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インタビュー

【UFC】ライト級王者マハチェフ「(タギル、ウマル、イスラムのダゲスタン3人の勝利で)間違いなく特別な夜になる」×挑戦者ツァルキヤン「25分間ノンストップで攻め続けて、向こうにレスリングも打撃もさせずにドミネートする」

2025/01/17 17:01

アルマン・ ツァルキャン「打撃をかなり強化したし、レスリングも上達した。以前よりスマートに戦うようになった」

──最初にイスラム・マハチェフと戦ってからしばらく経つけど、その試合以来ずっとイスラムについて聞かれてきましたね。いよいよ再戦が数日後に迫った心境は?

「トレーニングキャンプは順調だし、減量もいい感じだよ。体調はいいし、すごくワクワクしてる。ようやくこのタイトルマッチにこぎつけたからね」

──ロサンゼルスには大きなアルメニア系のコミュニティがあって、ロシアやダゲスタンのファンも来ると思われますが、同時にあなたを応援するアルメニアのファンもかなり来ると期待されています。ロサンゼルスでのファイトウィークの雰囲気は?

「地元で戦うような感じだよ。ほとんど同じだね。このイベントは自分と自分のファンのためにあるんじゃないかってくらい。たくさんのアルメニアの人たちが試合を見に来るんだ」

──イスラムは、自分とダスティン・ポイエー(ライト級4位)との前回の試合でミスがあったと認めていますが、あなたもそう思いましたか?

「もちろん誰にでもミスはある。試合を見るだけなら簡単だけど、実際に戦うのは難しい。自分の試合を見返しても『なんでこんなバカなミスをしたんだろう』って思うしね。誰だってミスはするし、彼もポイエー戦でいくつかミスをしてた。その前のアレキサンダー・ ボルカノフスキーとの試合は短かったから目立ったミスは無かったように思うけど、ポイエー戦も最終的に5Rで仕留めたし、パフォーマンスは良かったと思う」

──あなたはマハチェフとの最初の対戦で、「ペース配分を誤ってガス欠を起こした」と言っていましたが、この試合に向けてコーチとは話し合っていますか?

「そうだね。今回はコーナーの指示をちゃんと聞くつもりだ。だけど時々、自分を過信しすぎて、コーチが『やめろ』って言ってもやりたくなっちゃうんだ。家でも、誰かに『こうしろ』って言われると逆のことをやりたくなるタイプだからね。でもベルトを獲るためには、コーチの言うことをしっかり聞かなきゃいけない。ゲームプランがあるから、それをちゃんと守るよ」

──この試合に向けて「秘技がある」と言っていたけど、どんな技なのか少し教えてくれませんか?

「みんながずっと同じこと聞いてくるんだけど、それを教えられるわけないだろう。あまりにも聞いてくるから、『実はハイキックなんだよ』って適当に答えたりしているけど、『秘密のテクニックは何?』って聞かれても、答えようがないよ」

──それはこれまでのMMAで見たことあるような技? それとも完全に新しく編み出した技でしょうか?

「UFCでは見たことないし、ハイライトでも見た覚えがない技だよ」

──もしその技を出して失敗したら落ち込まずに、立て直せますか?

「いや、もし出したら絶対当たるよ」

──今回の試合は「イスラム・マハチェフのほうがプレッシャーが大きい」と言っていましたが、現在も考えは変わっていませんか?

「自分はプレッシャーは感じてないよ。楽しんでやってる。でも自分には王者になるっていう目標がある。もともと趣味で始めたけど、プロになってUFCファイターになって、今は28歳。ここから6年とか7年の間に、自分の名前をもっと大きくして、お金もたくさん稼いで、可能な限り防衛して、この競技でナンバーワンになりたい」

──世界タイトルを獲ることはもちろん大事ですが、相手がイスラム・マハチェフっていう、この階級で歴史に残るくらい強いファイターを倒すっていうのは、さらに特別な意味を持つのではありませんか?

「いや、チャールズ・オリベイラ(ライト級2位)でもジャスティン・ゲイジー(ライト級3位)でも誰でも一緒だ。狙いはベルトだからね。正直、『イスラムとのリベンジマッチかタイトルか選べ』って言われたら、タイトルを取るほうを選ぶ。それは歴史に残るものだから」

──もしイスラム・マハチェフに勝ったら、「彼にトリロジー(三度目の対戦)を与える」って言ってましたよね。ライト級でのトリロジーはフランク・エドガーとグレイ・メイナードが有名ですが、あなたとイスラムのライバル関係は、この階級の歴史の中でも最大のものになり得ると思いますか?

「今の時点で言えるのは、ライト級で最高の試合のひとつになるってこと。みんながこの対戦を待ち望んでるし、トリロジーになればそれも同じように盛り上がる。5年前の初戦でさえ、今でもよく話題にされるくらいだし、今度の試合はもっとすごいことになると思う。お互いすごく成長してるし、これから先の10年でも語り継がれる試合になるんじゃないか」

──5年前に戦ったとき、あなたは22歳で、イスラム・マハチェフは28歳でした。今はあなたが28歳の全盛期で、彼は34歳に近づいています。あなた自身が大きく成長したのは分かりますが、彼に関してはどう感じていますか? 成長しているのか、むしろ当時より落ちてると思う?

「いや、彼はかなり成長してると思う。ムエタイのクリンチとか、左ヒザも上手いし、無駄にエネルギーを使わない戦い方ができてる。それでいて勝つには十分なパフォーマンスを発揮するし、彼はタイトルの防衛を重ねて経験豊富だ。お互い全盛期だが、倒す準備はできてる」

──オッズでは、あなたが3対1くらいのアンダードッグになっていますが、その点についてどう思いますか?

「ちょっと驚いたけど、ファンにとっては嬉しいんじゃないかな。俺に賭ければ大金を手にできる」

──前の試合と違う点は何だと思いますか? もちろん今回は勝つつもりだと思いますが、全体的に似たような展開になるのでしょうか?

「違う展開になるだろう。 打撃をかなり強化したし、レスリングも上達した。それに、以前よりスマートに戦うようになった。1発、2発の単純な打撃じゃなくて、いろんなコンビネーションを出せる。だから前とは違う試合展開になると思う。レスリングだけじゃなくて打撃のやり合いも多くなるはずだ」

──試合に勝ったら、ベルトを持ってロシアを歩いて横断するっていう計画は生きていますか?

「そうだな。でもChatGPTで調べたら歩くと182日かかるらしくて。ベルトの防衛もしなきゃだし、車で移動することにしたんだ。10?15日くらいかな。車のほうがいいよ」

──SNSで「これが減量前の最後の食事」と言って、テーブルいっぱいにチキンとかバーガーを並べていましたが、一番好きなファストフードは?

「今はデイブスホットチキン(Dave's Hot Chicken)が一番だね」

──「イスラム・マハチェフをドミネートする」と明言していますが、あなたが考える「ドミネート」とは?

「ドミネートっていうのは、25分間ノンストップで攻め続けて、向こうにレスリングも打撃もさせないこと。でも頭の中ではフィニッシュしたいと思ってる。相手は王者だから判定にもつれたら危ないしね。だからみんなに自分のレベルの違いを見せたいんだ」

──5年間ずっと同じ相手との再戦を待ち続け、ついにその時が来た今のモチベーションは?

「夢みたいな試合だ。特に彼が王者になってからはね。自分がランキング10位くらいのとき、彼はもう王者だった。それで『何としても勝ち続けて、ベルト挑戦まで行かないと』って思ってた。5年を経て、今こうしてタイトルマッチできるのは最高だ。最初はものすごく嬉しかったけど、今はもう試合に集中してるよ。結局のところ、ただ挑戦するだけじゃなくて、自分が王者になるのが目標だから」

──イベントでは、ロサンゼルスのドームでおよそ1万8000人の観客が入る予定です。入場曲が流れたとき、どんな気持ちになると想像しますか?

「自分の入場曲は、オフのときには一切聴かないようにしてるんだ。試合当日に初めて聴くとものすごいモチベーションが湧いてきて、アドレナリン全開になる。誰とでも戦える気持ちになるよ」

──あなたの故郷はアルメニアやジョージア、ロシアにありますが、地元の友人や家族は盛り上がっていますか?

「みんなすごく盛り上がってるよ。『早くベルトを持ち帰ってほしい』って言われてる。ジョージア、ロシア、アルメニアと、自分にはいくつも家があるようなものだけど、どこも俺を応援してくれてるんだ。だからこのベルトはその全部の人たちのために持ち帰りたい」

──ネット上で「アルメニアのブルース・ウェイン」と呼ばれていますが、それについてどう思いますか? 要はバットマンということですが、そう呼ばれる理由はあなたが強いのはもちろん、お金持ちなんじゃないかって噂があるかららしいです。

「え、バットマン? 映画を見ないからよく知らないんだ。でもバットマンって人助けするんだろ? 自分ももっと人助けしたいし、試合が終わって時間ができたらそういう活動もしたい。お金は……父親が持ってるかもね(笑)」

──ファイターじゃなかったら、何の仕事をしてたと思いますか?

「島でのんびり過ごしてお酒を飲んでるんじゃないかな(笑)」

──6年前にUFCでデビューしてから、あなたには世界中のアルメニア人ファンがついてる。母国アルメニアやアルツァフでも戦争や悲しい出来事があったけど、彼らを代表して戦うのはどんな気持ちでしょうか。そして、そんな大勢のアルメニア系ファンの前で戦うことをどう思いますか。

「そのことを考えると“もっと頑張ろう”って思うし、“絶対に諦めない”って気持ちになる。俺はこの試合で勝ってみんなにベルトを見せて、少しでも喜んでもらいたいんだ。ずっと辛い時期が続いてきたし、試合を通してみんなにハッピーな気持ちになってほしい」

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