アメリカに行くことがUFCに行く唯一の道だ! って決意した
──ちなみに参考までに、キプロスではMMAはどれくらい人気というか、盛んなのですか?
「今は自分がこうしてUFCファイターになったこともあって、よりポピュラーになってきたんだけれど、それまでは、ムエタイとキックボクシングはかなりすでに盛んで、良い選手もいるし人気もあるという感じだったんだけど、もっとMMAが発展して欲しいというところで、自分としてはもっとみんなをインスパイアして、MMAについてもどんどん知っていってもらいたいと思っているところなんだ」
──いかにしてキプロスを身一つで飛び出して渡米するに至ったのでしょうか?
「キプロスでMMAファイターとして生計を立てるというのは不可能だったというのがありますね。やりたかったら他の仕事をしながら遊びでやるしかない。でも自分はどうしてもMMAを生業にしたかった。そういうキプロスだと練習環境も整っていないから、MMAのハイレベルなトレーニングは到底できないというのもあって。僕はUFCと契約することを夢見て、目標にしていたから『うん、よし。アメリカに行くっきゃない。それがUFCに行く唯一の道だ!』って決意したんです」
──LAWチームには、あなたの前につまりキプロス出身の最初のファイターである、コンスタンティノス・フィリッポウがいましたよね? それがあのチームに入った理由だったりするのですか?
「ううん、すごく偶然なことで。その前に練習していたジムで自分が一番になっちゃって、同じか、それ以上のレベルの練習を積むためには出稽古をするしかなくなっていたなかで、ロンゴに出向いたんだけれど、そこでアルジャメインと練習してすごく気に入って、“あ、ここでやったほうがいい、そうするべきだ”って思ったんだ。UFCファイターもたくさんいて、みんな素晴らしい選手たちで。ここでしっかり自分の実力を見せていければ絶対いいはずだって」
──日本の選手たちがたくさんいた時期もありますよね。交流はありましたか?
「うん! みんないい人だしみんな友達だよ、ウルカに井上直樹&魅津希姉弟に、平田直樹&樹兄妹たち……、一緒に練習したよ。ほかにもアジアから来ている選手たちがいっぱいいるけど、みんな仲よくしています」
──佐々木憂流迦選手がいま現在はプロレスラーとして活躍していることもご存知だったりしますか?
「うん! もちろん。彼のインスタで見ました!すごいよね」
GHCナショナル王者として、RIZIN事務所にご挨拶
— 佐々木憂流迦 Ulka Sasaki (@Ulka_Sasaki) August 1, 2024
有難う御座いました
今週末から始まるN-1開幕戦に向けて気合い入りました#noah_ghc #rizin pic.twitter.com/zSDxp1RN2r
──最近ベルトを獲りました。
「すごいですよね! オーマイゴッドって感じですよ」
──ところで、ボクシングの近い距離のトレーニングを見ましたが、試合ではオーソドックスなジャブ・ストレートよりも、左フック、右オーバーハンドが独特の軌道です。あの打ち方は空手・ムエタイ・それともMMAから?
「答えとしては『それが僕のMMAのスタイルだ』という感じですかね。実を言うと、MMAを始めた初期はキックボクシングスタイルだったとは思う。けど今はそれも変わって、MMAのスタイルを確立してきている。ストライカーであることに変わりはないのですけれどね。ちょっとずつちょっとずつ、スタイルは変わっていくものだなと自分では感じています」
──前手の位置が印象的で、スタンスとステップは空手の動きもあり、パンチはさきほど言った通り、空手のそれとは異なると感じました。
「そう思う? ユニークなのかな? 自分ではよく分からないけど、それは正しいかなと思うのは、他に同じような構えの選手は同じジムにはいないのは確か。僕だけだ。ただ、なんといったらいいのか、自然にそうなっていて、もしかしたらバックグラウンドから来ているのかもしれないですね。ただ断言できるかというとちょっと分からないです、どんどんミックスされていっているなかで自然にできてるものだから。きっとそうやって特別なものになってるとは思いたいかも」
──再起戦となる今回、どのような試合を見せたいですか?
「さっきと繰り返しになってしまうけれど、やっぱりKOは狙いたい。だけど、ただKOすることばかり考えてということじゃなくて、しっかりいいパフォーマンスをしたいということが第一なんです。その点では判定になったって構わないです。ただ、しっかり自分がいい状態で、いい感じで試合を運ぶことができるというのが大切です。というのも、前戦ではカーフで足を効かされてしまって、ステップができないし、自分のやりたいことを封じられてしまって。だから、自分のパフォーマンスがしっかり出せれば、その先にフィニッシュはあると思ってる」
──お互いにデビュー戦が黒星で負けられないという気持ちで臨むかと思います。最後に勝負を分ける鍵とは何だと思いますか?
「その通りで、僕たちはお互いに絶対に勝たなきゃいけない二人だ。そして言ってしまえばUFCの契約選手は誰しもがそこに残りたいはず。僕が思うに、やっぱり、より犠牲を払ったものが報われるのじゃないかなって。自分は渡米するために何もかも投げ捨ててきた。対戦相手に敬意は持っている、お互いにそうだろうと思う。だけれどお互いに勝ちが欲しい。となったときに、絶対自分のほうが勝ちたい気持ちで上回ってる」
──それほどまでになりたいと思い、そして今所属しているUFCの舞台というのは、ハラランボス選手にとってどういう場所で、そこで戦うことにどういう意味を感じているのでしょうか。
「夢そのものだから。キプロスにいた頃、ビデオだったり、YouTubeを通してかぶりついて見ていた。自分がオクタゴンに立つ姿を想像したりしてたんです。夢見た場所に、実際に立つことができている。もうそれだけで夢みたいで、夢の中を生きているかのようなんです。でもね、そうなったからにはもっともっと夢の先へと歩みを進めていかなくちゃいけない。だからUFCで勝ち星を重ねたいって、自分が今こうしている“夢”の世界を、より“ビューティフル・ドリーム”にしていかなくちゃいけないんです」
──それでは最後に日本のファンに向けて、メッセージをお願いします。
「さっき話したけれど、日本から来ていたチームメイトたち、今はみんなそれぞれの場所にいるけど、すごくいい人たちで大好きです。彼らにありがとうって伝えたいし、応援してくれている人たちにも感謝の気持ちを伝えたいです。そうやって自分を支えてくれる人が日本にいるということが光栄です。日本に行ってみたいなって思っています。いつか日本でみなさんに会えるように願っています」
──来月バンタム級のタイトルマッチ(vs.キム・スーチョル)がある井上直樹選手にも何か言葉をいただけますか。
「彼はやってくれると信じています。本当に素晴らしい選手なんですよ、いろいろな、高い技術を持っている。僕からは、ポジティブなエネルギーを彼に向けて送りたいと思います! 幸運を祈っているし、実際、彼は運なんて必要ないですよ、素晴らしい試合をして勝ちを得るでしょう」