MMA
ニュース

【RIZIN】堀口恭司「これがRIZIN最後になるかもしれない」×ズールー「5Rだったら」榊原CEO「圧倒的な強さを」──UFC再挑戦とRIZINフライ級GPを読む

2025/01/01 14:01
 2024年12月31日(火)さいたまスーパーアリーナで開催された『RIZIN DECADE』コメインのフライ級タイトルマッチで、王者・堀口恭司(ATT)が、南アフリカEFC二階級王者のエンカジムーロ・ズールーの挑戦を受け、判定3-0で勝利。あらためて今後の目標をUFCと明言するなかで、榊原CEOもそれを後押ししながらも「圧倒的な存在感を示す必要がある」と今夏開催のフライ級GPへの参加をうながした。  試合は、初回から長い左の打撃で攻めるズールーに、堀口が組み技で差を見せる展開に。開始早々に中央にリフトして運んでのテイクダウン&コントロール、そして相手をマットに磔にしてのパウンドで削っていった。  試合後、ズールーは「予想通りの展開でした。動きは予想通り」と、堀口が打撃から組んでくることを想定していたといい、「ただ予想以上に堀口選手の身体が強かったです」と、そこからのスクランブルを許さない堀口の組み力が予想外だったという。  戦前に指摘した通り、ズールーの打撃は堀口を苦しめるものだった。2Rにはクリンチ際でズールーが左アッパーを効かせるなど、左の打撃は堀口の死角から突いたもの。その後のズールーのテイクダウンに堀口が踏ん張れず尻を着いたことからも、堀口にダメージがあったことは明らかだった。  スタンドで被弾したことについて堀口は、試合後すぐにコーナーマンのマイク・ブラウンらと映像を見返して反省会を行ったという。 「試合のなかですごい課題ができた試合だなと思いましたね。なので、ちょっと気分が落ち込んでます」と、冷静に試合をとらえると、「マイク・ブラウンと映像を見て“ここダメだったね”と話しています。ズールーは思ったよりもいい選手で、打撃の反応がいいし、寝技も対応できた。すごくいい選手でした」とズールーの評価と、自身の課題を語る。 「やり辛かったというより、自分の動きがすごく悪かった。言い訳になっちゃうけど、ちょっと(マットが)滑ったりして足があまり使えなかった」と得意の出入りに躊躇があったこと、そして「“何でもらったんだろう”とか、あのパンチは見えなかったので、“何で俺がフラフラしているんだろう”とか、意識の外からもらうとフラフラしちゃうので、そこは直そうと思いました」と、ズールーの左が見えていなかったために効かされたと吐露した。  一方のズールーは、試合前から寝技のディフェンスの自信と、バックボーンの極真空手のみならず、キックボクシング、ムエタイを強化してきたことを明かしており、試合でも「何度かいい拳の交錯のやりとりはできて3回くらい効かせた」と手応えを感じていたとしたが、「攻め急ぎ過ぎた。もう少し観察してフィニュシュすべきだった」と、前ががりになったところを堀口に組まれて勝機を逃したと悔やんだ。  早くも再戦を望むズールーは、「試合後に堀口から『君、強いよ』と言われた。もしリマッチの機会があれば、ぜひ戦いたい。みんな堀口がああいう風に苦戦する姿を見ていないだろうし、5Rだったらフィニュシュできていたと思う。堀口は3Rが終わったときに肩で息をしていたから」と、逆転の芽があったとした。 [nextpage] 堀口「自分の気持ちはUFCに挑戦したい」  2024年をフライ級王座初防衛で締めた34歳の堀口にとっては、2025年は挑戦の年になる。すでにRIZINとは単発契約になっていることを明かしている王者は、「自分は世界で一番を目指しているので、UFCに挑戦したいと思っています。まだ本当に行けるかも分かっていないしですが、自分の気持ちは挑戦したいと思っています」と、あらためて世界最高峰に挑む意向を示した。  セコンドのマイク・ブラウンは、堀口のUFC再挑戦についてYouTubeでの対談で、それに値するファイターであることを語っている。 「僕はUFCでの君の戦いを見たい。それが僕の望みだ。もっと外の世界で見たい。僕は恭司が過小評価されていると思うし、世界はいかに君が強いのかを知らない。日本人は知っているのかもしれない。だけどまだ世界の人は知らない。フライ級で負けたのは、24歳のときにDJ(2015年のUFC世界フライ級王座戦で王者デメトリアス・ジョンソンに挑戦)に負けた試合だけだろう? 当時君はまだ若かった。アメリカに来たことが無かったし……君の打撃のレベルはずっと高いままだけど、グラップリングに関しては、あれからずっとレベルアップしたよね。レスリングも。あのときから1000倍は良くなっている。  君は世界で一番のファイターだ。間違いなくそう思う。特にフライ級では……UFCチャンプが(同じATTに)いるから難しい状況だけど、僕は君たち(堀口とアレッシャンドリ・パントージャ)チームメイト同士が戦うのを見たくない。君たちのレベルはとてもとても高い。でもビッグタイトルを賭けるのなら、それはよく起こりうることだ。トーナメントだったり世界タイトルマッチだったりね、そういうときだけは仕方ないと思う。僕は誰に対しても自信を持っている、恭司が世界一を獲ることに」(マイク・ブラウン)  堀口は会見で、今回がRIZIN最後の試合になる可能性について、「もしかしたらそうかもしれないですね。やっぱりファンの方も自分の挑戦をすごく後押ししてくれるので、UFCに挑戦したほうがファンの方のためになるんじゃないかと思います」と語り、「言わせましたね!」とおどけてみせた。  一方、RIZINの榊原信行CEOは、堀口の今回の試合が王座戦になった理由をズールーの実力を評価してのものだったとし、2025年夏以降に開催予定のフライ級GPで堀口には世界への存在感を示してほしいという。 「恭司は盛んに『しょっぱい試合をして』と言っていましたけど、RIZINのなかではズールーって1回しか試合をしてないので、よくファンの皆さんには実力が見えにくかったというか、彼の実力というのが分かりにくかった選手だったと思いますが、前評判から非常にレベルの高い強敵でした。それは恭司もしっかり認めて『このタイトルマッチは簡単ではないです』ということで、フライ級のタイトル防衛戦を受けたわけです。  今後の恭司の目標としては、明確にUFCということを声高に叫んでいます。ただ一足飛びに多分UFCってないと思うんですね。だからRIZINの中で圧的に──今も存在感はありますけれども、勝ちっぷりも含めて、UFCのダナ・ホワイト、ハンター(キャンベル)あたりが、『(朝倉)海に続いて恭司欲しいよね』っていうところまで、彼は2025年にRIZINのフライ級で圧倒的な強さをまた見せつける必要があると思います。  だから堀口恭司を中心にフライ級も外国勢も含めていっぱいいい選手いますんで、グランプリということも夏ぐらいから現実的に考えていきたいなという風に思っています」(榊原CEO)  果たして、堀口恭司の次なるステップは、どこに向かうか。その登攀ルートは世界最高峰に向かっていることだけはたしかだ。 [nextpage] RIZINの主なフライ級ファイター 王者・堀口恭司扇久保博正エンカジムーロ・ズールージョン・ドッドソンホセ・トーレス神龍 誠アリベク・ガジャマトフホジェリオ・ボントリン伊藤裕樹トニー・ララミー北方大地ヒロヤ新井 丈柴田”MONKEY”有哉山本アーセン中村優作征矢 貴村元友太郎竿本樹生宇田悠斗杉山廣平 ※番外セルジオ・ペティス(※バンタム級)福田龍彌(※バンタム級)伊藤盛一郎(※RTUほか)藤田大和(※UAE Warriors)KENTA(※DEEP)駒杵嵩大(※BLACK COMBAT)関原 翔(※DEEP)本田良介(※DEEP)
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント