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レポート

【DWCS】現王者も観戦に。アレックス・ペレイラと1勝1敗もGLORYを解雇されたヴァキトフが、MMA4戦目のコンテンダーシリーズ初回TKO勝ちでUFCと契約

2024/10/09 21:10
 2024年10月8日(日本時間9日)米国ラスベガスのUFC APEXにて『Dana White's Contender Series 2024 : Week 9』(UFC FIGHT PASS配信)が開催された。  APEXの会場には、3日前にライトヘビー級王座を防衛したばかりのアレックス・ペレイラが姿を現した。今回のメインイベントに出場する、かつてのGLORYのライバルの試合を生で観戦するためだった。 ▼ヘビー級 5分3R〇アーテム・ヴァキトフ(ロシア)3勝1敗[1R 4分23秒 TKO]×イスラム・マスラフ(フランス)3勝1敗  GLORYライトヘビー級(-95kg/209lb)王者に2度輝いているヴァキトフは、2021年に現UFC世界ライトヘビー級王者のアレックス・ペレイラと2度戦い、1勝1敗。初戦はペレイラがスプリット判定で勝利し、2戦目でヴァキトフが判定3-0で勝利している。プロキックボクシング23勝(8KO)6敗。  MMAでは2勝1敗で、2023年6月のプロMMAデビュー戦で55秒でヒジを脱臼し、1R TKO負けも、2024年1月のWEF、2月の『Naiza FC』でいずれも1R TKO勝ちで今回のDWCS出場を決めた。  対するマスラフは、MMA3勝0敗。3試合ともにフィニッシュ勝利しており、デビュー戦でギロチンチョークで一本勝ち。2024年2月に1R TKO勝ち。3月の前戦では『PFL Europe 1』に出場し、ノーガードで余裕を見せるミカエル・グロゴエに左ハイキックでダウンを奪いパウンドアウト、1R TKO勝ちしている。  1R、オーソドックス構えのヴァキトフに、サウスポー構えのマスラフはいきなり左から右を強振して前に。かわしたヴァキトフは、ケージ際で体を入れ替え、右で差して押し込み。  左小手巻のマスラフは左手首を掴んで組み手争いも、切ってクラッチしたヴァキトフが崩しに。その際で押し倒して上になるのはマスラフ! ニアマウントでピンチになりかけたヴァキトフだが、マスラフは押さえ込まずに中腰のままパウンド。  そのスペースで左を差して立ち上がったヴァキトフは金網背に。マスラフのダブルレッグを切って離れる。  マスラフの遠間からの右から左フックをかわして組んだヴァキトフは、両脇を差して押し込み。ボディロックで崩して片ヒザを着かせたヴァキトフだが、すぐに戻すマスラフ。押し込み右ヒザを突くヴァキトフは、組みでも勝負。マスラフは右の小外で崩すと、ヴァキトフが離れる。  中央を取るマスラフの左ストレートをしっかりディフェンスするヴァキトフは右ヒザを突くが、そこにシングルレッグテイクダウンはマスラフ。  尻は着かずに左で差して立ち上がるヴァキトフは、右を差し返して両差しにして体を入れ替え。頭をアゴ下につけてケージレスリングを挑み、左ヒザを突く。  右で差して煽って左ヒザを突き、ダブルアンダーで崩して上になったヴァキトフは、マスラフの立ち上がりにバックから右を当て、マスラフのの打ち返しはかわすと、ワンツーのシャープな右。  さらにスイッチしてサウスポー同士にすると、マスラフの左をかわして前手の右フック! 一瞬動グラついたマスラフの組みを剥がして左ヒザを突き上げ、マスラフの押し込みに体を入れ替える。  離れるマスラフを追って金網に詰めると、オーソから右ボディ! さらに右ストレート! ワンツーから右アッパー2発にマスラフが崩れ、パウンド1発にレフェリーが間に入った。  序盤は組みの展開で削り、1R後半に右を効かせると、的確に攻めどころを逃さなかったヴァキトフが1R 4分23秒 TKO勝ち。  クラシック音楽の教育も受けた音楽家でもあるヴァキトフは、6歳の時に空手を始め、5年間学び、引っ越した場所にあるクズバス・ムエタイ・ジムでキックボクシングを始めた。GLORYライトヘビー級王座につくも、2022年にロシアがウクライナに侵攻したため、同年6月にGLORYがロシア人選手を解雇している。  2023年6月に新天地でMMAデビューも負傷により苦い敗北を喫したが、2年をかけて、MMAファイターとしての戦いで、かつてのライバル・アレックス・ペレイラが頂きに立つマットに上がってきた。  実は、今回のDWCSには、GLORY時代にペレイラに勝った選手がもう1人参戦していた。「Week5」に出場したユースリ・ベルガウイ(オランダ)は、日本の岩﨑大河に3R TKO勝ちしたが、UFCはその試合内容から契約を見送っている。  今回のヴァキトフは、MMAファイターとしての強さと決定力が評価されてのUFCとの契約になる。試合後、デイナ代表は「バックステージでアレックス・ペレイラと話したけど、君はMMAを含まずに30戦くらいを戦っている。アレックスは君について『間違いなくUFCに参戦すべきだ』と言っていた。ありがとう、アレックス。アーテム、UFCへようこそ」と語った。 まだ粗さのあるヴァキトフは、UFC本戦でどんな進化を遂げていくか。
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