2024年9月29日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館『K-1 WORLD MAX 2024』にて、「K-1 WORLD GP 2024 -55kg世界最強トーナメント」準決勝で大久保琉唯(K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER)と対戦する玖村将史(K-1ジム五反田チームキングス)が、金子晃大へのリベンジと制覇へ向けて意気込みを語った。
玖村は20年3月に当時プロ無敗だった金子晃大に初黒星をつける。22年2月、第3代K-1スーパー・バンタム級王座決定トーナメント決勝で金子と激しい打ち合いを繰り広げるも判定負け。6月の「THE MATCH 2022」ではRISEの志朗からダウンを奪う判定勝利。23年3月にRISE・鈴木真彦から勝利。9月、金子の持つK-1スーパー・バンタム級王座への挑戦するも延長で判定負け。24年7月は-55kg世界最強決定トーナメント一回戦でアントニオ・オルデンを左フック一撃の衝撃KOを見せた。
大久保は、22年6月の「THE MATCH 2022」で那須川天心の弟・龍心に勝利。9月は初代Krushフライ級王座決定トーナメントを制し、プロ4戦目にして王座に就いた。23年6月は、バンタム級ワンマッチでアマチュア時代のライバル・齊藤龍之介と対戦し延長判定で敗れてプロ初黒星を喫するも、10月に黒川瑛斗を判定で下して再起。24年3月に壬生狼一輝から判定勝利。7月は-55kg世界最強決定トーナメント一回戦でジャオ・ジェンドンを破り、3連勝を飾った。
倒す感覚が入りました
――-55kg世界最強決定トーナメント一回戦は、アントニオ・オルデン選手を左フック一撃でKO。わずか56秒で決着しましたね。
「思った以上にはまり過ぎて、ちょっと出来過ぎた印象もありましたね」
――といいますと。
「倒すことがテーマだったので、どうやって倒そうかなと考えてリングに上がりましたけど、距離を取ってくるテクニシャンタイプなので、打ち合いには来ないと予想していました。相手が待ちのタイプの選手なので、自分から行き過ぎると警戒されてしまい、逆に倒せなくなる。入ってきたところの隙を狙っていこうと思っていました」
――強引に入っていかずに、相手に攻めさせようとしたわけですか。
「はい。相手に入らせやすくしました。以前、戦ったコンペット選手もテクニシャンタイプだったんですが、僕が倒しに行き過ぎてうまくやられたので、その反省を生かすことができました。隙を見て一発当てて倒すという、イメージ通りのことはできたかなと思います」
――なるほど。積極的に攻撃を組み立てて潰す作戦もありますが、ディフェンスがうまい選手だと簡単には倒せない。相手に攻めさせるように誘ったわけですね。
「相手が気を抜いた瞬間に倒そうと思っていました。練習通りでしたね」
――すべて狙っていた作戦通りだったわけですか。驚きました。
「倒す感覚が入りました」
――倒す感覚?
「最近は流れの中で、どれか攻撃が当たれば倒せると思って戦っていたため、一発で倒すという意識はあまり持っていませんでした。とくにK-1では長所を伸ばすよりも自分の弱いところを埋める作業をしてきましたので、昔の倒す感覚が戻った感じがありましたね」
――NJKFやDEEP☆KICKで試合をしていた頃の倒す感覚が戻ったと。
「はい。ああ、この感覚だなと思い出しました」
――トーナメント準決勝、決勝を迎える前に、それを意識できたのは大きいですね。
「世界のトップに立つためには、穴を埋める作業は絶対に必要なこと。でも今は、その穴を埋めることが試合でもできるようになってきたため、次の段階に入ったと思っています」
――準決勝の相手は、大久保選手です。前回も含めて大久保選手の試合を見て、どんな印象を持っていますか?
「印象ですか…、試合がイマイチ面白くないですね。正直なことを言うと、印象に残っている試合は一つもないです」
――それは、かなり辛辣な評価ですね。大久保選手は、ポイントを奪って勝つのがうまいテクニシャンタイプの選手です。
「ああ、それはポイントアウトがうまいのではなく、ポイントアウトしかできないんだと思います。もちろん技術があってうまいことは認めますけど、まだそれだけです。これからパワーとかついてくれば、どんどん強くなっていくのかもしれませんけど」
――対戦相手なので厳しい意見は当然ですが、以前から“潰していいんですか?”と発言したり、大久保選手の心中は穏やかではないと思います。
「怒ってますかね(笑)?」
――怒っているでしょう。
「アハハ。申し訳ないけど、55kgはそんなに甘い階級ではないですよ。僕がここで戦ってきた相手を見てもらえれば分かると思いますけど、階級を上げてきてすぐに通用するような場所ではないです。55kgのトップ戦線で戦ってきた自信も自覚もある。そんなに甘くないことを分からせてあげますよ」
――厳しいですね。
「間違いなく、彼の世代が未来のK-1を背負っていくことになるとは思いますけど、それはまだ先のことで、そんなに簡単に結果が出るほど甘い世界ではないです」
――前回の試合後、“前の2試合とはレベルが違う”と発言して話題になりました。前の2試合とは、璃明武選手と大久保選手の一回戦ですからね。
「あれは本音ですよ。大久保選手の試合が判定で、次の璃明武選手も判定決着になりかけていましたよね。世界最強決定トーナメントに相応しくないなと思っていました。だから自分の試合前に、『レベルの違いを見せてくる』とセコンドに伝えていたんです」
――結果的にそうなりましたが、決勝はやはり金子選手との4回目の対戦を見ていると。
「自分の中のテーマでは、もちろん金子選手に勝って優勝すること。でも2試合で見ている自分もいるし、1試合で見ている自分もいます。まずは準決勝に集中して、そこを勝ったら決勝に集中するようにしようと考えています」
――準決勝の相手が大久保選手だからですか?
「いえ、誰が相手ということは関係なく、試合として見ています。相手が誰になろうが、大事な一戦になるので、そこに対する集中は変わらないです。準決勝で、100パーセント出して、決勝でも100パーセントを出す。毎試合、100パーセントを出し切ればKOできる自信があります」
――金子選手に対するリベンジへの思いは。
「それはありますけど、今までは感情を入れ過ぎました。金子選手にリベンジしたいとか、対戦相手に気持ちが入り過ぎてしまっていると、本来の動きができなくなってしまうので、今は自分の力を出すことにフォーカスしています」
――仮に金子選手と4回目の対戦が実現しても、前回とは違う内容になると。
「もちろん。そうなる自信があるから、今回トーナメントに出ているわけですから」
――金子選手のカン・メンホン戦も、やはり強いというイメージがありました。
「さすがチャンピオンだなとは思います。倒して勝っているし、強くなっている印象もあります。でも、僕なら突けるなという穴も見つかっているし、そこの感性を高めていけばいけるなと思っています。間違いなく、前回よりもレベルの高い試合になります」
――完璧に思えた前回の試合で、穴が見えたと。
「しっかり動けている試合を見たら、誰でも強いと思うはずです。でも、違う相手との試合を見たら、また印象は変わることでしょう。金子選手は完ぺきではないので、その穴を突いて僕が優勝します。そして、僕がK-1のエースになります!」