気持ちを高めるためだろうか、道場には何枚も鈴木真彦の写真が貼られていた
2019年9月16日(月・祝)千葉・幕張メッセ・イベントホール『RISE WORLD SERIES 2019 Final Round』にて、第10試合のSuperFight! -54kg契約3分3R・延長1RでRISEバンタム級王者・鈴木真彦(山口道場)と対戦するRISEスーパーフライ級王者・田丸辰(平井道場)のインタビューが主催者を通じて届いた。
田丸は昨年11月の後楽園大会で金子梓とのプロ無敗対決を制し、初代RISEスーパーフライ級のベルトを獲得。今年5月には政所仁を破り初防衛にも成功している。卓越したボクシングテクニックとディフェンスに加え、片手で倒立してのハイキック=センチャイキックでダウンを奪うなどの業師ぶりも発揮し、プロ10戦全勝と無敗の17歳。
僕は楽しみながら倒そうと思っています
──先月には平井道場の平井明道会長の郷里で毎年恒例の夏合宿を行なったと聞きました。
「きつかったです。特に坂道ダッシュ。結構筋肉痛になりました。今年も行った収穫はありました。普通に楽しかったし、リフレッシュはできたんじゃないかと思います」
──合宿前には鈴木選手との試合の話も来ていた?
「そうですね。合宿に行く前、8月10日くらいに話を聞いたと思います。『やってやろう』という気になりました。僕がファン目線で見るとしたら、楽しみでどうなるんだろうと思います」
──RISEでは久しぶりの現役王者対決となりました。田丸選手が10戦無敗ならば、鈴木選手は16連勝中。お互いリスクは高い。
「無敗vs連勝は意識していないです。鈴木選手はひとつ上のチャンピオン。格上なので『食ってやろう』という感じです。逆にリスク的にいったら向こうの方があると思うし、僕は楽しみながら倒そうと思っています」
──これまでの接点は?
「一緒に練習したこともなければ、喋ったこともないです。この間の会見の時、裏で少しだけ話をしただけです」
──鈴木選手を対戦相手として意識するようになったのはいつ?
「そうですね。那須川選手とやりたいというからには、その前に倒さなければいけない相手だと思っていました。昨年良星先輩が鈴木選手に負けた時には『すごく強い選手だな。倒したい』と少し思いました。(階級も異なっていたので)まだやるまでには至らないけど、軽くそう思っていました。自分がRISEの王者になった頃には『やりたい』と思うようになりました。最短距離で那須川選手とやるためには鈴木選手との対戦は避けられないですね」
──良星選手との一戦はかなり参考に?
「そうですね。でも、僕と先輩は闘い方が全然違う。一応ネットに上がっている鈴木選手の動画は全部見て研究しています。良星先輩からも『こういうのがあるよ』という話を聞きながら対策を練っています。ただ、先輩の話は参考にしつつ、自分の中でできそうなことを取捨選択しようと思っています」
──警戒している部分は?
「パンチでガツガツ攻めてくるので、パンチが強いというイメージがありますね」
──鈴木選手は「闘って勝てると思われていることに腹が立つ」と語っています。
「格闘技は個人的に強いと思われている相手を倒していく。そこにロマンがあるからこそカッコいい。鈴木選手が勝って当たり前で、KOするだろうと予想している人も多いでしょう。僕も前回の試合(初防衛戦)で、多くの人に『田丸は政所に圧倒して勝つだろう』と予想されていたけど、それは大きなプレッシャーになりました。今回はそういうプレッシャーを鈴木選手が背負うので、対照的に僕は気持ち的に楽にできます」
──下馬評は右から左へ受け流せる?
「そうですね。まわりの意見は気にしていないです(微笑)」
──那須川選手は会見でシビアに3-7で鈴木選手が有利という予想を立てていました。
「そうですね。しかも『僕がアドバイスすれば、田丸選手が勝てる確率が上がる』とまで発言していましたよね。与えられた試練ではないけど、これは那須川選手の僕に対する『自分で考えて、俺のところまでたどり着いてこい』という愛のムチだと解釈しています」
──プラス思考ですね。
「目の前の敵を一人ずつ倒していけばいずれ那須川選手に近づく。そういえば、この間の会見では那須川選手と一言も喋っていないですね。でも、少しずつ認めてきてくれているのかなという思いはあります」
──いつになく集中している感じですね。
「そうですね。試合後のことや次は誰とやりたいとか、他のことは全く考えていない。55㎏級のベルトを欲しいという気持ちより、いまは鈴木選手を倒したいです」
──いまは不安より期待の方が大きい?
「ハイ(キッパリと)。楽しみです」