チャンヒョン・リーをも破った原口の次の標的は、KNOCK OUTのエースとして活躍した森井洋介
2019年11月17日(日)岡山・岡山市総合文化体育館メインアリーナ『JAPAN KICKBOXING INNOVATION 認定 第6回岡山ジム主催興行』で、元KNOCK OUTライト級王者・森井洋介(野良犬道場)と対戦するRISEライト級2位・原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM)のインタビューが主催者を通じて届いた。
原口は空手出身で、高校からはボクシングを始めて17歳でプロデビューし、2016年西日本新人王決定トーナメントで準決勝進出。2017年にキックボクシングでプロデビューすると、わずか2戦目でACCELフェザー級王者となり、翌年(2018年)のRoad to RIZINキックトーナメントでMOMOTARO、宮崎就斗を破り見事優勝。
RIZINの大舞台では元K-1世界王者・大雅を相手に判定1-0(1ポイントは原口)でドロー。今年に入ってからはRISEで外国人選手相手に初回KOが2回、ライト級トップの北井智大にも判定勝ち、さらに9月16日には強打者チャンヒョン・リーに完封勝ちして9戦負けなしの波にのっている。戦績は12勝(7KO)1敗1分。
チャンヒョン、森井とは試合をしたくなかった
――9月16日、RISE幕張メッセ興行のチャンヒョン・リー戦は、ジャッジ2名がフルマーク(全ラウンド原口が優勢)の30-27(残り1名は30-28)をつけての完勝3-0となりました。
「作戦通り完璧に戦えました。90点! 10点のマイナスは、もっと行けるところで行くべきだったなって心残りです」
――その作戦とは?
「距離ですね。自分の優位を保って絶対にロープを背負わない。相手のジャブが当たらないけれど、僕の三日月蹴りは入る間合いをキープする。ジャブがヒットしないとパンチは当たらないですから。今回に限っては『倒す』ってことを頭から抜いて勝つことに専念しました。常にKOは狙いたいんやけど、チャンヒョン選手のタフネスは半端ないので、無理に倒しに行くことで自分の距離が保てなくなることを避けなくちゃあかんなと」
――関係者間で原口選手の実力評価はすこぶる高くはありましたが、紛れもない超競強豪からの勝利は、その実証となり、一気に注目度が増しました。
「幼稚園から空手をやって、プロボクサーからプロキックボクサーになって、14戦のキックキャリアで間違いなく最強の相手でした。チャンヒョン選手には、実は特別な思い入れがあるんです」
――特別な思い入れとは?
「対戦が決まる以前から憧れのキックボクサーの一番がチャンヒョン選手だったんです」
――それは意外でした。
「絶対に後ろに下がらない勇敢なところや、最後まで倒しにいく姿勢、リング外ではビックリするほど人徳者で、今回の試合も外国人選手にも関わらずチャンヒョン選手への声援が凄くって、日本にファンが沢山おられることにも感動しました」
――そんな特別な選手に勝利した次、“Mr.KNOCK OUT”とまで呼ばれた森井洋介との試合が決まっているわけで、『前門の虎、後門の狼』状態。虎をクリアーしたら、すぐに狼が待ち受けているわけです。
「僕、ずっと前から『強すぎて試合をしたくない選手がいる』と周囲に言っていたのですが、それがチャンヒョン選手と森井選手だったんです。
――そんな「試合をしたくない」2選手と連戦となってしまった?
「やりたくないけど→やりたい→やらなきゃいけない、といった具合で是非やらせていただきたいと」
――何故、真反対の方向に気持ちが切り換えられたのでしょう?
「強くなるには、強いヤツとやらなきゃあかんやないですか!」
「今の選手たちを見ると勝率だとか気にして星取り計算するようなのが多くて、僕はほんっとにそんなんどうでもいいんですわ。弱過ぎて試合をする意味が見つからない相手以外、オファーされて相手を選んだことなんかないし、これからだって変わりません。強くなる為だったら嫌いな試合だってなんぼでもやったります」
――嫌いな試合?
「実は、試合するのって子供の頃から大嫌いで、それは今もなんです」
――それはまた何故?
「試合前のピリピリした空気がイヤで。試合が決まった瞬間から練習でも普段の生活でも試合中心になって緊張感が入り込んできて、計量の時なんかそれがピークになるやないですか。一番イヤなのが試合の日、会場入りしてからの控室の雰囲気。いっそのこと試合なんて、ある日、突然、その場で始まるくらいの方が僕は楽です」
――武道家的な発想です。
「それだけの練習を普段からしているので、可能であればそう願いたいです。ホンマに」