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インタビュー

【PANCRASE】伊藤盛一郎、衝撃の失神ワンハンドチョークの真実「今が一番強い、まだまだ強くなっている」=王座防衛インタビユー

2024/07/25 16:07

ワンハンドチョークは元谷選手の動きから研究して自分のモノに──

――足は絡んでいなかったけど、先に手を入れましたね。

「はい」

――でも肩しか抱けなかった。ワンハンドで極める自信はあったのですか。

「もう肩を持って、左腕の前腕を頸動脈に当てているんですけど、ここがしっかり密着していれば行けるなって自信があったので、そこがブレないようにだけしっかり持ったまま、足もフックして。でも、最初はワンハンドだけで絞めてたんですけど、やっぱりちょっと首強くて、ちょっと片手だけだとどうしても絞まりきらないかなと思って、右腕をここで入れ直した感じです」

――あのとき、左手で肩を抱いて頸動脈は離さず、右手は上から押さえるような形でした。あれは……。

「もう一方の手で押さえることで、ワンハンドの左手を相手に剥がされないんです」

――なるほど。ワンハンド自体は昔、PRIDE武士道でデニス・カーンがアマール・スロエフを極めたシーンが有名ですが、伊藤選手は相手から絞め手を隠して、さらに上から押さえ込んだと。この形を使うようになったのはいつからですか?

「昔、DEEPで元谷(友貴)さんがやっていて(2021年2月の昇侍戦)、自分もその映像を見て、こんな感じで極まってるからなんで決まるんだろう? と思って、研究して練習して、オリジナルな部分を加えて自分の独特の取れる感覚があるんです。そこから、もう試合で3回、極めてますね。RIZINの橋本薫汰戦と、あとPANCRASEに最初に出た上田将竜選手との試合のときも実はこの形でした」


【写真】元谷が昇侍を極めたチョーク。右手で肩を抱き、左手は頭後ろに回さず、右手の上から押さえている。

――「首は難しいかもしれない」という中で、最後はセコンドからも声があったのでしょうか。ワンハンドのときに「行っていい」と

「入りは完璧じゃなかったんです。自分の中ではちょっと浅くて。でももう1回組み直しちゃうと、外れちゃうかもしれないし、どうしようかなというときだったんですけど、セコンドからは『もう締めろ』『組み直すな、外すな』というのは聞こえて、そのまま頑張って絞め続けたら相手が落ちました」

――なるほど。IMMAF王者相手に見事な一本勝ちでした。試合前には田中路教選手と、所英男選手とも練習をしている動画を拝見しました。一昨日、所選手に話を聞いたら、「試合前の盛一郎さんにとってそんなに練習にならないはずなのに受けてもらって力になった」と言っていましたが、引退を賭けて戦う所選手の取り組みにも刺激を受けることもありましたか。

「いや……自分、所さんに取られましたもん、一本。普段練習じゃ全然取られないですけど、やっぱ強烈ですよね、所さんの技って。こんな形で取るんだって」


【写真】横浜グランドスラムの先輩の田中路教と後輩の髙城光弘と。

――田中路教選手との練習も、「相手に作らせてからじゃ遅い」と仰っていて、今回の最後のチョークはポジション的にはズレていても何より首を獲りに行った、普段の練習が活きていると感じました。そして立ち技も……。

「はい。ありがとうございます。打撃はノップ先生(ノッパデッソーン)のミットでやっているのが出た感じですね。もうちょっとやりたかったんですけど、相手がけっこう近くてすぐ足を持ってくる。それで、タックルが来るところに縦ヒジとかをミットで練習していて、初めて本格的にヒジを教えてもらって出してみようかって、裏のアップのときとかもイメージは出来ていたんです。3R目、相手が疲れてたんで、最初始まるときに腹を効かそうと思って、三日月を蹴ってちょっとすっぽ抜けちゃったんですけど、その後にヒジを出しました」

――ノッパデッソーンさんのところには、菅原美優選手とも行くようですね。

「はい。週1で一緒に行っていて、美優は今回裏(控え室に)入ってくれてたんでアップも見てもらって、『距離感とか、立ち位置ここで大丈夫かな』って聞きながら、裏でアップして。『ここならもらわない』位置とか、『ここだったら近くない、大丈夫だよ』みたいに確認しながらアップしていました」

――立ち技の部分では、菅原選手からそんなアドバイスも受けていたのですね。そして、今回の一本勝ち後、ケージを飛び出して、お父様と勝利のハグをかわした姿も印象的でした。カナダから来日したのですね。

「自分はカナダのトロントで生まれて、3歳まで向こうにいたんですけど、そのときに母親がバセドウ病というストレスからなる病気になってしまって、カナダにいたら友達もいないし、いろいろストレスで治らないからといって、両親は離れて、自分と母親だけ日本に帰ってきたんです。父は沖縄出身なので、3年に1回とか帰ってきたときは沖縄に一緒に行ったりもしていたのですが、それがコロナのせいで帰って来れなくなって……今回7年ぶりくらいに会うことができました。6月に、7月8日から2週間くらい沖縄の実家のことで日本に急遽行きますと連絡があって、“2週間の滞在だったらギリギリ、自分の試合に間に合うかも”と思って、伝えておいたら駆け付けてくれて、ほんとうに嬉しかったです」

──これまで伊藤選手の試合を直に見てもらったことはあったのですか。

「試合は初めてです。YouTubeに出ているRIZINの試合とかはたぶん見てくれていたようで、お父さん、けっこう格闘技好きみたいで、昔のPRIDEの動画も観たりしていて、昨日もピーター・アーツがいて、テンション上がってました(笑)」

――カナダに帰る前に、直に試合を見てもらうことができて良かったですね。

「ほんとう、奇跡です。お父さん、ふだんカナダのオンタリオ州のリッチモンドヒルでみやびというお寿司屋さんをやっているので、ぜひカナダに行かれたときは寄ってみてください!」

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