいいだろう」
──今回の対戦相手は、マックス・ホロウェイ(ライト級5位)にKO負けした後の復帰戦となります。そのダメージがまだ残っていると思いますか? それともいつも通りの相手だと見ていますか?
「すぐに立て直してくるんじゃないかな。あれだけ激しいKO負けから復帰するのは簡単じゃないだろうけど、奴はずっとそういう戦い方をしてきたんだ。家で一度いろいろ考えて、忘れて、またキャンプに戻って、試合に備える。それを続けてきたはずさ。だからいつもの奴が来ると思ってるよ」
──あなたはこれまで試合後のマイクでファンを楽しませてきました。もし今回勝ったら、そういったパフォーマンスをまた見られそうでしょうか? それとももう封印したのでしょうか?
「いや、今週もまだいろいろ考えてるところだ。試合後に何をやるか、面白いことを何か用意してあるよ。みんなが楽しめるようなネタを、ちゃんと仕込んでるってわけだ」
──短い準備期間でジャスティン・ゲイジー(ライト級3位)と再戦することになりましたが、具体的な作戦を立てる時間はどれくらい取れたのでしょうか?
「前の試合が終わってから、常に“あのとき何が起きて、どうしてそうなったのか”って考えてたから、特に大掛かりな修正は必要ないと思ってる。前回だっていい作戦はあったんだ。ただ、それを遂行し切るのが課題だった。だから今回もそれを徹底するだけさ」
──つまり前回と同じように、ゲイジーは激しいスタイルで来ると想定しているわけですね?
「そうなるんじゃないかな。ゲイジー自身、“昔の荒々しい自分に戻る”って話してるらしいし。アリーナがお祭り騒ぎの雰囲気になると、正直俺も冷静でいられるか分からないところはある。頭では“冷静に、ゲームプランを守ろう”って分かっていても、オクタゴンに入るとどうしても熱くなっちまうからな」
──キャンプをフルに行わなかったのは、逆に有利になる面もあると思いますか?
「実際、長いキャンプを終えてファイトウィークに入ると、いつもクタクタなんだ。“早く試合を終わらせて休みたい”って気持ちになってた。だけど今回は違う。体も気力もすごくフレッシュだよ。今は“計量をクリアすれば、あとは戦うだけだ”って感じだ」
──最初の対戦では、あなたが“感情的になりすぎた”という見方をしているようですね。作戦そのものより、試合の最中の判断ミスだったのでしょうか?
「完全に俺の判断ミスだったと思う。観客の盛り上がりが凄くてさ、コーナー陣から“下がれ、落ち着け”って言われても、“いや、もっと盛り上げたい”って気持ちが勝ってしまった。それでつい突っ込んだんだ。そこが一番の反省点だ」



