白鳥(左)と麻火で第5代RISEスーパーライト級王座が争われる
2025年3月29日(土)東京・両国国技館『RISE ELDORADO 2025』の対戦カード発表記者会見が、1月29日(水)都内にて行われた。
第5代RISEスーパーライト級(-65kg)王座決定戦3分5R無制限延長Rで、同級2位・白鳥大珠(TEAM TEPPEN)と同級3位・麻火佑太郎(PHOENIX)が対戦。
白鳥はキックボクシングからボクシングに転向し、8勝(5KO)3敗の戦績を残してキックボクシングにカムバック。2019年2月に第5代RISEライト級王者に輝くと、3月に開幕した「RISE WORLD SERIES 2019 -61kg Tournament」で優勝。2021年6月の「RIZIN KICKワンナイトトーナメント」では皇治らを破って優勝。2023年は3月にK-1との対抗戦で佐々木大蔵に勝利。2024年12月の「GLORY RISE FEATHER WEIGHT GRANDPRIX」では1回戦でペットパノムルンに敗れた。戦績は30勝(12KO)11敗1分1無効試合。
麻火は元TENKAICHI Gライト級王者。K-1甲子園-60kgベスト4、KAMINARIMON×新空手最強決定戦-63kg優勝、全日本格斗打撃選手権大会優勝などの実績を持つ。KNOCK OUTとREBELSでキャリアを積み、2022年2月からはRISEを主戦場に。2024年4月には『ONE Friday Fights』に参戦し、セクサン・オー・クワンムアンに完勝する番狂わせを起こした。6連勝で9月にチャド・コリンズに挑んだが初回KO負け。12月はヤン・カッファから逆転KO勝ちを奪った。相手の攻撃をマタドールのようにかわし、自分の攻撃を当てる独特のスタイルに開眼した。戦績は17勝(4KO)9敗。
「よくぞここまでたどり着いた」と伊藤隆RISE代表がその成長ぶりを称えた麻火は「やっとタイトルマッチにたどり着きました。RISEに参戦して約3年経ちますがなかなか突き抜けられなくて埋もれていた自分が嫌で。でもRISE王者になると決めて練習を重ねてきて、勝ち続ければ辿り着けると信じていたので今日発表できるのが嬉しい。最近はリング以外で表現できることが増えてきたけれど、自分はリングで表現して強さだけを求めて今年もやっていきたい。ベルトを獲って世界に羽ばたきたいと思います」と意気込み。
白鳥は「世界王者のペッチに負けて、そのトーナメントに懸けて優勝するつもりでやってきたのが世界との差を見せつけられた。空位のベルトに関しては元々自分はいいかなって思いだったんですが、ペッチに差を見せられて負けてしまって。今後そこにどうやって辿り着くかを考えた時に、一度世界で敗れた以上、もう一度日本で強さを、麻火選手はいい選手だと思っているので差を見せて倒して勝って、世界と戦う説得力をつけてもう一度そこに辿り着きたいと思います。なのでタイトルマッチを受けることになりました。ランキングを見てもこのベルトが似合うのは俺しかいない。もう一度ベルトを巻きたいと思います」と、世界に再挑戦するためにベルトを獲りに行くとした。
互いの印象を聞かれると、麻火は「白鳥選手の試合を見た時からずっと強い選手だと思っていました。ナンバーワンの選手に負けてしまいましたが、そこまでの過程で強い選手だと感じています。日本人同士で組まれるのは格闘技界に影響していくので盛り上げたい。サウスポー同士ですが、お互いがやりたいことを分かっているし、お互いが攻略しあってレベルの高いキックボクシングを見せたい」と答える。
白鳥は「試合は前から見ていて、この選手は将来上に上がって来ると思って見ていて。ここ数戦もいい結果を残していたので、そのうちやることあるかなと思っていました。日本人とは2年ぶり、佐々木大蔵選手と以来です。いい選手ですがまだ早いよ、負けてられないよって、しっかり差を見せて勝ちます」と格の違いを見せるとする。
世界最高峰のトーナメントを経験して、白鳥は「自分が優勝するつもりでペッチを倒すつもりで練習していて。試合してみて、トータル面で全て自分が予想していたものと違ったというか。パワーが、スピードが、それだけじゃなく、試合作りだったり、試合中にどう仕掛ければいいのかとか。ポイント取られているからガムシャラに行きたいのに行かせてもらえないとか。そういう試合の組み立て方とか、試合中に勉強させられた気分になってしまって。ペッチも表情から遊ばれてる気持ちになってしまって本当に悔しかった。ペッチが優勝して、何が一番かって言ったら自分よりも優勝するって想いで負けていたと思いました。普通じゃ得られない経験なんですよ。世界王者との一戦というのは。この経験を活かして僕はこのタイトルマッチは、俺が挑戦して俺が獲ります」と、経験を活かして次は勝ちたいと話す。
下から追い上げてくる選手を迎え撃つ時、油断して喰われてしまうことも多々あるが「昔だったらこういう試合で油断とかありましたが、今の僕にはないですよ。誰との試合でも挑戦ですし、前回の自分を超える。油断は一切ないです。過去最強、ペッチと戦う時くらいの、それ以上の気持ちで挑みたいと思います」と、油断や甘く見る気持ちは一切ないとした。
これに麻火は「僕も世界の壁にぶち当たって、格闘技に向いてないのかなとか戦いに挑むマインドがないのかなと悩んだ時期があって。12月にチャンスをいただいて、その過程で9月のKO負けだったりをむちゃくちゃ思い出すんですよ。またKO負けするんじゃないかとかマイナスイメ―ジがあったんですが、自分に勝つことしかないと思って12月は調整できて。逆転して勝って今回のタイトルマッチにつながっているので、僕も世界の壁を経験して這い上がる覚悟が決まったので、いい勝負ができると思います」と、白鳥と気持ちは同じだとする。
しかし、「白鳥選手は65kgのベルトはいいかなと思っていたとおっしゃっていましたが、僕はそのベルトだけを目指してやってきた。ベルトを獲るのは覚悟を決めてずっとやってきたので、そこはしっかり試合で見せたいと思います」と、ベルトに懸ける想いは自分の方が上だとした。
同門の先輩である梅野源治が「RISE WORLD SERIES 2019 -61kg Tournament」の決勝戦で白鳥にKO負けを喫しており、そこで思うことはあるかとの質問には「梅野さんはこの発表で知ったと思うので、事前に言わなくて申し訳ない感じなんですけれど。2020年に上京してPHOENIXに入ったので、トーナメントは19年なので梅野さんと戦った時はABEMAで見ていて白鳥選手は強い選手だと思っていて。あと、ロッタンと天心選手がやったイベントで僕はオープニングファイトで出させていただいたんですが、その時に白鳥選手は一馬選手と試合をしていました。その時に無茶苦茶強い選手だと思って衝撃を受けました。スタイルを勉強していた部分もありました。そこから自分も7年越しに対戦まで辿り着くことが出来たので、梅野さんのリベンジもしつつ、僕が絶対に王者になりたいと思います」と話した。
かなり前から“白鳥マニア”だった様子がうかがえる麻火。そのことについて白鳥は「見てるからこそ自分の弱点も分かっていると思う。気持ちのいいリスペクトを感じる選手なので、それにしっかり応えてどっちが王者にふさわしいかをこの試合で見せたいと思います」と、麻火の想いも受け止めて戦うと語った。