イムラが強いサブミッションレスリングは、僕も得意だ
10代の頃にトーナメントで優勝。しかし、アルジクル ウルルの興味はレスリングに留まらなかった。
「僕は、子どもの頃からストリートファイトをやってきた、いわゆる“問題児”で、両親や親戚は『将来、ギャングスターになるだろう』と言っていて、親が『MMAをやりなさい』と勧めてくれた。もともとレスリングでも喧嘩のように感情的になって、パンチをしたくなってしまう性質だから、MMAを始めたら、自分にとても合っていたんだ」
レスリングと打撃を融合させ、立ち技を磨くべく、ムエタイのリングでも戦ってきた。
「ちょうどその頃、キルギスでもMMAがすごく盛んになって、アマチュア大会も増えて、プロでは海外に戦場を求めるようになった。タイでムエタイの試合も5回試合をして2回地元のベルトを獲ったよ」
今回の相手の井村塁は、MMA11勝3敗。うち7つの一本勝ちを誇る極め技師だ。
「イムラの試合はいくつか見たよ。でも送られてきたビデオがどれも短くて(笑)。1位だし、タフなとてもいい選手だと思う。TPOLOGYを見たら、一本勝ちが多いからサブミッションが得意なんだろうね。でもサブミッションレスリングは自分も得意だから対抗できる。そして自分の方が強いし、準備はできている。どんな試合になるか分からないけど、とにかくフィニュシュしたい。自分が勝つと信じています」
同日には、同朋のラジャブアリ・シェイドゥラエフが、RIIZNで戦う。
「キルギスにとって良い始まりになるだろう。国際的な大会で、同じ日に違うプロモーションで2人とも日本で戦う。我々、キルギスの選手は米国・欧州では、アジアの一部だけど違うように見えているようで、あまり試合を組んでくれないんだ。でも日本は違う。29日に僕も彼も勝って、母国に勝利を持ち帰りたいと思います」
モハメド・アリをスポーツのロールモデルとして尊敬し、ハビブ・ヌルマゴメドフをMMAの目標としているという。
「まずは勝つこと。今回の試合に勝ったら、次の試合もPANCRSEで戦いたい。そしてベルトを獲りたい」──温和な口調のなかに芯の強さを感じさせるアルジクル ウルルは、ひとたび動けば、ファイターとして“シャーク”の異名を持つ鋭敏な動きを見せている。
初の国際戦を迎える井村を食って、PANCRASEにもキルギスの旗を掲げるか。