2024年10月13日(日)東京・渋谷のSpotify O-EASTにて開催される『BOM 49』(U-NEXT配信)にて、「ムエタイvs.クンクメール」対抗戦でボーン・ポンレック(カンボジア)と対戦する名高・エイワスポーツジム(=吉成名高/エイワスポーツジム)のインタビューが主催者を通じて届いた。
名高が今回対戦するのは、カンボジアのムエタイと呼ばれるクンクメールの選手。近年、K-1やKNOCK OUTにもクンクメールの選手が来襲し、タイ人ムエタイ選手よりもアグレッシブでハートの強い攻撃型の選手が多いとの評価を得ている。
ボーンはサウスポーで、左ローキックをバンバン蹴って来る選手。左右のハイキックも得意のようで、ローから変化する。さらには顔面とボディへのバックスピンキック、バックハンドエルボーと回転系の技も使いこなす。組むとヒジ打ちを頭部に突き立てるなど好戦的な選手ではあるが、下がって相手を誘いカウンターの左ローを効かせていく戦い方も出来る。
ここで負けたらムエタイが否定される
――前回9月のBOMではペットアヌワットに2RKO勝ちでした。
「相手選手がオーソドックスで長身のムエカオの選手だったんですけど、自分は最近KO勝ちができてなかったというのもあって、絶対に倒したいという気持ちが前に出ちゃった試合だったかなと。自分が組み立ててやりたかったことが全部ハマって、今年の中で一番作戦通りに動けた試合だったと思いました」
――試合前は相当警戒していた相手でしたが、イメージ以上の攻撃はありました?
「特に縦ヒジはいつも彼が倒すパターンというか、得意とする攻撃だったので、そこを自分が行こうとした時に合わせられるヒジを警戒していました。1R終了間際に、ダウンを取ってから倒し切りたいという気持ちが前に出たことで、僕がヒジをちょっともらいかけてしまったシーンがあったんですけど、そこ以外は特に予想が上回るものはなかったですね。
ただ、ヒジを当てられた瞬間にレフェリーの足に引っかかっちゃってバランスを崩して転んだことで、効かされたと思われたのか、トレーナーのクンさんや中川会長から『大丈夫か?』と心配されました。その時にヒジを肋骨にもらったんですけど、その箇所がここ最近までずっと痛くて、多分ヒビが入ってたんじゃないかなと思います」
――検査はしてないんですか?
「はい、どうせ検査しても折れているか折れていないか分かるだけなんで(苦笑)。3日くらい前までは気にしながら練習したんですけど、最近ふと気付いたら、そういえば痛みがなくなってるなと(笑)。なので今はもう大丈夫です!」
――よほどの怪我じゃないと検査に行かないですか?
「以前に練習で肋骨が折れちゃった人がいて、誰かが『肋骨にヒビぐらいだったら、折れたうちに入らないよ』と言われたことがずっと頭に残っていて、僕も大丈夫なのかなと思いました(笑)」
――安心しました。改めて、ブアカーオやセンチャイといったムエタイの名選手にしか贈られないWBCムエタイ ダイヤモンドのベルトを手にしてどうでした?
「ブアカーオ選手とセンチャイ選手と並べたというのは本当に光栄なことなんですけど、正直あまり実感が湧いていません。日本人で巻いたのが僕だけということもあり、まだフワフワな気持ちですが、今の僕のこの階級、スーパーフライ級だったら、本場のタイ人選手よりも技術や技のバリエーションは誰にも負けないという自信をさらに持ちました。この階級で頭一つ抜けている存在にはなりつつあるのかな、と自分でも思っています。
――今回はクンクメールの選手との初対決になりますけど、相手選手に関してはどういう情報があるんですか?
「クンクメールの選手という情報しかなくて、カンボジアの選手なので動画を調べようとしてもタイ語じゃないから出てこなくて、あまり試合を見れてないんです。ただクンクメールの選手は最近、日本に来て試合する機会が増えてますし、逆に日本の選手がカンボジアに行って試合をする機会も増えています。
クンクメールはムエタイと全くルールが同じなので、いつかやることもあるのかなとは思ってました。クンクメールはムエタイのルールですけど、タイ人とはリズムは違うと思うので、最初はゆっくり様子を見ながら戦おうかなと。周りからはムエタイとクンクメールはどっちが強いの? という視点で見ると思うので、そこでムエタイ代表である僕がムエタイの強さを見せたいと思います」
――映像を見た限りでは、相手選手に関してどういう印象がありますか、
「ちょっとしか見れてないのですが、僕が昨年9月にRWSで1R KO勝ちしたラオスのスーウィチャイ選手とカンボジアで試合をしてバックスピンキックでKOで勝っていました。後ろ蹴りやスーパーマンパンチ、バックブローとか大技をすごく使ってきてムエタイにない技を出してくるという印象があります。あとは、スウェーを軽くやっていて何だかセンスというか感覚がいいんだろうなというのをすごく感じましたが、荒削りな部分があったので、そこを突けるかなと」
――名高選手とやるということは、カンボジア最強選手だったりするんですかね。
「クンクメールとしても負けさせるわけにはいかないと思うので、そういう選手を送り込んでいると思います。でもルールはムエタイルールなので、僕は絶対負けちゃいけないし、ラジャダムナンスタジアムのチャンピオンはムエタイを背負っていて、ここで負けたらムエタイが否定されると思うので、絶対に負けられないですね」
――すでにKOするイメージもできていますか?
「そうですね。前回の試合でまた倒す感覚というか、また自信につながった部分もあり、どの展開になっても倒せる展開を作っていけると思うので、僕の持ち味であるスピードと技のバリエーションで相手を困惑させていきたいなと思います」
――先日には松田龍聖選手に完勝したクンスクレック選手がラジャ王座を奪還しましたが、改めてクンスックレック選手とやってみたいと感じました?
「クンスクレック選手も116~117ポンドで僕とやりたいと以前に言っていたので、彼がそこまで落とせるならやりたいですね。タイでやれば、もちろん盛り上がりますし、日本でもクンスクレック選手の名前は知られてきているので、かなり盛り上がると思います。バンタム級契約でやるとなると、もうちょっと時間かかると思うので、近いうちにやるのであればやっぱり間の体重でやりたいですね」
――名高選手と交流のある武尊選手もONEで逆転KO勝ちました。
「やっぱりカッコいいですね。最初にダウンを取られましたけど、今の武尊選手は絶対に盛り返してくれる安心感があって、やはりその通りにKOしたので持ってるというのを感じましたし、人を引きつける戦いをする選手だというのを改めて思いました。自分も技術やスピードで観客を魅了する選手になりたいなと思っていて、武尊選手と魅せ方は違えど、やっぱり見ている人を感動させたいという気持ちは同じだと思うので、自分もそういった試合をしたいです。
ムエタイを代表している自分の試合を通してムエタイの見られ方も変わると思って試合をしないといけないと思うので、ぜひ自分の次の試合にも期待していただければと思います。そして、クンクメールとの対戦戦に挑む朝陽と竜哉の3人で全勝してムエタイの強さを見せます!」