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インタビュー

【UFC】ヒバスと5年ぶり再戦に臨むマッケンジー・ダーン「タツローは私にとって完璧なトレーニングパートナーだった」「アマンダを苛立たせて落ち着いたマッケンジーで戦う」

2025/01/11 20:01
【UFC】ヒバスと5年ぶり再戦に臨むマッケンジー・ダーン「タツローは私にとって完璧なトレーニングパートナーだった」「アマンダを苛立たせて落ち着いたマッケンジーで戦う」

(C)Zuffa LLC/UFC

 1月11日(日本時間12日朝6時~)米国ラスベガスのUFC APEXにて、UFCの2025年開幕戦『UFC Fight Night: Dern vs. Ribas 2』(U-NEXT)が開催される。

▼女子ストロー級 5分5R
マッケンジー・ダーン(ブラジル)14勝5敗(UFC9勝5敗)116lbs/52.62kg
アマンダ・ヒバス(ブラジル)12勝5敗(UFC7勝4敗)116lbs/52.62kg

 メインイベントは、女子ストロー級6位のマッケンジー・ダーン(米国)と8位のアマンダ・ヒバス(ブラジル)の5年3カ月ぶりの再戦。2019年10月の前戦では、出産後わずか4カ月で復帰したダーンのグラウンドに付き合わないヒバスが打撃で上回り判定勝ち。ダーンがMMA初黒星を喫した。

 その後、ダーンはUFCで11戦7勝4敗。ヒバスはフライ級とストロー級の両階級で戦い9戦5勝4敗と、後発のダーンの方が試合数をこなしている。

 ストロー級でルアナ・ピニェーロに3R TKO勝ちし、2024年3月の前戦でフライ級で元ストロー級王者ローズ・ナマユナスに判定負けしたヒバス。アンジェラ・ヒルに勝利後、ジェシカ・アンドラージ、アマンダ・レモスに敗れるも、2024年8月の前戦でルーピー・ゴディネスに判定勝ちしたダーン

 前日計量はともに116ポンド(52.62kg)の王座戦以外のプラス1ポンド規定のジャストでパス。5年3カ月のMMAの進化が試される試合を前にダーンは「あのときとは全く違う人間になった」と語った。

私のゴールは、その夜最高のパフォーマンスを見せるとか、KOやサブミッションではなく、勝つこと

──今回のアマンダ・ヒバス選手との試合に向けてどのようにトレーニングしてきましたか?

「ボクシングコーチであるジェイソン・パリロにたくさん練習してもらいました。いつも打撃のトレーニングをしているんです。だいぶ落ち着いてきたと感じています。あらゆる面でこの試合に勝つ準備ができています。だから、パリロのトレーニングが一番重要なんです。打撃がテイクダウンを助けてくれるし、柔術を助けてくれるから。

 それに本当に良かったことがあって。実はこの前のファイトキャンプにタツロー(平良達郎)がいたんです。みんな知ってるでしょ。彼は私にとって完璧なトレーニングパートナーだった。彼がいてくれてすごく嬉しかった」

──先日、平良選手にインタビューしたのですが、「マッケンジー選手は男性ファイターと変わらないくらい強かった」と言っていました。

「そう言ってくれて驚いたわ。タツローが来たとき、パリロは私らといつも一緒に練習するようにしてくれた。本当に、本当に良い練習で、グラウンドでも彼のユニークなスタイルを知ることができました」

──オタツロック、ボディトライアングルですね。

「彼の寝技はとてもハイレベルでユニークだった。私は何度も彼をテイクダウンしようとして、彼はサイドチェンジやバックへのスクランブルを何度もやっていた。私にとっては、彼と同じようなレベルになることが大事で、彼は常にもっと上を目指せると思っていて、もっと良くなろうと考えている。初日から3日間、とてもいい練習でした。私も早くそれを真似しようとしました。彼のようになろうって」


(C)mackenziedern

──グラップリングといえば、ラスベガスで行われたクレイグジョーンズインビテーショナル(CGI)では、女子スーパーファイトでフィオン・デイヴィスとも対戦しましたね。あなたはムンジアルとADCCを制していますが、いまはMMAが本職です。それにフィオンと立ち会ったときに、少し体格差があると感じました。MMAではストロー級(52.2kg)ですが、あの試合の階級は?

「125ポンド、56.7kgでした。8月3日にルピタ・ゴディネス戦があって、体重を調整しようと思ったんだけどあまり時間がなかったから。でも、私にとってはマットに戻ってくることが本当に楽しかったんです。(すり鉢状の)ピットの中はやはりピットで。ケージの中と同じような感じだけど異なる。ケージと違って斜面に背中を着けるとつけるとマズいなって(笑)。

 ほぼ7年間、ピュアグラップリングのトレーニングや柔術の試合もしなかった。復帰できて本当に嬉しかったの。UFCアブダビで勝ったばかりだったし。でも、また戦いたいし、次はもっと強くなって、フィオナや誰であろうと戦いたいと思う。UFCも今、柔術について発表しているから、いつか私もUFCの中で、再度契約を結んで柔術の世界に入ることができるかもしれないですね」

──フィオナとの試合、首投げからともにバックの取り合いになって、マッケンジーを先にまたいだフィオナがアンダーフックしたあなたの腕をとらえた。後ろ三角からアームバー、最後はアメリカーナのようなフィニッシュだったのでしょうか?

「彼女はバックからトライアングルに組んでテイクダウンしたの。柔術の場合、普通は壁が無いけど、彼女は壁のすぐ近くで私を倒したから、私は“よし、彼女を背中から落とそう”と思った。でも、彼女はバックから足を三角にロックして、私は少しディフェンスしようとした。ヒジは伸ばされなかったけど、腕を極められた。彼女はとても強かったと思います。私もベストを尽くしたんだけど、彼女がタイトなポジションを取ったのでそのゲームにハマってしまったというか、私もアグレッシブに考えすぎてしまった。でも、その動きの前にもっと積極的になるべきだったの。私の動きはまだ少しMMAのようでした」

──あの試合でフィオナが見せた首投げは、今回のUFCでアマンダ・ヒバスも得意とする技です。何か気付きはありましたか。

「フィオナとアマンダのスタイルは異なるから。フィオナは寝技が好きだけど、アマンダは寝技はやりたくない。柔道のテイクダウンは持っていると思うけど、私の柔術のような技術は持っていないし、柔術の感覚もない。MMAで柔道スキルがより上達しているとも思えない。知っての通り、私の父メガトンも柔道の黒帯だから、この試合に向けて、私たちはその動きもたくさん練習してきたんです。彼女が首投げに来たらディフェンス出来る。たとえ彼女が投げたとしても、私は下からも上からもたくさん仕掛けることができます」

──5年前のアマンダとの試合と前回のルピタ・ゴディネス戦を見比べれば、特に打撃において、大きな変化が見られます。ジャブ、アッパー、相手にケージを背負わせてのダブルレッグテイクダウンと、ボクシングとレスリングに置いて、大きく進化したのではないでしょうか。

「ありがとう。ルピタは打撃とテイクダウンをうまくミックスさせて戦うのにいい相手だったと思う。彼女はよりボクシング的だけど、背が低いし、あまり動かない。正面にいる。だけど、アマンダは長身だし、カウンターアタックも好きでより前後に動く。5年前と比べるとアマンダも良くなっていると思う。だから、みんなにショーを見せるのが楽しみなんです。一戦一戦が次の試合に繋がる。でも、5年前の私の試合と今回のアマンダの試合を比べたら、大きな違いが分かると思う」

──当時はMMA7戦無敗で、出産からわずか4カ月での復帰戦でした。それがMMAでの初黒星になりました。

「子供を産んだからといって、また復帰できるんだということを証明したかったんだけど、5年経ってこんなに良くなるとは思わなかった。だから、できることなら、もう少しゆっくり時間をかけて復帰するという冷静さがあれば良かったんだけど。あの時リングラスト(Ring Rust)が怖かったし、本当のMMAファイターでもなかった。リングラストが何かも知らなかった。

 でもね。おかげで、私のキャリアは違う方向に進んだ。あの時、アマンダは本当に絶好調だった。私たちが対戦した時、彼女はMMAで私より2年長く戦っていたと思う。彼女はすでにMMAの経験が少し豊富で、私はこれからって感じだった。でも、今は私の方が試合数が多いし、打撃もレスリングもテイクダウンも進化したし、多くの経験を積んできた。アマンダよりも強いパンチを持つ選手たちと戦ってきた。おかげで今の自分があると思う。だから、前回のアマンダとの試合を完全に後悔しているとは言えない。でも私としては、もしもう一度戻れるとしたら、もう少し待つと思う。

 柔術で負けたことはたくさんあります。10回くらい負けてもいい。でも、負けたからって、自分の実力が落ちるわけじゃない。今回の再戦では違うことをするつもりです。あの頃の自分はまるで別人だった。自分が自分であるようにさえ感じなかった。もちろん、あの時放った右のオーバーハンドは、今でもいくつか持っている。ハートはまだそこにあるけど、まったく違う人間になったような気がします」

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