空道
レポート

【空道】女子空道界の至宝・大倉萌、帯広でヒグマとの共存を研究する後輩・小野寺のケンカ技に連敗喫す!

2024/06/03 21:06
 2024年5月26日(日)愛知・名古屋市の愛知県武道館にて一般社団法人全日本空道連盟主催『2024北斗旗全日本空道体力別選手権大会』が開催された。  昨年2023年は5月13~14日に4年に一度の世界選手権が開催されたことに伴い同大会が実施されなかったため、2年ぶりに各階級の日本一が決まる大会となった。最重量級270+クラスの岩﨑大河、-250クラスの小野寺稜太ら世界選手権優勝者が出場していないことにより、U19(高校生部門)から昇格したばかりの選手たちの台頭あり、MMAやキックボクシング、そして極真空手で実績を誇る選手たちの優勝ありの大混戦となった。 ▼女子-220クラス決勝戦〇小野寺玲奈(大道塾帯広支部)[延長 旗判定5-0]※本戦、小野寺が右ストレートで効果(1ポイント)を1回獲得×大倉 萌 (大道塾吉祥寺支部)  高校卒業後直後に挑んだ昨年の世界選手権、決勝で大倉萌を下して優勝を遂げた後、大学受験に専念し、稽古を再開したのは2か月ほど前という小野寺玲奈が決勝へ勝ち上がり、再び大倉と対戦。  掴んでの頭突きや、回し崩しからのハイキックなど、空道ならではのストリートファイト的技術を駆使し、延長戦旗判定5-0で勝利を遂げた。 【写真】片襟片袖を掴んでサイドに回り込んだ位置から頭突きをカマす小野寺「自然が大好きで、野生動物について学びたかった」と北海道の畜産大学に進学し、今後は、キタキツネやヒグマなどと人間の共存について研究するというた小野寺。空道に関しても「前回世界選手権ではロシアやウクライナの選手と闘うことはできなかったから、次回大会で勝って優勝したって言えると思うので、対策を立てていきたい」と志は高い。  一方、打撃から寝技までフォトジェニックな技術を誇り、女子空道の至宝とも称される大倉は「チャレンジ精神がなくなったら終わり。そのあたりを自分で見極めなくちゃ…と思っている」と8歳下の後輩に連敗した心情を吐露する。プロキックボクサーとしても戦績を重ねた大倉だが、空道では、最軽量階級で闘うにしてもキックでの適正階級でのリミットより14kg増量せねばリミットに達しない。大企業に勤務する社会人となって5年を経て責任の重い業務も増え、今後進むべき道に関して、難しさに直面しているようだ。 [nextpage] ▼270+クラス決勝戦〇宮原 穣(大道塾東中野支部)[本戦 一本]×山田泰輔 (大道塾仙台西支部)※左上段回し蹴り。宮原が右ストレートで効果(1ポイント)を1回獲得  初戦開始後ほどなくしてテイクダウンの攻防で左肩を脱臼し、延長旗判定3-2の微差で勝利を収めた宮原は、決勝の序盤にも脱臼を再発。空道の大会の決勝戦は効果2つ以上のポイントを奪わなければ無条件で延長戦に入るため「また延長戦になったら厳しいから、倒せるように試合を組み立てた」という宮原は、下段を効かせ、ガードを下げさせてからハイキックを一閃。計算通りの一本勝ちを収めた。  極真空手の派閥のひとつの全日本大会で優勝、世界選手権で準優勝の経験をもつ宮原は、今大会の1週間前にもフルコンタクト空手の試合でロシア人と闘い、その強さを体感してきたばかりだという。 【写真】日本拳法で鍛え、さらに大道塾入門後に長田賢一塾長の指導を受けて磨いた右ストレートで宮原を苦しめた山田だが、上段回し蹴りに沈んだ「外国人とやりたい。総合的に強くなるために空道をはじめたので、負けてもいいから本当に強い選手と闘いたい。秋の全日本無差別を目指したかったけど、肩の手術をしてじっくり直したい」と、その目は早くも世界を向いている。欧米のブランドイベント「カラテコンバット」の契約も2試合残っており、タイトル挑戦の可能性もあるとのこと。岩﨑大河との初対戦も楽しみだ。 [nextpage] ▼-230クラス決勝戦〇目黒雄太(大道塾長岡支部)[延長 一本]×佐々木龍希 (大道塾総本部)※目黒の腰車(首投げ)で佐々木が左肘を脱臼し、試合続行不能 【写真】佐々木(青)の右ストレートがアゴを打ち抜くが、この直後… 決勝戦、全日本連覇記録(V7)保持者の目黒雄太が、半年前の全日本無差別で最軽量級の選手ながら準優勝した佐々木龍希と対戦。右ストレートを受け流して首投げを決め、佐々木を試合続行不能に追い込み、記録更新を果たした。 【写真】目黒が腰車で切り返すと、左手をマットに着いた佐々木が肘を脱臼した「『身体も温まってきてこれからが楽しいところ』と佐々木選手も思っていたと思います。自分の中では、今回スパッと勝てれば一度休憩してもいいのかな、と考えていましたが、残念な終わり方になってしまったので、来年も頑張ろうかな、と」と余裕をみせた目黒。 「こういう終わり方を想定していなかったので本当に悔しいです」と涙を浮かべていた佐々木に、目黒のさらなる記録更新の意志を知らせると「勝ちます!」とひとことだけ、返ってきた。 [nextpage] ▼-250クラス決勝戦〇鈴木浩佑(挌技会)[延長 効果優勢勝ち]×中村凌(大道塾日進支部)※延長、鈴木が四つ這いの相手へのキメ突きで効果(1ポイント)を1回獲得 【写真】鈴木の右ローに右ストレートを合わせる中村 1年前の世界選手権4位の寺阪翼(大道塾総本部)は、柔道を経てアマチュアボクシングでは高校時代県2位の成績をもつ中村凌の右ストレートによって担架に乗せられ、現MAキックボクシング連盟日本ウェルター級王者の小川悠太(誠真会館所沢道場)は、高校柔道学年別大会で県ベスト8、キックボクシングでKNOCK-OUTアマチュア全日本優勝の鈴木浩祐にテイクダウンを奪われ、本戦旗判定4-1で惜敗。  ダークホース同士の対戦となった決勝は、打撃においてはパンチで中村、蹴りで鈴木がクリーンヒットを重ねる一進一退の展開の末、延長終了間際、タックル気味に組みつきにいったところを引き落とされ亀状態になった中村に鈴木がキメ突きを放ち、勝負あり。  打撃系と組技系、双方の競技経験がある者が、たとえそれぞれの競技キャリアがトップレベルのものでなくても、掛け算の総合力で相手の穴を突きことができる…そんな空道の妙味を感じさせた波乱のトーナメントであった。 【その他の階級の入賞者】▼男子260以下優 勝 林洸聖(大道塾佐久支部)準優勝 麦谷亮介(大道塾行徳支部) ▼男子240以下優 勝 谷井翔太(大道塾横須賀支部)準優勝 伊東宗志(大道塾日進支部)
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