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インタビュー

【UFC】9戦無敗の鶴屋怜のUFCデビュー戦に中邑真輔がセコンド入り、勝利の「イヤァオ!」がオクタゴンにも響くか、鶴屋「中邑選手から『キンシャサ行け!』って言われたら──」=6.29『UFC 303』

2024/06/27 14:06
 2024年6月29日(日本時間30日)、米国ラスベガスのTモバイルアリーナにて開催される『UFC 303: Pereira vs. Prochazka 2』(U-NEXT配信)で、日本の鶴屋怜(THE BLACKBELT JAPAN)がUFCデビュー。フライ級で米国のカルロス・ヘルナンデスと対戦する。  その鶴屋のセコンドに、元青山学院大学レスリング部主将で新日本プロレス時代にMMA3勝1敗1NCの戦績も持つ、WWEスーパースターの中邑真輔がつくことが27日、発表された。 「UFCで世界と戦う鶴屋怜選手をよろしく」とXで投稿した中邑に、U-NEXTのインタビューで鶴屋は「中邑選手から『キンシャサ行け!』って言われたら……」と、禁断のフィニュシュについて触れている。  UFCフライ級には、同門で同階級の平良達郎がUFC6連勝で5位にランクインし、RIZINバンタム級王者の朝倉海が参戦する可能性も話題となっているなか、『ROAD TO UFC』3試合を勝ち上がって契約を決めた鶴屋は、「達郎くんだったり、ほかの選手が注目を浴びているので、やっぱりその中でも“鶴屋怜はまたちょっと違うな”っていうところを見せられたらいいなと思っています。それで最終的にチャンピオンになれれば」と、存在感を示し、UFCチャンピオンを目指すと語った。  果たして勝利の「イヤァオ!」がオクタゴンでも見られるか。 鶴屋「キンシャサで反則負けするかも(笑)」  元修斗でTHE BLACKBELT JAPAN代表の鶴屋浩氏を父に持つ鶴屋怜は、MMA9戦無敗。レスリングベースで、2023年から2024年にかけて行われた『ROAD TO UFC Season 2』で3試合を勝ち抜き、UFCとの契約を決めていた。  鶴屋が初戦で対するヘルナンデスは、MMA9勝3敗でUFC2勝2敗。元HFC王者で、2023年12月の前戦では鶴屋と同門の平良達郎と対戦し、平良が右ストレートからのパウンドで2R、TKO勝ちしている。  キックボクシングのパンアメリカン準優勝・TBAムエタイ王者の肩書きも持つストライカーのヘルナンデスは、UFC初戦で元LFA王者のビクトル・アルタミラノを相手にコンテンダーシリーズ同様に1Rを奪われたが、競り合いで動きが落ちず、終盤盛り返してのスプリット判定勝ち。  2戦目はRIZINで60kg契約で元谷友貴にスプリット判定で敗れたアラン・ナシメントにスタンドのままリアネイキドチョークを極められ一本負け。連勝が「8」でストップした。  2023年6月には、ローカル14勝すべてがフィニッシュ勝利というウクライナのデニス・ボンダーと対戦。3Rに投げた際のヘッドバッドによりボンダーが失神、テクニカル判定で30-27×2、29-28の3-0で打撃の手数で勝ったヘルナンデスが勝利している。  そして、2023年12月の前戦で平良にTKO負け。その試合で平良は、1Rに寝技で圧倒。バック・マウントを奪取すると、続く2Rに右ストレートを効かせて右から左フックでダウンを奪い、パウンドアウトでUFC5連勝をマーク。6月15日のアレックス・ペレス戦に繋げていた。  沖縄の平良と千葉の鶴屋は同グループながら、同階級のライバルでもある。グラップラーの平良が立ち技の進化を見せるなか、鶴屋はUFCデビュー戦で、同じく強い組み技を軸にヘルナンデスを相手にどんな試合を見せるか。  そしてその会場は、アレックス・ペレイラvs.イリー・プロハースカのライトヘビー級王座戦がメインのラスベガスのTモバイルアリーナでのナンバーシリーズ大会となる。いきなり大観客のビッグマッチ抜擢に、UFCから鶴屋への期待も感じられるヘルナンデス戦となる。  鶴屋は米国フロリダのアメリカントップチームで堀口恭司、元谷友貴らとトレーニングを積み、国内では所属のTHE BLACKBELT JAPANに加え、グラップラーの猛者が集う、ロータス世田谷にも出稽古を行ってきた。  さらにセコンドには、かつてプロレスラーも目指していた父・鶴屋浩も敬意を抱く中邑真輔がセコンド入り。UFCとWWEを運営するTKOグループ・ホールディングスの関係もあり、日本人ファイターの共演となったようだ。  UFC初戦に向け、万全の準備を進めてきた、平良同様に無敗の鶴屋のUFCデビュー戦に注目だ。下記は鶴屋との一問一答全文。 [nextpage] ATTで堀口恭司、パントージャらと練習「トップに行けるんじゃないか、と思えるような練習ができた」 ──2月のRTU優勝を経て、遂にUFCデビュー戦を今週末に迎えますが、そんな現在の心境を教えてください。 「昨年から出場していた『ROAD TO UFC(RTU)シーズン2』を含めて、海外で試合する中で、今回は一番緊張してなくて、普通にいい感じで(ファイトウィークに)入れてるなって感じがしています。RTUでの3戦はUFCとの契約が“決まるか、決まらないか”がかかっている試合だったので、やっぱり自分はUFCに出場できなければ意味がないと思っていたなかで、ここで負けたらまた1年かけての挑戦(に逆戻り)になってしまうと思っていたし、多分そういうこともあったので緊張というか、そこは結構、精神的に……何て言うのですかね、自分の中でRTUに臨む1年間、気持ち作ってきたので。思えば多分、どこかに不安のような気持ちも少しあったのかな……っていう気もします。だからUFC本戦での初戦になったら意外と緊張しないなって。心境としては、いつも日本でやるみたいな感じで、すごくいい感じです!」 ──UFCとの契約にサインをしてから、選手として練習での取り組みを含めて変わったことなどはありますか? 「特に、UFCに向けてだからといって変えたりしたことはありませんが、試合が決まってからは普通に出稽古も増やして、1日しっかり二部練をやるということを徹底して、試合前1カ月間はやってきました」 ──2月の優勝後、米国修行でアメリカン・トップ・チームに行かれたのは、どういった課題や目標からですか? 「アメリカには、“今の自分の実力がどんなものなのか”ということを知りたかったから行ったというのが一番大きくいです。練習としての課題は、あっちの選手に触れて慣れるっていうのもあるし、トップ選手たちから少しでも技術を盗めればいいなと思っていました」 ──そのトップ選手のなかにはUFCフライ級王者に君臨するアレクサンドル・パントーハ選手もいますね。自分の目標とするポジションの選手と手を合わせるとき、そのことを意識しましたか? 「“UFC王者のパントーハだ!”みたいに意識はしなかったというか、もちろんパントーハがチャンピオンなのは事実なので、“俺はそのベルトが欲しい”って思うぐらいで(笑)、練習としては普通に組んでいました」 ──そのパントーハとの練習も含めて、目的としては実力を測りに行ったとのことですが、手応えはいかがでしたか? 「そうですね、全体を通して“トップに行けるんじゃないか”と思えるような練習ができました」 [nextpage] 「鶴屋怜はまたちょっと違うな」っていうところを見せられたら ──今回の対戦相手は平良達郎選手と対戦しているカルロス・ヘルナンデス選手です。印象は? 「最初は打撃の印象がすごかったですけど、見てみたら意外と組みの展開も多く、自分から結構テイクダウンすることも多いのですが、その点で自分にはレスリング(のバックボーン)があるので、そもそもあんまりタックルに入られることはないですし、逆にまあ(タックルに)“入ってくれればありがたいな”という感じでいます。  打撃のほうも、めちゃくちゃいい強烈な一発があるとか、そういうわけではなさそうなので、そんなにめちゃくちゃ何か警戒してるってわけじゃないですけれど、ヒザだったりを絶対に狙ってくると思うので、それをしっかり頭の中に入れとけば大丈夫かなって感じですね。いつもあんまりたくさん相手の試合を見たりしないのですが、やっぱり今回もそんなに見てなくて、相手の対策を練ってきているというよりは、普通に自分がやることを磨いてきただけって感じです」 ──チームメイトの岡田遼選手が今回もコーナーに付かれると思うのですが、(平良達郎選手の)セコンドとして、すでにカルロス・ヘルナンデス戦を経験しています。相手の癖であったり、アドバイスなどいろいろもらったのですか? 「それは、特に意識していませんでしたが、言われてみれば確かに岡田さんは2回目になるのですよね。当日は指示をしっかり聞いて試合に臨もうと思います」 ──どんな試合をしたいと思っていますか? 「1ラウンドで終われれば……、いや1ラウンドで終わらせたいです。もし1ラウンドで決められなかったとしても、必ずフィニッシュをします」 ──RTU参戦当時も、「すごい奴が来た」というインパクトを見据えて全フィニッシュしたいと言っていましたよね。やはり本戦に入ってからもフィニッシュにこだわりたいですか。 「そうですね。UFCファイターとしてはフィニッシュが多い選手であるほうが、判定で勝つよりも人気が出るでしょうし、絶対いいですよね」 ──キャンセルになってしまったものの、当初は鶴屋選手が憧れとするコナー・マクレガー選手がメインイベンターだった(※アレックス・ペレイラvs.イリー・プロハースカのライトヘビー級戦がメインに)、それほどの規模のイベントでデビューすることについては、UFCからの期待を感じているでしょうか。 「最初に試合のオファーがあった時はまだコナー・マクレガー選手が出るかはわからなくて。でもナンバーシリーズではあったので、自分としてもデビュー戦をナンバーシリーズで、しかもそのなかでもかなり大きな大会なので、“おいしいな”と思いました。本来だったらUFC APEXで行われるくらいが普通だったのでしょうけど、ナンバーシリーズというアリーナ開催でのイベントになって全然注目度も違うだろうし、だからこそ、やっぱりそこで一本で勝つということは、大事なことなんだと思っています。周りからも『達郎くんも2ラウンドで勝ってるし、怜も勝てるでしょ』みたいな感じで言われているので、だからこそ、ここはしっかりフィニッシュで勝たないといけないと思っていて」 ──「緊張してない」という上であえて伺うのですが、そういうさまざまな要素はプレッシャーには繋がらないのですか? 「どうだろう? 確かに感じないです。いい意味で周りからしっかり期待されているので、ここで日本人だけじゃなくて、しっかり外国の人たちにも印象付けたいというのが大きいですね」 ──ところでコーナーにつくのは先ほども挙げた岡田遼選手、そしてお父さんである鶴屋浩代表も変わらずだと思いますが、もう1枠にはどなたか日本からチームメイトを連れてきたのですか? 「プロレスラーの中邑真輔選手が付いてくれることになったんです。スーパースターなので、そういうところもしっかりアピールできればいいかなって思っています」 ──なんと! コーナーからどんな声が飛んでくるのか、楽しみですね。今日ここまでのフィニッシュ宣言はまさかフィニッシュムーブにサプライズがあるという壮大なフリだったのでしょうか……。 「相手が倒れた時に中邑選手から『キンシャサ行け!』って言われないといいんですけどね(笑)、それでやってしまって反則負けになるかもしれないです(笑)アハハハハ!」 ──4点ポジションでのスライディングのキンシャサは、UFCでは完全にアウトですね(笑)。そういう話題性でもアメリカのお客さんを沸かせることは間違いないと思うのですが、鶴屋選手ご自身としては、どんなアピールをしたいと思っていますか? 「今は日本人だと、(平良)達郎くんだったり、他の選手が注目を浴びているので、やっぱりその中でも“鶴屋怜はまたちょっと違うな”っていうところを見せられたらいいなと思っています。それでファンもたくさんついて、最終的にチャンピオンになれればいいなって」 ──勝利の「イヤァオ!」楽しみにしています! 「はい、そこは……(笑)、終わったら(笑)、はい……」
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