K-1 KRUSH FIGHT.1052019年9月16日(月・祝)東京・後楽園ホール
▼第9試合 メインイベント K-1 KRUSH FIGHTスーパー・フェザー級タイトルマッチ 3分3R・延長1R×西京佑馬(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/王者)判定0-2 ※28-29、29-29、28-30○レオナ・ペタス(THE SPIRIT GYM TEAM TOP ZEROS/挑戦者)※レオナが第9代王座に就く。西京は初防衛に失敗。
西京はK-1甲子園2016 -60kgで優勝し、2017年4月にプロデビュー。4戦目でレオナに判定で敗れたが(現在まで唯一の黒星)、今年3月にわずか7戦目にして島野浩太朗を破り、18歳で第8代K-1 KRUSH FIGHTスーパー・フェザー級王座に就いた。持ち味はカウンター。戦績は6勝(2KO)1敗。今大会で初防衛と共にリベンジを狙う。
対するレオナは2012年6月にプロデビューし、“石の拳”と称されるハードパンチを武器に活躍する27歳。これまでに大雅、山本真弘、朝久泰央、小宮山工介ら国内屈指の実力者たちから勝利を飾ってきた。2017年5月には第5代K-1 KRUSH FIGHTスーパー・フェザー級王座決定トーナメントの決勝まで進出したが、安保璃紅に阻まれ初戴冠ならず。戦績は24勝(10KO)5敗1分。今大会での悲願達成なるか。
試合開始前、両者がリングインすると、観客からは割れんばかりの「レオナ」コール。リングサイドにはレオナの師であるニコラス・ペタスの姿も。西京のセコンドには兄の春馬が就く。
1R、左ジャブと右ローで攻撃を組み立てようとする西京に対し、レオナも左右ローを返しながらパンチのコンビネーションも積極的に振るう。するとほどなく、コーナーに詰まった西京に対し、レオナがパンチの連打で一気に仕掛ける。
ガードを固める西京。レオナは空いたボディ目がけて鋭いヒザ蹴りを突き刺す。レオナがたびたび見せるラッシュを前に、西京は守勢にまわる展開が続く。終盤、前がかりになったレオナの右ストレートに合わせて、西京も顔面ヒザ蹴りを返すなど応戦した。
2R、巻き返したい西京が右ローを蹴れば、レオナも右の前蹴りと左インローを返す。西京は左右フックで仕掛けるも空振り。再びレオナがパンチをまとめる。西京はガードとクリンチで対応するが、レオナのプレッシャーは続く。西京も右ローや左右フックのカウンターを当てにいくが、なかなかビッグヒットに繋げることができない。 3R、西京のセコンドから「もう一歩踏み込め」の指示。すると、西京が果敢に間合いを潰しながら左右フックを振るい、これがたびたびレオナの顔面に届き始める。レオナもパンチのコンビネーションと前蹴りを返すが、疲労もあるか、これまでの勢いは見られない。西京はさらに手数を増し、左ジャブと右ロー。レオナは西京のローを受け、やや足が流れる場面もあった。
勝敗の行方は判定に。序盤から気迫の攻めに出たレオナに対し、最終回に王者の意地を見せた西京。ジャッジ1名はドローをつけたが、残り2名は挑戦者を支持し、レオナが悲願の初戴冠を果たすこととなった。
ベルトを巻いたレオナは、「今日は皆さん、応援に来てくれてありがとうございました。このベルトは僕が7年間ずっとあきらめずに追い続けたから獲れたんだと思います。僕の甥っ子、姪っ子、僕が教えている子どもたち、そしてここにいるチームのメンバー。あきらめずに頑張れば、絶対にチャンピオンになれるということを証明したくて僕はやってきました。応援ありがとうございました」と喜びのコメント。
そして、「今日はここに母親が来てくれました。このベルトをお母さんにあげたくて頑張りました。これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします!」と、会場で観戦していた闘病中の母に向けてベルトを掲げた。
▼第8試合 セミファイナル K-1 KRUSH FIGHTライト級 3分3R・延長1R○大沢文也(TANG TANG FIGHT CLUB)反則裁定 1R ※ワンの反則の打撃により大沢が試合続行不可能×ワン・ジーウェイ(中国/遼寧創新ジム)
大沢は昨年9月のK-1 KRUSH FIGHTライト級タイトルマッチで王者ゴンナパー・ウィラサクレックに敗れはしたものの、判定までもつれ込むなど健闘。また、同年12月のK-1 WORLD GPライト級世界最強決定トーナメントでも準優勝を飾った。その後はワンマッチで篠原悠人に判定負け、里見柚己に判定勝ち。戦績を24勝(3KO)16敗3分としている。
対戦相手のジーウェイは3度目のKRUSH参戦となる中国人選手。今年7月のKRUSHで卜部功也を開始55秒でマットに沈めたジュー・シュアイの負傷欠場により、今大会への代替出場が決まった。KRUSHでの過去2戦は、佐々木大蔵に判定負け、瓦田脩二に判定勝ちという結果だ。戦績は31勝(8KO)11敗。
1R、グローブタッチ直後に大沢は左ミドル。ジーウェイがほどなく右ローを返すと、大沢は一気に踏み込んで右フックを当てにいく。試合が進むにつれて、ジーウェイの右ローがたびたび快音を鳴らすようになるが、大沢は自らの左腿を叩いて「効いてない」とアピール。
するとジーウェイはパンチで仕掛け、大沢がロープを背負ったところで二段の飛びヒザ蹴り。続く接近戦の中、ジーウェイが右ローからの右ストレート、さらに左アッパー2連打を打つ。するとこの直後、大沢がガードを解いて前に出んとしたところへ、ジーウェイの顔面ヒザ蹴りがクリーンヒット。大沢はリングに顔から倒れ込み、打っ伏したまま立ち上がることができなくなった。
ここでゴングが鳴り、ジーウェイはコーナーへ上がって大喜び。このままジーウェイのKO勝ちかと思われたが、ジャッジが映像確認に移る。ジーウェイはヒザ蹴りの際、大沢を掴んでいたようだ。
ほどなく、梅木良則レフェリーがマイクを持ち、「ジーウェイ選手が最後に放ったヒザ蹴りですが、大沢選手の後頭部を抑えてのものという判断になります。相手を掴んでの攻撃は、KRUSH及びK-1では反則になります。よって反則裁定とさせていただきます。そして大沢選手の試合続行は不可能です。これにより、大沢選手の勝利とさせていただきます」と説明。ジーウェイの反則攻撃により、大沢の勝利が決まった。
大沢は勝利者コールを受けても首を横に振り、ジーウェイを抱え上げて称える場面も。その後、マイクを握った大沢は「こんな試合でマイクを持ってすみません。今のは僕の負けです。僕の勝ちではありません。こんなどうしようもない試合をしてしまい、本当にすみませんでした」と、観客に謝罪。
続けて、「対戦相手のジーウェイ選手なんですが、再戦をお願いできればと思います。今の試合、(自分の)反則勝ちということになったんですが、ジーウェイ選手は全く悪くありません。僕が普通に負けました。ジーウェイ選手を責めないで下さい」と話し、再戦を希望すると共にジーウェイへの気遣いも忘れなかった。
[nextpage]
▼第7試合 K-1 KRUSH FIGHTライト級 3分3R・延長1R×里見柚己(K-1 GYM横浜infinity)KO 1R 2分47秒○横山 巧(リーブルロア)
里見は12勝(6KO)7敗1分の戦績を持つ21歳。昨年8月の再起戦で、ベテランの山本真弘から得意の左ストレートでKO勝ちして名を上げた。スーパー・フェザー級からライト級に階級を上げて臨んだ6月のK-1 WORLD GPでは、大沢文也にワンマッチで判定負け。今回は再出発の一戦となる。
一方の横山は8勝(5KO)3敗の戦績を持つ20歳。大岩龍矢と西京佑馬に連敗という中、里見と同じくスーパー・フェザー級からライト級へ階級を上げ、迎えた今年3月のKRUSHで、東本央貴を右ストレートで一撃KOして見せた。今大会で2連勝を狙う。
1R、オーソドックスの横山が序盤から前に出て、強烈な右ハイと右ロー、さらにスピードの乗ったワンツーも混ぜて攻める。サウスポーの里見も左ローや右ミドルを返すが、横山にカウンターの右フックを合わされ尻餅を着く場面も。
横山はさらにパンチの回転を加速させ、里見の離れ際には右ボディ。里見は左ミドルを返そうとするが、ここで横山に電光石火の左フックを合わされ、ダウンを喫してしまう。
なんとか立ち上がった里見に対し、横山は豪快に右ハイを振り抜き、さらにパンチをまとめて追撃。里見はガードを固めながら距離を取らんとするが、たびたびロープを背負う苦しい展開が続く。最後は横山がコーナーに追い込んでのラッシュ。里見が力尽きたように崩れ落ち、横山のKO勝ちが決まった。
ホープ対決を制し、階級転向後2連勝となった横山は試合後、「僕が言いたいことはただひとつです。次はタイトルマッチをお願いします」とマイクアピールした。
▼第6試合 K-1 KRUSH FIGHTスーパー・フェザー級 3分3R・延長1R×友尊(TEAM K/BLUE DOG GYM)KO 1R 1分59秒○西元也史(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
友尊(ゆたか)は13勝(8KO)5敗の戦績を持つ30歳。ボクシング転向を経験し、2017年8月にKRUSHでキックボクシングに復帰するも、いきなり3戦連続KO負けという厳しい船出となった。しかし、今年3月にK-1で川口拓真とのワンマッチに臨むと、これまでのうっぷんを晴らすかのように持ち前のハードパンチで4度のダウンを奪い、見事KO勝ち。続く5月のKRUSHでは、元K-1 KRUSH FIGHTスーパー・フェザー級王者の郷州征宜からもダウンを奪って判定勝ちし、2連勝となった。
対する西元はK-1 JAPAN GROUP初登場となる21歳で、伝統派空手出身(山崎秀晃と同じ流派)。元々は京都のジムに所属していたが、上京してKREST所属に。友尊と同じくハードパンチを武器としている。戦績は8勝(8KO)3敗2分。白星の全てがKOによるものだ。
1R、サウスポーの友尊が左ハイと左ミドルを飛ばしながら左フック強襲。オーソドックスの西元は友尊の攻撃をかわしながらヒザ蹴りを突き刺し、間合いが開くと三日月蹴りも入れる。友尊は左ストレートを振り抜くが、これは勢い余ってバッティングに。試合が再開されると、直後に西元が放った右ハイが友尊の顔面に直撃。友尊はマットに大の字となった。
衝撃のKO勝ちで初陣を飾った西元は、「僕を知らない方も多いと思いますが、西元也史です。試合後に言いたいことを考えていたのですが、全部ぶっ飛びました。初参戦の僕にチャンスを与えてくれた関係者の皆さん、本当にありがとうございました。僕を応援して下さい。必ずチャンピオンになります。押忍!」と、晴れやかな表情で挨拶した。
▼第5試合 K-1 KRUSH FIGHTフェザー級 3分3R・延長1R○伊澤波人(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)延長判定3-0 ※10-8×3×髙橋直輝(若獅子会館)※本戦は29-30(髙橋)、29-29、29-29
伊澤は2017年9月にK-1 WORLD GPスーパー・バンタム級王者の武居由樹とのワンマッチでKO負けを喫したが、その後はフェザー級に階級を上げ、神戸翔太や伊藤健人らを破り4連勝をマーク。タイトル戦に向けて好アピールを続けていたが、今年4月のKRUSHでTETSUに判定負けを喫し、今大会で再起を図ることになった。持ち味は空手仕込みの多彩な蹴り技。戦績は29勝(8KO)10敗2分。
対する髙橋はK-1 JAPAN GROUP初登場となった6月のKRUSHで、森坂陸とドロー(当初は森坂が3Rにダウンを奪い、判定勝ちとされたが、後日、このダウンについて試合映像をもとに再審議がなされた結果、髙橋は相手の攻撃を受けておらず、バランスを崩して転倒したものと判断され、ダウンは無効となった=7月20日リリース発表)。今大会で初勝利を目指す。戦績は11勝(2KO)4敗2分。
1R、伊澤が開始直後に後ろ回し蹴りを繰り出し、以降はガードを高めに保ちながらジリジリと圧力をかけていく。髙橋はロープ際に追い込まれるが、焦ることなくパンチのコンビネーションを振るって応戦。伊澤も体を密着させて距離を潰しながら、髙橋の太腿を踵で蹴っていく。髙橋もスペースができると左右ボディ。終了間際に髙橋は胴回し回転蹴りも放った。
2R、ブロックを固める伊澤に対し、パンチが冴える髙橋はガードの隙間を突く左右ストレート&アッパー、ガードの背後を通る左右フック、これにボディも混ぜて攻める。伊澤はクリーンヒットこそ許さないが、なかなか蹴らせてもらえない状況が続き、手数も落ち気味に。
3R、なおも髙橋が巧みな打ち分けを見せるが、伊澤もパンチを返しながら得意の左ローを粘り強く当てていく。足に効かされてしまった髙橋は、胴回し回転蹴りを立て続けに繰り出すが、伊澤をとらえることはできない。両者はクリンチからたびたびもつれ合うように転倒。伊澤は密着されても的確に左ローを蹴っていく。髙橋は足が流れるようになり、伊澤の左右フックも被弾した。
判定の結果はジャッジ1名が髙橋を支持したが、残り2名がドローと採点。試合は延長戦に突入する。
ここから伊澤は観客からの「波人」コールを受けながら、怒濤の左ロー攻めを展開。髙橋は棒立ちの状態となり、コーナーに追い込まれたところで左フックを被弾し、ついにダウンを喫してしまう。髙橋は立ち上がるものの、以降は伊澤の左ロー、ヒザ蹴り、左右フック、胴回し回転蹴りの猛攻にひたすら耐える状態となった。
延長戦の判定は文句なしで伊澤に軍配。粘り強く戦い抜いた伊澤が再起戦を勝利で飾った。
▼第4試合 K-1 KRUSH FIGHTスーパー・ライト級 3分3R・延長1R
×山際和希(谷山ジム)
延長判定1-2 ※9-10、10-9、10-9
○松本篤人(バンゲリングベイ・スピリット)
※本戦は30-30、29-29、29-29。
山際はBigbangウェルター級王者の実績を持ち、戦績は29勝(11KO)11敗4分。近年はモハン・ドラゴンや木村“フィリップ”ミノルといった強豪にKO負けを喫し、白星から遠ざかっていたが、今年4月のKRUSHで大泉翔からKO勝ちを収め、連敗脱出を果たした。
対する松本は厚生労働省に務めながら試合に出場する、“戦う国家公務員”として知られる選手。戦績は6勝2敗1分で、このうちK-1とKRUSHでは4勝1分と負け無し。今回は過去最強の相手からの勝利を目指す。
その松本は「働き方改革」の文字が大きくプリントされたパンツを着用して登場。リング上でも改革推進に向けてアピールを忘れない。
1R、松本は体と腕を細かく動かしながら左ジャブと左インローを当てていく攻め。山際は相手の動きをしっかりと見極めながら、強烈な左の蹴りを上中下に叩き込んでいく。
2R、松本が積極的に前に出始め、前蹴りから間合いを詰めると、左フック、ワンツー、右ストレートへと繋げる。なかなか蹴らせてもらえない状況が続いた山際は、至近距離からヒザ蹴りを突き刺しにいくも、ここでバッティング。松本は左まぶたから出血し、ドクターチェックを受ける。再開後、山際は容赦なく左ミドルを叩き込み、接近戦ではヒザ蹴りも連打していく。
3R、山際は右ミドルをガンガン蹴り、松本の離れ際には右フックもヒットさせる。しかし、松本も粘り強くパンチを返して応戦。至近距離での攻防になると、組みつきが増えた山際が警告を受ける。以降も体を密着させながらヒザ蹴りを放つ山際に対し、松本が突き放しながら右フックや右ストレートを懸命に当てた。
試合は3Rで決着がつかず、延長戦に突入。松本は接近戦を仕掛けてパンチとヒザ蹴り。山際は蹴らせてもらえない状況が続く。しかし終盤、山際の左右フックもヒット。最後は両者ふらふらの状態で激しく打ち合い、試合終了となった。
判定の結果はスプリットで松本に軍配。松本が熱戦の末に過去最強の相手から勝利を掴んだ。
▼第3試合 K-1 KRUSH FIGHTスーパー・ライト級 3分3R・延長1R
○寺島 輝(TANG TANG FIGHT CLUB)
KO 1R 1分59秒
×周藤亮太(Fighting Kairos)
▼第2試合 K-1 KRUSH FIGHTライト級 3分3R・延長1R
×竹内悠希(K-1ジム五反田チームキングス)
TKO 1R 41秒
○関川和将(DTS GYM)
▼第1試合 K-1 KRUSH FIGHTフェザー級 3分3R・延長1R
×倉崎昌史(GET OVER)
判定1-2 29-30 30-29 29-30
○安達元貴(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
▼プレリミナリーファイト第3試合 K-1 KRUSH FIGHTフェザー級 3分3R
○足利和正(TEAM Aimhigh)
KO 3R 2分19秒
×藤田義文(優弥道場)
▼プレリミナリーファイト第2試合 K-1 KRUSH FIGHTバンタム級 3分3R
○藤田和希(K-1ジム目黒TEAM TIGER)
判定2-0 ※30-29、29-29、30-29
×鈴木力也(K-1ジム総本部チームペガサス)
▼プレリミナリーファイト第1試合 K-1 KRUSH FIGHTフェザー級 3分3R
△八木正樹(WSRフェアテックス三ノ輪)
判定0-1 ※28-29、29-29、29-29
△水津空良(優弥道場)