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2024年8月23日(日本時間24日朝10時~)、米国ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXにて開催される『ROAD TO UFC シーズン3』(U-NEXT配信)のバンタム級準決勝で、日本の中西透暉鷹(ISHITSUNA MMA)が、中国のバーエゴン・ジェライスーと対戦する。
透暉鷹は、小1から小5まで日本空手協会の空手で全日本3位。陸上では100メートル走県大会優勝、高校のウェイトリフティングで東海総体優勝というフィジカルを武器に、2017年10月にDEEPでMMAデビュー。
2020年7月にPANCRASEに参戦するとフェザー級トーナメントで優勝し、2022年7月に亀井晨佑にRNCで一本勝ちで戴冠。同年12月に パン・ジェヒョクにスプリット判定勝ち後、海外挑戦を見据え、バンタム級に転向し、河村泰博に1R 肩固めで一本勝ち。『ROAD TO UFC 2024』バンタム級トーナメント出場を決めた。5月の1回戦では、キム・キュサン(韓国)にテイクダウンを決めて削って判定勝ち。準決勝進出を果たしている。28歳でMMA12勝3敗。
対するジェライスーは、バックボーンはフリースタイルレスリング。2023年も『ROAD TO UFC』に出場し、トーナメント一回戦で日本の上久保周哉と対戦。組みの強い上久保相手に簡単にはテイクダウンを許さず、ヒザで一瞬ダウンを奪う場面を作るも判定負け。その後はUAE Warriorsや、カザフスタンのAlash Prideに出場して判定勝ち。5月の『ROAD TO UFC 2024』1回戦ではリー・ユンフェン(中国)を2R リアネイキドチョークに極めている。28歳でMMA17勝5敗。
バンタム級で日本人で唯一の準決勝進出者となった透暉鷹は、「中国選手らが多いなかで、日本の選手はやっぱり強いというところを見せたい」と語った。
ジェライスーと僕は強みがちょっと似ている
――ラスベガスでの最後の減量に向けて、現地でのコンディションはいかがですか。
「時差はけっこうヤバいんですけど、あと乾燥した感じはすごくありますね。すごく分かりやすく日本の感覚と違う。ただ、それほど減量に特に影響は無くて、でも温度差がすごいあって、昼間42度とかあるんですけど、朝方とか夜中は28度とかで涼しいんで、朝方とか夜中にランニングはしやすいです。寝れなかったりすると走って」
――計量日前々日で、何kgでしょうか。
「今は67kg後半くらいですね。順調ですけど、最後は水抜きを明日の夕方くらいから始めて、たぶん5kgくらいになると思います」
――PANCRASEで12月の河村泰博戦から海外を見据えて階級を落としてきた、そのバンタム級はもうご自身の中でフィットしている感じですか?
「バンタムで軽いほうが動きがいいんで、フェザーのときより全然いいですね。普段から節制して、InBody(体成分分析装置。人体を体水分量・タンパク質量・ミネラル量・体脂肪量の4つに分けて測定。このうち、体水分量+タンパク質量+骨外ミネラル量の合計を筋肉量とする)で筋量とかも測ったりするんですけど、水分量とか筋量はすごいあるんですけど、体脂肪を落としてという感じで減量をやっているので」
――筋量が落ちずに減量できていると。今回のセコンドは?
「こっちに一緒に林(巧馬・ISHITSUNA MMA GYM)代表と入りまして、計量の夕方くらいから日沖発(stArt Japa代表)さんが来てくれて、セコンドに2人ついてくれます」
――上海ラウンドから同じメンバーということですね。
「そうですね。1戦1戦が大事になってくるので、無理言ってお願いしてついてきてくれます」
――練習環境は?
「体制は基本、あまり変えなくて、ルーティンというか、試合に向けていつものチームメイトとやっていくというのが一番いいので、変わらずに日沖さんをコーチとしてやってもらって、いつものstArtとかISHITSUNA行ったりとか、寒天ジム(春日井たけし)。この三つですね。もう出稽古というよりも、ずっと今までもやってきてるので、話し合いながらこういう練習しようとか方針を決めて、何曜日はこれをやるというのを決めてみんなでやっている感じですね」
――1回戦のキム・キュサン戦ですが、完勝に見えましたが、試合後は「全然自分が思った通りに行かなくて、すごい悔しい」という言葉がありました。ご自身としては納得のいかない試合だったのでしょうか。
「そうですね……ただ、プロとしてあの最後のマイクはちょっと良くなかったなと思うんです。それは自分の中に秘めておいて、マイクでは、応援してもらっている人たちにやっぱり『ありがとうございました』と言うのが一番良かったかなと。でも、そのときは冷静になれなかった」
――それは本音だったわけじゃないですか。つまり、もっとできると?
「はい。そうですね。もちろん格闘技なので、相手あってのことではあるんですけど、自分が描いていた試合とは全然違った試合になってしまったので。もうちょっとダメージを与えたりとか、打撃でいける感じはあったので、打撃で作ろうかなと思っていたんですけど、思ったより明確に打撃を効かせることが出来ず、ちょっと中途半端な感じになってしまった。
テイクダウンも、タイミングでマットの真ん中で倒せたんですけど、そこからフィニッシュに行きたくても練習の中でやってることをなかなか出せなかった。相手もやっぱりディフェンスに徹してるじゃないですけど、極めづらかったところもあったんですけど、最後ちょっと『ROAD TO』のトーナメントということもあって、勝ちにこだわってしまったところが──良し悪しあると思うんですけど、そこで自分としてはやっぱり悔いが残る。試合を決めきりたかったなというのが大きかったですね」
――なるほど。でも本当に負けが許されないトーナメントで1回戦も何よりしっかり勝つこが重要だったと思います。この階級でこのスパンのトーナメントで連続して戦うことはどう感じていますか。
「PANCRASEのフェザー級4-MANトーナメント(2022年3月、4月、7月)もけっこうスパンが短かったんですけど、世界で戦うという意味でパン・ジェヒョク戦後にバンタムに落として、今回3戦目なので、このスパンのなか、減量とかもいろいろ大変だったりもしました。そんななかプライベートでは、1歳になるまで里帰り出産していた妻と子供が、4月から一緒に暮らしてるんです。それまでは、僕1人で1年半くらい離れて暮らしてたんですけど、この『ROAD TO UFC』トーナメントが始まる前から家族一緒になって、そこを大事にして過ごしていく中で、やっぱり減量もあって──実家が近かったらいいんですけどそうではないので、いろいろあるじゃないですか」
――試合に向けた練習と減量でナーバスにもなるでしょうし、家族と一緒にいられるという両方の思いがある。
「はい、だからそこも“自分次第”と思って。今回のトーナメントは、いろいろな意味で経験値を上げていけるのかなと思っています」
――背負うものが増えた分、力になっているようですね。
「はい、子供は1歳と3歳なんですけど、ちょっとずつ、父親のことが分かってくるようになって、4月から一緒に暮らして、空港まで見送ってくれたんですけど、1週間経って、すごい泣いて寂しがってるらしいので、しっかり試合に勝って帰りたいです」
――格闘技をやるために三重から愛知に来たときは、いまの奥様も一緒に来て支えてくれたそうですね。
「はい。今回も奥さんが一番大変なので。当時の僕は練習とバイトでお金が無くて。そんなときも、彼女がずっと支えてくれていましたし、いいときも悪いときも一緒に歩んできたというか、今回の試合前とかもそうですけど。なので、勝って、家族に勝利報告をしたいです」