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2024年7月28日(日)さいたまスーパーアリーナのスタジアムバージョンに4万8117人・満員の観客を動員した『超RIZIN.3』のメインイベントで、朝倉未来(ジャパントップチーム)を1R 2分18秒、左の強打でTKOに下した平本蓮(剛毅會)のドーピング疑惑について、ドラッグテストの検査結果が待たれている。
8月21日の会見後の囲み取材で榊原CEOは、「大会当日にタイトルマッチとGPの場合は全選手厳正なる検査を行っております。その検査結果が全てです。競技陣が試合当日に両選手の尿を採取して、それを空輸して米国の検査機関・SMRTL(スポーツメディカルリサーチ&テイスティングラボラトリー)に送っています。WADA(世界アンチ・ドーピング機構)の検査基準の検査を行っている検査機関で、タイトルマッチは検査結果を公表することになっているので検体から陽性反応が出ればルールに基づいて対処する。それ以上・それ以下でもない。来週中には検査の結果が出るので、蓮と未来のタイトルマッチに関してはどうだったかは皆さんに正確にお伝えできればと思っています」と説明していたが、30日午後8時時点で、RIZINからの発表はない状況だ。
そんな中、平本にドーピングを指南したと投稿した赤沢幸典が参戦していたDEEPの佐伯繁代表は30日、『DEEPサマーフェスティバル2024 in お台場』(31日・お台場青海R区画野外特設ステージ)の前日計量後の囲み取材で、赤沢が自身のドーピングを告白したことについて、「出場停止うんぬんより、本人と話せていない。いろいろな噂は耳に入ってきますが、本人と話せていないので(RIZINの検査)結果が出てからいろいろと精査し、しっかり判断します」と語っている。
世界のスポーツ団体には様々なドラッグテストがあるが、ファイターに限らず、アスリートたちはパフォーマンスの向上のために、ありとあらゆるドーピングを駆使し、それがドラッグテストで陽性と検出されないように、日々抜け道が考案されているのが現状だ。
禁止ドラッグのマスキング剤や、その投薬サイクルなどのテクニックと、ドラッグテストは鼬ごっこにあると言っていい。
世界最高峰のMMA団体UFCは、USADA(米国アンチ・ドーピング機関)から離れ、独自のUFCアンチ・ドーピング・ポリシー(UFC ADP)を起ち上げて、ドラッグ・フリー・スポーツ・インターナショナル(DFSI)と契約し、世界各地で抜き打ちのサンプル採取(尿・血液)を行っているが、それは経済規模の大きな団体でしか出来ないシステムのなかで実現している。
UFCとWWEが合併した新会社TKOは、スポーツエンターテインメント企業の価値ランキングで、MLBのアトランタ・ブレーブスやフォーミュラ1などを傘下にもつ米リバティ・メディアに次ぐ2位にランクされており、UFCはその莫大な資金を基に、ドラッグテストを行っている。
カジノもアスレチックコミッションも存在しない日本で、いち団体が同じことをするのは、榊原CEOが吐露するように現実的ではなく、いまは出来る範囲で最も効率よく、そして抑止力のあるやり方(罰則含む)でドラッグテストを行っていくしかなく、そのテスト結果でしか、選手の規則違反を判断できないだろう。
RIZIN以外でも日本のPANCRASEは、毎回のタイトルマッチのドラッグテスト結果を公表しており、以前は実施や公表がされなかったこうした試みが浸透していくことで、ファイトスポーツのリテラシーが観る側もやる側も高まっていくことになる。
近日中に発表されるRIZINのドラッグテストの結果は、ファイターやファンにどんな影響を与えるか。その発表が待たれている。