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【RWS】松田龍聖の初防衛ならず、クンスックレックが完封勝利でリベンジ&王座を奪還

2024/09/21 23:09
RWS2024年9月21日(土)タイ・ラジャダムナンスタジアム※U-NEXTにてLIVE配信▼メインイベント(第3試合)SUPER FIGHT ラジャダムナンスタジアム認定バンタム級タイトルマッチ 3分5R×松田龍聖(大原道場/王者)判定0-3 50-45×3〇クンスックレック・ブームデックシアン(タイ/前王者・挑戦者)※クンスックレックが新王座に就く。松田は初防衛に失敗。  両者は7月14日に千葉・TIPSTAR DOME CHIBAで開催された『RWS JAPAN 2024』にて、ラジャダムナンスタジアム認定バンタム級(53.5kg)タイトルマッチ3分5Rで対戦。41戦負け無し(1引き分けを含む)という快進撃を続け、ムエタイのトップを走る王者クンスックレックに松田が挑戦し、2RでKOするという大番狂わせをおこした。  松田はまだ18歳で戦績は12勝(5KO)1分無敗。2024年4月の『RWS JAPAN』に初参戦すると、初のムエタイルールにも関わらず石井一成を苦しめドロー。ムエタイルールわずか2戦目にしてムエタイのトップ中のトップファイターをKOし、ラジャダムナン王座に就いた快挙を達成したことで吉成名高は「人類最速のラジャ王者」と称した。  クンスックレックは現在タイで最も注目を集めるトップ・オブ・トップ選手。オームノーイスタジアム認定バンタム級王座、プロムエタイ協会スーパーフライ級&バンタム級王座、そしてラジャダムナンスタジアム認定バンタム級王座と4つのタイトルを獲得。4月にはクマンドーイを破ってラジャのバンタム級王者になると、5月11日にはペットサイアムをKOして初防衛にも成功した。19歳。  今回の再戦は“スーパーファイト”と銘打たれ、松田にとってはラジャダムナンスタジアム認定バンタム級王座の初防衛戦。ムエタイの威信を懸けるタイ側は「判定勝利には50万バーツ(約210万円)」「KO勝ちには100万バーツ(約420万円)」「いい試合を見せた場合は両選手に25万バーツ(約100万円)」とボーナスが出ることも発表された。  ワイクルーで松田は、ワイクルーを舞うクンスックレックの頭上に元気玉を落とした。クンスックレックはたっぷりと時間をかけてワイクルー。  1R、クンスックレックの右ミドルをキャッチした松田は軸足を払ってバランスを崩す。その後も松田は右ミドルをキャッチしていく。クンスックレックの前蹴りで松田がバランスを崩すと大歓声が沸き起こる。松田はミドルをキャッチしてのボディブロー、ワンツー。右ミドルをキャッチしては足払い、または右ボディを打つ松田。  クンスックレックは首相撲の組み際や離れ際に左右のヒジを打つ。左右のヒジをもらった松田だが足払いでクンスックレックをコカす。クンスックレックが組んでのヒザを蹴って初回を終了。オープンスコアは10-9×3でクンスックレックが取った。  2R、勢いよくコーナーを飛び出した松田にクンスックレックは右ミドル。松田は右ボディストレートも、蹴り足をキャッチされて尻もちをつく。逆に松田が蹴り足をキャッチしてコカしにいくとクンスックレックはバランスを保って倒れない。松田は後ろ蹴り。クンスックレックの右ミドルに松田が右ストレート、組もうしたクンスックレックに右フックをヒットさせる。  再びクンスックレックの左ミドルに右フックを合わせる松田。右ミドルをキャッチすると右を2発叩き込む。松田は右ミドルをキャッチするが、技を返せないようになってきた。こうなるとキャッチは無効で蹴られたということになる。OPスコアは10-9×3でクンスックレック。  3R、クンスックレックの右ミドルに右ボディストレートを2発合わせる松田。左右フックで前へ出るとクンスックレックは組みつく。松田の後ろ蹴りにクンスックレックはヒジ、松田もすぐにヒジ。ハイスピードの技の応酬が繰り広げられる。松田は飛び込んでの左ボディ、クンスックレックは首相撲に持ち込んでヒザを蹴る。  クンスックレックの右ハイをスウェーでかわしそこねる松田、クンスックレックに歓声があがる。バックハンドブローを空振りしたところでクンスックレックが組み付き、バッティングとなるがクンスックレックがヒジの連打! これに松田が顔を逸らしてしまう。クンスックレックが首相撲からヒザを蹴るたびに大歓声が沸き起こる。ラウンドが終了すると、クンスックレックはコーナーへ昇って勝利をアピール。OPスコアは10-9×3。  4R、松田は左の三日月。右ミドルをキャッチしてパンチに行こうとするがクンスックレックがヒザでディフェンス。ならばとヒジを打ちに行く松田。首相撲からヒザ蹴りを連打する松田だが、クンスックレックは顔を押す。松田のワンツーに後ろへ下がるクンスックレックだが、再び松田が前へ出ると右ハイキック、これに松田はバランスを崩す。すでにポイントリードしているクンスックレックはフットワークを使って流し気味。OPスコアは10-9×3でクンスックレック。  5R、流しに入ったタイ人を捕まえるのは並大抵のことではないが、もはや倒すしか松田に勝ち目はない。クンスックレックはコーナーに近づいたテレビカメラに微笑む余裕を見せる。パンチで攻め込む松田を首相撲に捕まえるクンスックレック。パンチを打ちながら組みついて、そのまま松田を押し倒す。松田のワンツーがクンスックレックを捉えるが、クンスックレックはすぐに離れて右ミドルから首相撲。そして松田をコカす。  松田は飛びヒザ蹴りを発射。さらにボディを打つがクンスックレックは組みつく。クンスックレックが顔面前蹴り。松田が近付くと組んでバックを奪うクンスックレック。松田は攻めていくがクンスックレックは連打を許さない。松田のボディからヒザにクンスックレックは組みついて押し倒す。そして試合終了のゴング。勝利を確信しているクンスックレックは大喜び。  全ラウンドを通してクンスックレックは一度もパンチの打ち合いはせず、自らパンチを出すこともほとんどなかった。松田が得意とする中間距離では一切戦わず、離れて蹴るか、パンチの距離になると組みついてヒザ&ヒジ。一発目のミドルキックこそ松田にキャッチされて転倒させられたが、以後は転倒することもなく前回の敗因をしっかり分析して試合に臨んでいたことがうかがえる戦いぶりだった。 判定はクンスックレックの完勝で王座を奪還。松田はプロ初黒星を付けられた。好試合に両者にはボーナスが贈られた。  クンスックレックは「とても嬉しい。やるべきことをやった。プレッシャーは感じすぎず、右の蹴りを使って自分のスタイルを貫きたかった」と勝利者インタビューに答えた。 [nextpage] ▼メインカード第2試合 フェザー級リーグ戦 3分3R〇チャイラー・ポーラックブン(タイ)=3P判定3-0 ※30-27×3×スラサック・クルーダムジム (タイ)=3P  チャイラーは元ラジャダムナンスタジアム認定フェザー級王者。  スラサックは2年連続でムエマラソントーナメント57kg級で優勝。1月の『TOP BRIGHTS』旗揚げ戦に来日し、品川朝陽に2RでKO負けを喫している。  1R、スラサックがいきなり右ミドル連打で攻め込む。サウスポーのチャイラーは重い左ミドルで反撃。左ミドルを何度も蹴るチャイラーにスラサックはカットしていくがもらうとバランスを崩す。チャイラーは前蹴り、左ミドルのフェイントから左ストレート。スラサックも右ミドルを蹴り、チャイラーの左ミドルを払って右ミドルを蹴って終える。オープンスコアは10-9×3でチャイラーが取った。  2R、スラサックが前に出て右ミドルから左右フック、さらに右ミドル。チャイラーは左の縦ヒジで迎え撃ち、左ストレートも打つ。左ミドルを蹴られながらも前へ出てヒジを打つのはスラサック。チャイラーの左ミドルをスウェーでかわしての右ミドルを当てる。チャイラーの左ストレートに下がるスラサック。しかし、スラサックの右ストレートでチャイラーも下がる。右ミドルをキャッチされて左ローを蹴られたスラサックはバランスを崩す。OPスコアは10-9×3でまたもチャイラー。  3R、チャイラーの左ストレートにスラサックは右ストレートで前へ出る。それを左ヒジで迎え撃つチャイラー。ジャブを前蹴りで突進を止めようとするチャイラーは顔面前蹴りをヒットさせる。スラサックにパンチを打たせまいとチャイラーは首相撲に持ち込む。左右フックと右ヒジで攻め込むスラサックにチャイラーはジャブと前蹴り、フットワークで逃げ切り体勢に。顔面前蹴りを何度もヒットさせるチャイラー。  判定3-0でチャイラーが完勝を収め、決勝トーナメント進出を果たした。 [nextpage] ▼メインカード第1試合 フェザー級リーグ戦 3分3R〇ヴュー・ペッコウーソン(タイ)=6P判定3-0×ヨードクンスック・ムーバーンチョンブーン(タイ)=0P  ヴューはBBTVフェザー級王座、オムノーイスタジアム認定スーパー・フライ級王座、タイ国プロムエタイ協会バンタム級王座を獲得。2017年からムエタイの2大殿堂のひとつであるルンピニースタジアムに上がり、2020年からはテレビマッチ=7チャンネル(BBTV)でも戦っている。コンペットとの直接対決では3勝1敗と勝ち越し。現代ムエタイ軽量級の最高峰に位置している。  2023年3月、K-1初参戦にしてフェザー級王者・軍司泰斗に挑戦したが、判定で敗れた。7月の再来日では斗麗に3RでKO負け。K-1ルールでは実力を発揮できずに終わった。  ヨードクンスックは2016年にオムノーイスタジアム認定スーパーバンタム級王座を獲得、その後2017年のラジャダムナンスタジアム創立記念年興行でメーティー・ソージョートイペッドリュウを3RKOで下してラジャダムナンスタジアム認定スーパーバンタム級王座も獲得した。長くスーパーバンタム級のトップ選手として活躍し、サミンダムやゴントラニー、ラムナムムーンレックといったトップ選手たちと鎬を削ってきている。  今年7月に名古屋で開催された「SukWanchai MuayThai Super Fight vol.10』に来日し、福田海斗とIMSA世界フェザー級王座決定戦を争ったが、4Rにヒジで切られてTKO負けを喫した。  1R、左ミドルを蹴るヴューにヨードクンスックは右ロー、ヨードクンスックの左ジャブにヴューは右クロスを合わせる。ヨードクンスックは首相撲から右のヒジ。ヴューは前蹴りでヨードクンスックを突き放していく。その前蹴りをキャッチしたヨードクンスックが右ストレートを打つと、ヴューもすかさずワンツーを打ち返す。ヨードクンスックの強い右ロー、左ミドル。ヴューは前蹴り。オープンスコアは10-9×3でヨードクンスックが取った。  2R、ヴューは前蹴りと左ミドル、踏み込んでのヒジ、右フックも繰り出す。ヨードクンスックは左ミドルを蹴るが、ヴューはそこへワンツー。首相撲になると同時にヒザを蹴る。前へ出ていくヴューがヒザ、右ミドル、左ミドル。ヴューの厳しい攻めにヨードクンスックはロープを背負う場面が多い。OPスコアは10-9×3でヴューが取り、イーブンに。  3R、ヨードクンスックの左ミドルにビューが右ミドルを返す。ヨードクンスックが左右フックを打てばビューは左ヒジ。ビューが足払いで鮮やかに転倒させる。ワンツーからヒジ、さらにヒザと前へ出るビュー。さらに右ミドルをヒットさせるとジャブ、前蹴りで距離を取り始める。  ビューの前蹴りとヒザに入れないヨードクンスックはビューの右ミドルをキャッチしてパンチを返そうとしたが、ヴューはヒザを使ってディフェンス。ジャブ、前蹴り、フットワークで完全に距離をとるビュー。最後はヨードクンスックが負けを認め、両者ステップを踏んで試合を終えた。  判定は3-0でビューが勝利。リーグ戦を全勝で終えた。
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