2024年12月7日(土)、タイ・バンコクのルンピニー・スタジアムのリングで開催される『ONE Fight Night 26: Lee vs. Rasulov』(U-NEXT配信)にて、ONEフライ級2連勝中の若松佑弥(TRIBE TOKYO MMA)が約11カ月ぶりの試合に臨む。対するは元LFAでONE初参戦のギルバート・ナカタニ(米国)。直近の2試合はLFAで戦っており4連勝中で通算戦績は8勝1敗だ。
前日計量およびハイドレーションテストをパスした若松(134.25 lbs)とナカタニ(132.25 lbs)のインタビューが主催者より届いた。なお、日本からサブミッショングラップリングでコール・アバテと対戦する青木真也も、計量およびハイドレーションテストをパス。ペッタノン・ペットファーガスvs.ナビルのONEバンタム級キックボクシング戦は、ペッタノンが計量およびハイドレーションテストのパスできず。アナン戦は中止となっている。
若松は、2022年3月にアドリアーノ・モラエスの王座に挑戦も3R 一本負けで戴冠ならず。同年11月にウ・ソンフンとのキャッチウェイト戦で判定負けで2連敗を喫したが、2023年7月にシェ・ウェイを1R TKOに下すと、2024年1月にダニー・キンガッドに判定勝ちで2連勝中だ。
キンガッドを相手にノンストップのスクランブル戦でパウンドでダメージを与えた若松は、北米の強豪を相手にスクランブルをさせずに上回れるか。
デメトリアス・ジョンソンが引退し、王座が空位のなか、11月9日(土)の『ONE 169: Malykhin vs. Reug Reug』(U-NEXT)では、フライ級1位のアドリアーノ・モラエスと3位のダニー・キンガッドが対戦し、モラエスが2R ギロチンチョークで一本勝ちしている。現在2位の若松にとって、ランキング外の外敵を退けて、モラエスとの王座決定戦をアピールしたいところだ。
2024年12月7日(土)にタイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催される『ONE Fight Night 26』のフライ級MMAで、ギルバート・ナカタニ(米国/日本)と対戦する同級2位の若松佑弥(TRIBE TOKYO M.M.A)が試合前のインタビューに応えた。
若松は2023年7月に中国の実力者のシェ・ウェイにKO勝利し、2024年1月の日本大会でダニー・キンガッドを判定で下し2連勝中だ。
対するナカタニはONE初参戦。直近の2試合はLFAで戦っており4連勝中で通算戦績は8勝1敗。前王者デメトリアス・ジョンソンの現役引退に伴い、ONEフライ級MMAの世界王座は現在、空位の状態。タイトル挑戦を狙う若松にとって、今回の試合は落とせない試合だ。
若松「自分の生き様を出す戦いを見せる、ONEフライ級は僕が一番強い」
──コンディションは?
「コンディションはめちゃくちゃいい。今までで1番です。新しいことが見せられるなっていう感じです」
──今回の試合に向けて練習状況は?
「ロータス(世田谷)に行ったりはしていますが、基本的にはTRIBEで変わらず練習しています。ただ萩原京平選手がTRIBEに移籍してきたり、メンバーの出入りはありますが、基本的には同じ環境です」
──この期間、プライベートでは何か変わったことはありましたか?
「そうですね。2人目が生まれたのは変わらずなんですが、今ちょっと家族と離れています。試合前の追い込み期間は離れて別々で暮らしている状況ですね。やっぱり子供がいると風邪をもらったりとか、食事の面だったりとか、そういうものも大変だったりするので。あと睡眠の質とかも変わります。家族との時間は楽しいですが、そこでちょっとした仕上がりが甘くなる感じがしたので、今は別々に暮らしています」
──対戦するギルバート選手について、最初にオファーを聞いた時どう感じましたか?
「全然知らない相手だったので、沢山あった映像を見ました。アメリカ人選手との対戦はあんまりないので良いなと思いました」
──選手としての印象は?
「思い切りが良くて、全てできるタイプ。そして気持ちの強い選手だと感じました」
──言える範囲で、相手の強みや弱み、警戒点などはどう分析しますか?
「どの選手にも当てはまりますが、やっぱり自分自身が気を抜かないことが大切。相手は全局面でフィニッシュを狙うだろうし、こちらも狙うので、そこのバランスというか、行き急ぎすぎない。その上で消極的にならない。戦いのキワだったり、集中すべきところはより意識をする。寝技もそうですが、打撃もある程度強い選手だったら誰でも危ない。相手はパンチが強く、特に右のパンチを警戒しないと。そしてパワーも強いと思うので、そこでも負けないようにしたいと思っています」
──長くONEで戦う若松選手にとって、初参戦の相手の試合を受けることはリスクですか?
「これまでONEでやってきたというアドバンテージはあると思いますが、相手が”道場破り”的な感じだとすると、“絶対に負けられない”という受ける側のプレッシャーはありますが、それくらいです」
──そのアドバンテージとは、ONEの試合における経験値という意味でしょうか?
「そうですね、特にONEの計量は難しいと僕は思っています。そして、試合前なので分かりませんが、スピードやパワーは自分が上回っている自信があります。今回はそのことをしっかりと集中して出し切ればいいと思っています」
──言える範囲で、想定する試合展開、イメージしているフィニッシュ方法は?
「色々と想定しています。スタンドパンチでもグラウンドでも仕留めることはできるし、判定でもどんな手でも勝つことを考えています。ただ、チャンスがあったらやっぱり倒しに行きます。しっかり勝負をつける展開が自分の理想です。面白くない判定で勝っても仕方がない。最後の1秒まで倒しにいくか、もしくは開始1秒で速く倒すか、そのようなイメージです。直近の2試合以上に進化した姿を見せたいと思っています」
──では、試合のテーマは「フィニッシュ」ですか?
「そうですね。それを言ったら相手が攻めに来るってわかると思うのですが、それでも凌駕する気持ちで行くので、『フィニッシュ行く自分を超える』というテーマですね」
──デメトリアス・ジョンソン(DJ)が引退して現在、フライ級王座は空位です。この試合に勝った場合、王座決定戦への挑戦も意識していますか?
「そうですね。やっぱりONEのベルトが欲しいので、相手は誰でも良いのでタイトルマッチをやってベルト巻きたいと思っています。この試合でしっかり勝ってタイトルマッチをお願いしたいですね」
──11月にダニー・キンガッドを2R ギロチンチョークで極めたフライ級1位のアドリアーノ・モラエスと)とのリマッチも頭にはありますか?
「モラエスでも誰でも本当に良いです。ONEが用意してくれた相手でタイトルマッチをやりたい」
──仮にモラエスとのリマッチが実現した場合、 どのような戦いになると思いますか。
「すごい激しい戦いになると思います。本当に“斬るか、斬られるか”の激闘になるので、すごい盛り上がると思います」
──キンガッドvs.モラエス戦を見たと思いますが、どのような印象を持っていますか?
「レベルが高い試合でした。プラス緊張感というか、どちらも一発があるというか、 いつ終わるかわからない緊張感の中で仕留めきれたモラエスは本当に凄い。ただ、自分はそれすらも凌駕して仕留めに行ける自信があります。2年前の自分と今の自分とでは全然違うので、モラエスを凌駕してKOしてやろうとと思っています」
──自身のインスタに仏像彫刻の投稿をしていますが、自信が制作した不動明王の作品について、その想いや目的を教えてください。
「宮本武蔵をテーマにした『バガボンド』という漫画をずっと前から読んでいて、戦いの前に武蔵が仏像を刀で彫るんですけど、その影響を受けました。その意味は、弱い自分と向き合うためだったり懺悔の意味だったり色々あると思います。昨年7月くらいに縁があり、仙三さんと一緒に彫る体験をしました。そこで今の先生とあったのですが、彼が自分と同じ鹿児島県出身というのもあるし、体験をしたお寺自体に色々な縁がありました。自分自身もその後に試合が決まったり、縁の力を感じました」
(C)Yuya Wakamatsu
──仏像彫りを実際にすることでどんな影響がありますか。
「仏像彫りはすごく楽しいし、何より集中できます。武蔵じゃないですけど、修行というか、懺悔じゃないですが、仏様とかそういうものを彫ることによって精神が研ぎ澄まされる感覚があります」
──彫るのが不動明王なのは?
「自分が格闘家というのもあって、先生から勧められました。そして、今年の10月に鹿児島で先生が展示会を開催し、そこに僕の不動明王を展示する話になりました。子供の頃は、護摩焚きや参拝などお寺にはあまり好きではなかったのですが、この年齢になって、縁があるのは絶対に何かあるのかもしれないです。先生から与えてもらったものはパワーになるし、先生から多くのことを学んでいます。ですので、彫ること自体にも格闘家としてだけでなく、人としての強さにも繋がると信じています」
──今回の不動明王の作品にはどんな意味を込めていますか?
「自分の魂というか、まっすぐな想い。格闘技だったり人生への想いを生き写す感じで。あとはシンプルに、不動明王みたいなメンタルじゃないですけど、不動の心を得る位の想いで彫りました」
──今回の試合、 ご自身にとってどのような戦いになりますか?
「本当にもう絶対負けられないので。タイトルマッチとかと同じぐらい大事な試合です。もちろん、今までの試合も大事でしたが、まだ自分はチャンピオンではないので、これが1番大事と言えますね」
──同じTRIBE所属の三浦彩佳選手が獲得したパフォーマンスボーナスは意識しますか?
「もちろんフィニッシュを狙うので。決めます。今までと変わらず、それ以上にもっと濃くした戦いをするので、ボーナスはいけると思います」
──最後にファンへメッセージを。
「前回のキンガッド戦から、これまでやってきたこと、格闘技以外のことも含めて全て出します。自分の生き様を出す戦いを見せるので、しっかり見てください。あとONEフライ級は僕が一番強いと思っているので、それを世界に知らしめます」
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ギルバート・ナカタニ、若松佑弥とのデビュー戦に「フィニッシュを狙う、世界最高の一人であることを証明する」
対するナカタニは、ラスベガスのシンジケートMMA所属でMMA8勝1敗。2014年からのアマチュア戦でも10勝2敗と好成績を残している。プロMMAでは4KO・TKOと2つの一本勝ちをマーク。
『ONE Fight Night 6』でマイキー・ムスメシと判定まで耐えたガントゥムル・バヤンドゥレンを2021年の『LXF 6』(ビクター・ヘンリーがメインイベントの大会)でリアネイキドチョークで一本に極めるなど組み技にも積極的だ。
(C)LFA
20224年8月の前戦『LFA 190』では、3.4ポンド体重超過のジョーダン・ハリスに対し、オーソからシングルレッグ、ハイクロッチで持ち上げてスラムするなど、パワフルな攻撃を仕掛け、スクランブルからバックの取り合い、肩固めやスピニングバックエルボーなど、ひとときも止まらない激闘を見せている。
初戦からトップランカーの若松と激突するが、若松は2024年1月の日本大会でダニー・キンガッドを下し2連勝と波に乗っており、裏を返せば、その相手に選ばれたナカタニに対する期待度も相当なものだと言える。
前王者DJの現役引退に伴い、ONEフライ級MMAの世界王座は現在、空位の状態。果たして、ナカタニは若松を下し、一足飛びでタイトル挑戦のチャンスを掴むのか。
私はマイキーがフィニッシュできなかったガントゥムルにチョークを極めて勝っている
──いきなりフライ級2位のコンテンダーとの対戦。これは異例のデビュー戦です。このことについてどう考えますか?
「私は自分自身を信じているので、世界の誰とでも戦います。誰が相手でもいい。DJが引退してベルトが空位になったことは、世界最高の選手の一人として私の名前を世界に知らせる絶好の機会だ。過去1年、数試合の経験で、私は本当に成長したと思うし、ファイトIQも上がった。私は最強になりたい。チャンピオンになりたい。これは世界一に近づくための新たな足がかりに過ぎない。今回は私にとっては大きなチャンスだし準備はできている。自分の全てを出し切り、勝利したい」
──若松選手の長所と短所、どう分析しますか?
「彼は理由もなく2位の選手な訳ではない。ビッグマッチで勝ったことがあるし、ビッグネームと接戦を演じたこともある。タイプ的にはオールラウンドなファイターだと評価している。彼は全体的に素晴らしい選手だから何を持ってくるか分からない。しかしそのスキをつける気がする。私がやることはこれまでやってきた練習や準備を信じ、規律を守り、ミスをせず、自分のゲームプランを実行するだけだ」
──ONEはハイドレーションなど独自の計量システムを持っています。さらにメディア対応など戦前からすべきことが多くありますが、この点はどう考えますか?
「正直に言えば、それほど大きなことではありません。エキサイティングな気持ちを持ちつつも謙虚さを忘れず、いつもと変わりない状態で挑めると思う。私は(ONEグラップリングで)マイキー・ムスメシがフィニッシュできなかったガントゥムル・バヤンドゥレンにリアネイキッドチョークを極めて勝っている。だから彼の姿をONEで見た時、私があの場所に立つイメージができていた。勝ち続ければ、早かれ遅かれ、ONEで戦うと信じていた」
──今回の試合の理想的な勝ち筋は?
「どの試合もそうだが、私はいつもフィニッシュを狙っている。私はフィニッシャーだから。アマレスをやっていた高校時代から、私は相手を泣かせてボコボコにして帰らせようと考えていた。私は昔から根っからのファイターだった。どんなことをしてでも勝ちたかったんだ。今回の試合は花火のような激しいバトルになるだろう。良い動き、良いテクニックがたくさんある試合になるだろう。彼も同じだと思うが、それ以上の情報は言えない。とにかくフィニッシュを狙う」
──若松選手に勝った場合、次の展望は?
「全ての出来事には理由がある。試合後、手を挙げることができ、さらにフィニッシュを決めることができたら、世界最高の選手の一人であることを証明できる。当然、チャンピオン候補に名前を連ねることができるだろう」
──最後にファンにメッセージを。
「ギルバート・ナカタニが披露する、沢山のクールなテクニックに注目して欲しい。本当に格闘技に興味がある人たちは、私のテクニックやフォームがどの程度のものか、理解できるはずだ。花火のような激闘を期待していてくれ。タイトル挑戦への一歩、このために生まれてきたんだ。待ちきれないよ」