キックボクシング
インタビュー

【RISE】曲がった鼻は男の勲章「2人が並んでいると格闘家としての箔があるというか、対戦カードの画像も結構気に入っています」

2024/08/29 19:08
 2024年8月31日(土)東京・後楽園ホール『RISE 181』にて、スーパーフェザー級(-60kg)3分3R延長1Rで対戦する同級9位SEIDO(LARA TOKYO)と勝次(TEAM TEPPEN)のインタビューが主催者を通じて届いた。 SEIDO「気持ちでは折れないのでぶつかり合いになる」  SEIDOはクラヴマガをバックボーンに持ち、RISEで長く活躍しているほかRIZINにも参戦した。2021年10月の常陸飛雄馬戦から2023年10月の山元剣心戦まで4連敗を喫したが、2024年2月のチャクリキ興行で梅木りょうまに初回KO勝ち。戦績は16勝(5KO)25敗。 ――今年は暑い日が続いていますが、コンディションはいかがですか? 「7月に試合の話があって6月くらいからコンディション作りはしていたので、今が1番調子はいいです」 ――長い期間で体作りができていたんですね。 「年齢も40歳になるので若い子みたいにいきなり6kgを落とすことはできないので、計量をクリアした中でもしっかり動けるように2、3ヶ月かけて減量しています」 ――今年の12月に40歳になられるというところで、肉体的な衰えを感じる部分はありますか? 「慢性疲労ですね(笑)。「年齢を感じることはありますか?」って聞かれた時に、今まではなかったんですけど、試合のための追い込みは計画的に追い込む日を決めないと練習ができないくらいになってしまうので、そこら辺は体をケアするようにしています」 ――プロデビューしてからキャリア的には何年目になるんですか? 「2010年くらいにデビューしていると思うので14年くらいじゃないですかね」 ――長期間プロとしてモチベーションを保ち活動をすることが出来た理由を教えて下さい。 「強くなりたいっていうのが1番の理由ですね。子供の頃はいじめられっ子で、強さというものに対しての憧れがありました。強くないと生き残れないみたいな。その強さへの憧れがどうしても消えないので、強くなりたいというのがモチベーションになっています」 ――それがSEIDO選手が競技をやっていく上での大きな力になっているんですね。 「試合に負けて「格闘技は俺に向いていないな」って諦められたら良いんですけどね。1ラウンド目で派手に倒されて失神KOとかだったら諦めもつくかもしれないんですけど、意外と強い選手とやっても判定までいく事が多いんですよ。そういう意味では、もうちょっと頑張ればっていう気持ちがあるので辞められないのかもしれないです」 ――2021年の森下戦以降、負けが続いていましたけれど、まだまだやれるという気持ちがあるという事ですね。 「内容的には判定で負けていますけど、判定で2-1とか延長判定になってくると、俺の中では今の勝っていたなという煮え切らない部分が出てくるんですよね。あと先生とかを含めて応援してくれる仲間たちの喜ぶ顔が見たいっていう気持ちもあります」 ――そういった思いを持ち続けてきたからこそ、前回はRISEではないですが久々に1ラウンドKO勝利を納めました。3年ぶりの勝利はいかがでしたか? 「勝ったのは嬉しかったですけど、相手が相手っていうのはあったので、次回の試合に対してのモチベーションのためって感じでしたね。やっぱりRISEで勝ちたいので、嬉しかったけど次の試合しか考えていないです」 ――今回の対戦相手は勝次選手になりましたが、対戦オファーがあった時はどんな心境でしたか? 「最高に嬉しかったですね。今まで若い選手との対戦が多くて、若い子がベテランを食うっていう構図で負けられないし胸を借りられている立場だったんですけど、勝次選手はWKBA世界チャンピオンで僕がデビューした時から活躍していますし、新日本キックボクシングのチャンピオンになったりKNOCK OUTでも活躍しているのを見ていたので、その選手とぶつかれるのは楽しみですね」 ――何か熱くなるものがありそうですね。 「負けて当然じゃないですけど誰も僕が勝つなんて思ってないので、だからこそ面白いっていうのがありますね」 ――勝次選手といえば数々の激闘を繰り広げてきた選手ですが、SEIDO選手も負けずに激闘で会場を盛り上げる試合をしてきています。相手が勝次選手ということで試合内容について意識することはありますか? 「激闘で会場を盛り上がるのが1番ですけど、盛り上がる前に勝って終われたらベストですね(笑)。何もさせずにハイキックやカーフキックで1発で倒すのが理想ですけど、最終的には本能で殴り合うんじゃないですかね。彼も気持ちが強いし、僕もこの歳までずっと格闘技をやっているので気持ちでは折れないのでぶつかり合いになるかなと思います。その中でRISEを盛り上げたいですね」 ――勝次選手にインタビューした際も同じように「激闘するつもりはない。終われるなら速攻で終わった方が嬉しい」って仰っていて、しようと思って激闘はできないって感じでした。 「気持ちが強い人と戦えるのは嬉しいですよね。気持ちが弱い選手は好きじゃないですけど、強い人はリスペクトを持って戦えるので。勝次選手は世界チャンピオンですからRISEさんには本当に感謝しています。僕は勝てない中でもこういうチャンスをもらえていて、勝次選手も連敗中なのでお互いチャンスですし、彼も這い上がるための1歩として僕を使ったのかもしれないですけど面白いですよね」 ――SNSを拝見していたら「男の勲章No.1決定戦」と書かれていましたね。 「鼻が曲がっちゃっているので、だいたいどこに行っても『格闘技をやっているんですか』って言われます。日常生活だとそんなに鼻が曲がっていると思わないんですけど、片方はずっと詰まっていますね。治すとお金がかかるしもう1度折れたら治すのが大変で格闘技ができないって言われているので、もし治すのであれば辞め時かなと思っています」 ――ちょうど同じ方向に勝次選手の鼻も曲がっていますね。 「左フックですよね。もしくは強風が吹いていたんだと思います(笑)。2人が並んでいると格闘家としての箔があるというか、対戦カードの画像も結構気に入っています」 ――試合に関しては一緒に練習しているレオナ・ペタス選手や半澤トレーナーからアドバイスはもらっていますか? 「レオナさんだったり半澤先生にアドバイスをもらいながら練習をしています。レオナさんとは毎週火曜日にスパーリングをやらせてもらっているんですけど、勝次選手対策でレオナ・ペタス選手と戦うのはキツいですね(笑)」 ――身近に強い選手がいて一緒に練習をしている事で、それが自信になっているんですね。 「彼とやるっていうのは本当に試合みたいで、1週間に1回試合以上の緊張感があって、本当に死ぬんじゃねえかっていうくらい結構ブルーになるんですよ。それが良い刺激になっています」 ――今後のRISEでの目標はありますか? 「なかなか難しい事ですけどチャンピオンベルトは巻きたいですね。あとはランキング戦で負けたやつ全員にやり返したいです」 ――現在9位ですけどリベンジしながら這い上がっていきたい? 「全員ぶっ飛ばしてやろうと思っているのでそこは変わっていないです。1回負けて仲良くするのも嫌だし負けた相手と僕がSNSで写真を撮ってYouTubeでコラボなんかしたくないし、仲良くもしたくないので、そこは格闘家なのでみんなぶっ飛ばしたいです」 ――最後にいつも応援してくれる皆さまにメッセージをお願いします。 「若い子がいる中で自分みたいなベテランが40代くらいになって、格闘技で40代って相当年上だと思うし20歳が輝いて見えると思います。年齢と共に夢を諦めてしまう中でも、僕の姿を見て頑張りたいと思ってくれたら嬉しいですし、勇気を与えたいです。熱い試合をして本当に盛り上がって良かったと言わせるような試合をしてみせます。勝次選手と試合を盛り上げるので楽しみにしていてください。よろしくお願いします」 [nextpage] 勝次「新しい距離感で戦おうと思っている」  勝次は2003年にプロデビューし、2015年にキャリア12年目にして新日本キックボクシング協会の日本ライト級王座に就いた。2017年にKNOCK OUT初代ライト級トーナメントへ参戦すると、いずれも倒し倒されの大激闘を演じて一気に名を挙げ、決勝では森井洋介に敗れるも大きなインパクトを残した。2019年10月には悲願であったWKBA世界王座をTKO勝ちで獲得。2023年7月の『NO KICK NO LIFE』にて大月晴明に5RでKO勝ちして健在ぶりを示し、10月には新日本キックラストマッチで岩橋伸太郎に判定勝ち。  RISE初参戦となった12月の常陸飛雄馬戦ではKO負け、2024年4月の2戦目でも岩郷泰成に判定負けとまだ白星をつかめていない。7月にはヒジありルールでロムイーサンと対戦も判定負けで3連敗となった。戦績は47勝(20KO)22敗10分。 ――勝次選手は戦績を見ると、次で80戦目になるんですね。 「そうですね、80戦目です」 ――デビューしてから20年以上が経ちますが、デビュー当時はここまで試合をやっていくとは思っていましたか? 「全く思っていなかったですね(笑)」 ――その時はどんな気持ちでやっていたんですか? 「東京に来て2年くらいでチャンピオンになれるだろうと思っていました」 ――色々な団体を渡り歩いてきた勝次選手ですが、昨年末にRISEに参戦するようになってから、今はいかがですか? 「やっと距離の感覚というか、ヒジありとなしでのルールの違いにアジャストできてきたかなという感じです」 ――そういう意味では今までの攻撃力などの、本来持っている強みの部分が見れるような試合になりそうですね。 「僕の強みの距離、もっとレベルを上げないといけない距離を把握したので、次はちゃんとアジャストして良い距離で戦えると思います」 ――前回はヒジありルールでの試合でしたが、残念ながら判定負けという結果に終わってしまいました。その試合を合わせて3連敗中です。ここまで連敗した状況は今までのキャリアの中でも少ないと思いますが、ご自身では今の状況をどのように分析していますか? 「人生で初めての3連敗がTEPPEN GYMに移籍してからの3連敗でした。これでは那須川会長の顔も立たないですし、那須川会長に教えてもらっている部分を次の試合で出して、きっちり勝ってRISEのランキング入りからが勝負かなと思っています」 ――移籍したTEPPEN GYMでの練習環境はいかがですか? 「週3、4回は行けていて、対人練習を主にやっているので距離感や当て感を練習できています」 ――若い選手も多くて色々なタイプの選手が多数在籍していますが、それも良い刺激にもなっていますか? 「階級も別々でスピードもバラバラですけど、いろんな武器を持っている選手がいるので様々な練習ができています」 ――ベテランになってからの移籍ではあるけれど、刺激を受けてまだまだ進化しできているんですね。 「そうですね」 ――RISEの試合は4月の『漢気トーナメント』以来となりますけど、今回はSEIDO選手との対戦が決定しました。この試合のオファーが来た時はどんな心境でしたか? 「ずっとRISEのランカーと試合がしたくて、RISEのデビュー戦ではSEIDO選手辺りとの試合になるかなと思っていたんですけど、いきなり3位の常陸選手だったので1発目からRISEは厳しいなと思っていました(笑)。でも今回の試合は負けたら終わりだなと思っているので、ここはしっかり勝ってランキング入りしてからが新たなスタートを切ります」 ――SEIDO選手の試合は見たことはありますか? 「何度か見たことがあります」 ――どんな印象を持ちましたか? 「骨が強くてガツガツ系の選手だなっていう印象です」 ――SEIDO選手は今年40歳になる選手ですが、勝次選手が年上の選手と戦う機会も減ってきていると思います。そんなガツガツ来る年上の選手を相手にどのような試合展開になると思いますか? 「新しい距離感で戦おうと思っているので、相手は混乱するかなっていうのと、その中でも相手がガンガン来たら合わせられるような練習はしているので、どの距離でも戦える自信はあります」 ――どちらかと言うと相手のテンポに付き合うと言うよりかは、自分の距離で試合を支配するような展開になりそうですね。 「今回は相手に合わせる必要は全くないと思っているので、1ラウンド目でも倒せるポイントがあればガンガン攻めて効かせて倒したいです」 ――勝次選手は激闘の試合をたくさんやってきている選手なので、どうしても「激闘派」と言われる事が多いですよね。ご自身的には激闘を求めてやっている訳ではないんですか? 「本当は全然激闘をしたくないです」 ――本来の自分が考えている理想の試合は、全然激闘はイメージしていないんですか? 「毎試合秒殺を目指しています(笑)」 ――早く試合を終わらせるイメージだったんですね。 「そういうイメージでやっています」 ――激闘ながらも80戦をしてきたという事が、凄いことなんだと改めて思いました。 「僕だけの力じゃなくて、怪我をしたら治してくれる先生だったり、栄養管理をしてくれる方だったり、色々な人がサポートしてくれているので、そのサポートのおかげで僕はまだ試合ができていることに日々感謝です」 ――体のケアを色々なところでされているようですけど、年齢と共にコンディション作りに気を使うようになってきましたか? 「今まで相談したことのなかった、別ジャンルのスペシャリストの方なんですけど、その方が色々なことに関して知識が豊富で、体重や栄養面などの相談をしてみたら練習や寝る時間についても教えてくれて、37歳からもうワンランク上げるために必要なことのアドバイスをもらいました。それを実践し始めてまだ1週間経っていないんですけど、これでまた新たな自分を作っていこうと思います」 ――80戦をやっているとはいえ、まだまだ新しい発見もいっぱいあるんですね。 「格闘技は技術も常に新しくなっていくので、取り残されないようについていかなくてはいけないです」 ――最後にいつも応援してくれるファンの皆さまにメッセージをお願いします。 「今回こそは久しぶりの僕の良い勝ち方をお見せできると思っていますので、皆さん応援をよろしくお願いします」
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