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2025年2月11日(火/祝) 東京・品川インターシティホールにて『PANCRASE BLOOD.5』(U-NEXT見逃し配信)が開催され、「第31回ネオブラッドトーナメント」が開幕した。
全33試合、ネオブラ史上最多の28試合56選手が参戦するなか、フェザー級では、優勝候補の矢野トミー(フリー)が出場、1R 三角絞めによる一本勝ちで2回戦に進出した。
矢野は、フライ級、バンタム級と並ぶ16名参加の激戦区のフェザー級で参戦。対戦相手はBLOOM FCなどMMA4連勝中の柿原昇太(MMA RANGERS GYM)と1回戦で激突した。
矢野は、ABEMA『格闘代理戦争 THE MAX』フェザー級トーナメントで一本・TKOのフィニュシュ勝利を続けて決勝進出。MMAキャリアで勝る中村京一郎に決勝戦で敗れたものの、その決定力の高さから“次世代の関節技アーティスト”と呼ばれる黒帯柔術家だ。
▼第26試合 フェザー級一回戦 5分3R
×柿原昇汰(MMA RANGERS GYM)
[1R 2分11秒 三角絞め]
〇矢野トミー(フリー)
1R、ともにオーソドックス構え。矢野は右の蹴りでスリップするがすぐに立て直す。右ローを当てる矢野は左フックから両足タックルで中央側に回して小外がけも合わせてテイクダウン!
フルガードの柿原は4の字で組むと下からヒジ打ち。ガードの中の矢野は、相手の頭を寝かせてガードを割ろうとする。金原正徳もMMAで見せる形、右腕で脇を差し頭をマットにつけてパスガードすると、柿原はスクランブルで腹ばいから足を手繰りに。
そこに引き込みスピーディな三角絞めを合わせる矢野は、上からパウンドを打つ柿原を左でオーバーフックし、最初は右足で、続けて左ヒザ裏に組み直して頭を引き付けて三角に極めてタップを奪った。プロ4戦無敗だった柿原は初黒星。格闘代理戦争準優勝の矢野は、プロ初陣を一本勝ちで飾り、2回戦進出を決めた。
その勝利の傍らには、RIZINに出場しているイゴール・タナベと、一時期JTTで矢野が指導を受けたエリー・ケーリッシュの姿があった。
イゴールは「もやもや病」が判明。脳出血や脳梗塞を起こしやすい状態であるため、MMAや頭部に打撃のある競技、また減量に伴う過度の脱水は危険であるとの診断を受けたことで、しばらく競技の一線から離れている状態だ。
この発表後、イゴールは「『もやもや病は完治がない』と言われていますが、私はこれまでも不可能を可能にしてきました。必ず復活し、また皆さんの前で戦います。それまでは、柔術やグラップリングで世界を目指します」と語っており、今回は『格闘代理戦争』で自身が推薦した矢野トミーのセコンドとして、プロデビュー戦をサポート。自身も競技柔術復帰を目指している。
また、2月3日に朝倉兄弟率いるジャパントップチームの退団を発表していたエリーは、「フランスに戻らなければなりません。私は格闘家とスポーツに無条件の愛を持っているので非常に難しい決断でした」とSNSに記し、「でも、日本のMMAシーンでの活動はまだ終わっていません。多くのことが進行中で、近いうちに必ず日本に戻ってきます」としていた。
2月下旬にフランスに帰国予定のケーリッシュは、日本滞在中に縁のあった選手やコーチのジムを訪れて交流を深めており、MMAの知見を広めている。JTTで練習や指導をともにした矢野とは、大事なトーナメント初戦に向けて協力してきたのだという。
さまざまな状況下、それぞれが前に進もうとしている
ケーリッシュは、「僕は日本のMMAが大好きで、トミーは素晴らしい生徒だし、彼の力になれて嬉しいよ。将来、また日本のMMAの力になりたいと思っている」と語った。