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2024年11月16日(日本時間17日)、米国ニューヨーク州ニューヨークシティのマジソン・スクエア・ガーデンにて開催される『UFC 309』(U-NEXT配信)の前日計量が15日(日本時間16日)行われた。
コメインは、ライト級の5R戦で、2021年5月以来。3年半ぶりの再戦で、元UFC同級王者チャールズ・オリベイラと、元Bellator同級王者のマイケル・チャンドラーが対戦する。前戦では、先にチャンドラーがダウン奪取もオリベイラがダウンを奪い返しKO勝ち。計量で両者はともに155.6ポンド(70.58kg)でパスした。
▼ライト級 5分5R
チャールズ・オリベイラ(ブラジル国旗)34勝10敗(UFC22勝10敗)2位
マイケル・チャンドラー(米国)23勝8敗(UFC2勝3敗)7位
35歳のオリベイラは、チャンドラー戦後、ダスティン・ポイエー、ジャスティン・ゲイジーをリアネイキドチョークで極めるも、イスラム・マカチェフに肩固めで一本負け。ベニール・ダリウシュに初回TKO勝ちで再起も、2024年4月のアルマン・ツァルキヤン戦でスプリット判定負け。
38歳のチャンドラーはオリベイラ戦後、ゲイジーに判定負け。トニー・ファーガソンを右前蹴りにKOも、2022年11月の前戦でポイエーに3R リアネイキドチョークで一本負けしている。コナー・マクレガーとのウェルター級でのTUFコーチ対決がマクレガー負傷で中止に。オリベイラ、チャンドラーともに再起戦となる。会見で両者は、再戦への意気込みを語った。
チャールズ・オリベイラ「自分がどこから来たのか、決して忘れたことはない」
──マイケル・チャンドラーとの戦いを数年前に終えたけど、今回リマッチが実現することになった。今回のファイトキャンプはどうだった?
「今回のキャンプはいい経験になった。彼は俺に勝てると証明しようとしているし、俺はまた彼を倒せると証明するつもりだ。過去のことは過去にして、今回の試合に集中している」
──ジム・ミラー戦、ニック・レンツ戦など、あなたは再戦経験が多い。再戦では初戦とは違うアプローチを取っている?
「常に良くなること、常に成長することが目標だ。それがジムに戻る理由でもある。ファイターとして、戻って練習を積む。それがやるべきことだ。必要な部分を改善する。これまでも同じだ。そして今度はマイケル・チャンドラーだ。前回は勝ったけど、今回の試合でさらに良い戦いができることを目指している」
──マイケル・チャンドラーが「チャンドラー1.0は血に飢えた男だったが、チャンドラー2.0はベルトを狙っている」と言っていたのを聞いたよ。彼の狙いは君の意識を失わせてリングから追い出すことらしい。
「彼は初めてベルトを巻くことを目指しているけど、俺はベルトを奪い返すことを目指している。俺は一度マイケル・チャンドラーを倒しているし、今回も彼を倒すつもりだ」
──マイケル・チャンドラーにとって、この試合はリベンジでもあるし、マディソン・スクエア・ガーデン初勝利を狙う試合でもある。君にとってはどうだろう?
「みんなここに来て同じようなことを言うんだ。トークだけで、こうするつもりだ、ああするつもりだって。でも、実際に試合で実行できるかは別問題だ。この舞台は特別で、素晴らしい場所だ。観客や周りのエネルギーも本当に特別だ。俺はこの試合に全力を注ぐし、前に出続ける。試合でそれを証明するよ」
──このイベントには、UFC最多勝利数などの記録を持つジム・ミラーや、タイトルマッチでの勝利数を含めた複数の記録を持つジョン・ジョーンズが参戦する。こういったファイターたちと、あなたが同じ舞台に立つことはどんな意味を持つ?
「偉大なことを成し遂げる偉大な選手たちの中にいるということ。才能が集まる場所にいて、彼らと一緒にいるのは本当にすごいことだ。このステージを共有できるのは感動的だよ」
──あなたがこの試合でボーナスを獲得すれば、UFCで初めて20個目のボーナスを獲得することになる。
「しっかり聞いてほしいんだけど、俺はボーナスを狙ってここで戦うわけじゃない。ただ、戦っていると、自然とボーナスが俺のもとにやってくるんだ。今回も、またそうなるかもしれないな」
──この試合に勝ってタイトル挑戦権を得たら、イスラム・マカチェフとアルマン・ ツァルキヤンのどちらかにリベンジしたいという思いはある?
「ファイターはみんな王者を目指すものだ。それが俺たちの望みだ。アルマン・ ツァルキヤンとイスラム・マカチェフと戦いたいわけじゃない。ベルトを巻いている相手と戦いたいんだ。だから、イスラムとアルマンのタイトルマッチを、俺は最前列で見るよ。そして、試合後にベルトを持っている相手こそが、俺のターゲットだ」
──前回のアルマン戦は接戦で、あなたの勝利と考えている人もいる。あの試合で学んだことは?
「確かにあの試合は接戦だった。一部の人は彼が勝ったと言うが、俺は1ラウンドと3ラウンドを取ったと思っている。でも、それは過去の話だ。俺が学んだことは、待ってはいけないということ。待つんじゃなくて、自分から前に出て、狩りに行くつもりだ。試合を通して前進し続ける。戦略は頭にあるが、どの瞬間でも仕留めにいく姿勢で臨む」
──イスラム・マカチェフとアルマン・ ツァルキヤンはどちらが勝つと思う?
「本当に難しい質問だ。二人とも非常に似たスタイルを持っているし、素晴らしいグラップリングを見せる。個人的には、イスラムの方が少し進化した打撃スキルを持っていると思うけど、最終的に勝つのは、その日により調子が良く、集中できているファイターだと思う」
──マックス・ホロウェイがライト級にやってくる。君たちは過去の対戦歴があるし互いに人気がある。再戦は君の視野に入っている?
「そうだね。素晴らしい戦いになると思うよ。これまで偉大な選手たちと戦ってきて、倒してきた。ノックアウトもしてきた。でも彼との試合ではケガがあったから、もし再戦できるなら嬉しいよ」
──この大会のメインを戦うジョン・ジョーンズは常に自分のレガシーについて語っているけど、あなたにとってのレガシーは?
「自分のレガシーは、これまで成し遂げてきたことすべてで築かれていると思う。記録、ボーナス、フィニッシュ、ノックアウト。物事に向き合う姿勢、戦い方、振る舞い方もそうだ。誰かを悪く言ったり、争いを起こすためにここにいるわけじゃない。尊敬を持ってみんなに接するようにしてきた。それが自分の歩んできた道であり、今いる場所に辿り着いた理由だと思っている。
物事にどう向き合うか、そして誰かを踏み台にして進むようなことをしないこと。それが自分のやり方だ。いつも地に足をつけて謙虚であり続け、どこから来たかを忘れなかった。すべてが積み重なってレガシーを築いてきた。それが自分のレガシーだ」
──トレーニングキャンプはどうだった?
「トレーニングキャンプはサンパウロで過ごしたよ。とても厳しく、集中したキャンプだった。たくさんの努力、そして勇気を振り絞って、乗り切ることができた。この試合に向けて準備は万全だ」
──チャンドラーに勝っている部分は?
「チャンドラーに敬意を払いつつ、俺はすべての面で一歩先を行っていると思っている。スタンドでの戦いでも、レスリングでも、柔術でもどこでも、俺は彼よりも一歩上だと感じている。もう一度言うけど、全ての面で一歩先を行っていると信じているよ」
──ライト級は今のUFCで最も注目される階級の一つだが、ブラジルの仲間であるヘナート・ モイカノ(ライト級10位)も躍進中だ。もし彼がランキングを上げ続けた場合、将来的に対戦を歓迎する?
「まず、ブラジル人の成功を見てとても嬉しく思う。モイカノは試合だけでなく、トークを含めてファンがなにを楽しむかを理解しているし、好かれている。ただ、俺は上を目指して前に進むタイプだ。今のところ彼との対戦を考えているわけではないけど、もしUFCがモイカノ戦をオファーしてきたら、もちろん準備はできているよ」
──あなたはすでに多くのことを成し遂げ、夢を叶えてきた。今のあなたがファヴェーラ(ブラジルのスラム街を指す言葉)の小さな少年だった頃のチャールズ・オリベイラに何を伝えるか、教えてほしい。
「自分がどこから来たのか、決して忘れたことはない。常に心に留めている。今、同じような道を歩む少年に伝えたいのは、夢を諦めないこと、神を信じ続けること、そして成功の味は上に登った時により甘く感じられるということだ。ファヴェーラ出身の少年にとって、状況は厳しいけど、それを超えていくためには努力が必要だ。自分も多くのことを成し遂げてきたけど、それでもまだ頑張り続ける。ファヴェーラの少年は、他の10倍の努力をしなければならない。それが俺のメッセージだ。厳しい状況にあるなら、それを抜け出すために働き続ける必要がある。決して夢を諦めないで欲しい。それを伝えたいんだ。 続けること、それが価値あるものだと信じてほしい」
──ライト級は層の厚い階級だが、おそらくフェザー級王者イリア・トプリアもライト級タイトルを狙っているが、どう思う?
「イリアは強いファイターで、口だけでなく行動で示す男だ。彼が挑戦を望む理由もよく分かるし、彼が強敵であることは間違いない。ベルトを手にしたファイターたちは、階級を転向して挑戦したくなるものだが、ライト級に上がってくるなら慎重であるべきだ。この階級は非常に厳しいからね。それでも彼はタフで危険な存在であることに変わりはない」
──息子のドミニク君が生まれてから1カ月か月が経ったね。彼の誕生がファイターとしての君の心構えをどう変えたか、教えてほしい。それから、君が育った環境とは大きく異なる場所で彼が生まれることが、どれほどの意味を持つのかも聞かせてほしい。
「息子に、王者になれるということを示したい。娘のタイラーに、王者になることができたと見せられたようにね。 両親が自分に与えてくれたすべての支えやサポートを、息子にも提供できるのは本当にありがたいことだ。どこから来たのかを彼に示しながら、同時に地に足をつけて生きることを忘れないように教えたい。みんな同じところにたどり着くものだから、足元をしっかりと見つめていくべきなんだ。その機会を持てることは素晴らしいし、これが息子に伝えたい教訓だ」