鈴木千裕が、ボンサイ柔術でファイトキャンプを行い、クレベル・コイケ、ホベルト・サトシ・ソウザ、アラン・ヒロ・ヤマニハ、鈴木博昭らと合同練習を行った。
大晦日『RIZIN.49』のフェザー級タイトルマッチでベルトを賭けて再戦し、フルラウンドの死闘で「2024年RIZINベストファイト」にも選出された両者。判定で敗れた鈴木は、その直後、「ボンサイ柔術を学びたい」とクレベルにリクエストしていた。
10日から名古屋入りした鈴木は、クレベルの新ジムで練習。そして、この日は浜松のボンサイ柔術ブルテリア格闘技ジムにて、クレベルのみならず、サトシたちとも肌を合わせた。
自身のYouTubeでクレベルは「大晦日に試合して、こうして練習できるのはほんとうに素晴らしい」と語る。
鈴木も「クレベルと2回試合をして、“もう勉強したいな”と思って。柔術の深さを目の前にして衝撃を受けたんで、なんとしてもここに練習に来たいと思って。こうして来れてほんとうに嬉しいです」と語り、クレベルの動きを「試合の5倍、速い。クレベルは速すぎる。もうテクニックいっぱいでビックリします」と舌を巻いた。
本来は、同じ階級のライバルを自身のジムに招き入れることはない。
「ほんとうはボンサイのルールだったらダメ。(これまでは)対戦相手として見てきたから。同階級の人と友情や絆を持つのは非常に難しいこと」と、クレベルも鈴木との練習が難しいことは分かっていた。
しかし、「でも皆が彼のことをナイスガイと言っていた。サトシが彼と話したときに『非常に礼儀正しい』と言っていました。バックステージの人たちも『礼儀正しく、良いハートを持っている』と。対戦相手の自分に対しても親切で礼儀がありました。
なぜ私が彼を受け入れ、練習をサポートすることにしたか──本来はボンサイ柔術ではNGです。怪物くんやほかのボンサイのメンバーがタイトルの次の位置に来たら、私は彼をサポートしません。ただ、まだ鈴木博昭も畠山祐輔もそこに入ってきていません。いまは千裕と彼らの試合は無い」と、自身との試合や、ボンサイファミリーが試合をする可能性が現時点ではないことで、受け入れることを決めたという。
そのクレベルの考えを、ボンサイチームも共有した上で、今回の浜松本部での鈴木の合流に至っている。
クレベルは、「今外国人が多い。近い位置にケラモフ、シェイドゥラエフ、ダウトペック、コレスニック……本当日本を守っていきたいから、2人で頑張ります。フェザー級だったら日本にベルトを絶対そのままです」と、海外勢が台頭してきたフェザー級で、2人でベルトを守っていきたいという。
そして、そのベルトについてクレベルはある思いがあったと明かす。
「これは彼に感謝しないといけないことですが、私が体重オーバーで流してしまったベルトを、朝倉(未来)とケラモフが試合して、ケラモフに奪われて、それを千裕が現地まで行って取り戻してきた。彼には感謝しなくてはいけない」と、アゼルバイジャンに流出したベルトを日本に取り戻してきたことに感謝の思いがあるとした。
その上で、「私たちは10歳離れています。私はキャリアの終わりにさしかかっています。彼のMMAのキャリアはこれから。将来、私の階級で王座防衛戦に近い位置にいるのは彼。日本でベルトを防衛できる唯一の日本人は彼だけだと思います。海外の選手たちからベルトを守れるのは私たち二人だけです。実際にはもう彼とは試合をしたくはありません(笑)。彼と手を組んで海外の選手たちをボコポコにしたいです。
今後、私が引退するか、ベルトを失うような事になったら日本にベルトを守ってもらいたい。それができる一番可能性が高いのは彼。今日教えた技は基本的なものですが、将来、彼が対戦相手に使えることを望みます」と、今後はチーム日本として、ボンサイの仲間として大切なベルトをいつか継承し、日本に死守してほしいと語った。
「今日は私が柔術を教えた、今度は私にキックボクシングを教えてください。3月30日、絶対、ダウトベックをボコボコに、KOしてください」と、打撃を学ぶこと、そして鈴木の次戦の勝利を願ったクレベルに、「ほんとは一本を取りたいけどね」と返した鈴木。「対世界を2人で」と、共闘を誓った。




