井上直樹選手の押さえ込みと違う。(アキラの押さえ込みは)俺の体にディフェンスが染み付いている
──今回の試合に向けて「井上直樹 被害者の会」会長として井上選手をはじめ、関鉄矢選手、高木凌選手らと練習されてきたそうですね。どの選手も強豪ですが、アキラ選手のタイプとは……。
「ハハハッ、たしかにみんなリーチがあってストライカーで。でも長岡(弘樹・DOBUITA)代表と徹底的に組みの練習をして、ジムの人たちともグラウンド、グラップリングの練習をしていました。(アキラを)イメージして。ファイトスタイルも体格もパワーも、似てなくはないので。あとゴリラっぽさも。相手を想定して練習できて、バンバン右をぶちこませていただきました」
──バンバン右を……長岡代表としては堪ったもんじゃない練習ですね(苦笑)。でも想定練習になったと。
「はい。それでスピードだったり、打撃の面、あとしんどいところをイメージした“やられること”をイメージした練習を、常にSONIC SQUADに行って井上直樹選手や関鉄矢選手らとしこたま(スパーリングを)やらせていただきました」
──練習頻度も増やしたり?
「練習はほとんど毎日、週6(日)でやっていました。毎日で1週間で、6日か?」
──1週間は7日ですが(笑)。計量直後でまだ頭が回ってないところにすみません。
「ですよね(笑)。ちょっとまあ、週に1日、2日休むくらいで体と相談しながらやって。地元(横須賀)のパーソナルのジムに低酸素トレーニングのできる部屋があって、そこでランニングマシーンとかが別室にあって、心肺トレーニングとかフィジカルも強化できて、粕谷(優介)さんとやった時からその効果が出てきているなと思っていました。
去年の4月のRIZINで(アリ・アブドゥルカリコフに)圧倒的にフィジカルで負けてるなっていうのを感じて、それと同時にちょうど低酸素トレーニングにももともと興味があって、横須賀にいきなり開業したから『面倒みてよ』ってお願いしました」
──5Rの王座戦を戦えるように?
「はい。戦えます。もう、サクっと終わらせたいですけど!(笑)」
──長時間の練習を積んだからこそ、早期決着にも力を出せる、行ける身体になっている?
「そうですね、もちろん。5Rも戦えると信じています。このあいだ5分3Rやった時の感想は“もう1Rは動けるな”っていう感じだったんで自分の中では。自分の中で過去イチの状態を作れたなと思ってます。“5Rいけちゃうんじゃないか”と思ってます。フルラウンドやるなら、やるぞと(笑)」
──誰もがこの試合は組みのアキラ選手と強打の右を持つヤン坊選手の試合と言います。しかし、ヤン坊選手にとっては粕谷戦も含めて、自分から仕掛けて、場合によっては組んでも構わないという状況も作れている感じですか。
「はい、そうですねもちろん。やっぱり組みの部分が弱いと思われていましたけど、試合であまりそういうことを見せるシーンが無かったし、自分から組むっていうのが頭に無かったんですよね。組まれたら、逆にいいぜ、みたいな。前回ちょっとやってみたら、組みも結構いけるなと。そりゃそうですよね、長岡さんとやってるんで。長岡さんには組みでもガンガン攻めたりとかしているので。やれないことなかったんだなって前回答え合わせになったのかなと。どっかでみんなをワっと沸かせたいということで、ああいう打撃スタイルにはなっちゃってますが」
──井上直樹選手が佐藤将光選手との試合で、最終Rに自分からタイミング良く、ダブルレッグテイクダウンを決めて、コントロールしました。あの試合をどう見ましたか。
「将光さんの気持ちすごい分かりました(苦笑)。速すぎるんですよ、全部が。打ちに行ってももうそこにいない。ちょっとパンチ入らなくなってきたって思って“よっしゃ、行ける”と思って入って行くと、ああやってストンと倒される。で、トップコントロールがハンパじゃない。もう、ハンパじゃないっすよ。どんだけスクランブルしても絶対取り返してくるんです」
──では、今回、もしアキラ選手に押さえ込まれてもスクランブルする自信が?
「はい、あります。あそこまで井上選手のグワングワンとしたスクランブルになると思っていないんで。(アキラの押さえ込みは)ボス(長岡代表)とやるみたいな、ジワンジワン、ガンッ! みたいになると思ってるんで。俺の体にはそっちのディフェンスは染み付いているので」
──そしてスタンドでも、右の上下もカウンターのみならず自らも仕掛けられると。
「そうですね、試合だと自分からもパンパンと行きますけど、なんか集中力がすごいんですよ。みんなどうなのか分からないですけど。空いた瞬間とか相手が効いて一瞬止まった瞬間とかビクンときて、それでいつも“そこだ!”っていうのを体がパッと動いて、みんなが倒れてしまうというか。今回もカウンターというか、体が勝手に出ちゃうんじゃないかな」
──この王座戦はかつての「暫定」がつかないタイトルです。
「もう、嫌ですね。『暫定』って文字がついているのは。正規になれなかった奴みたいな。“はい、(正規王者に)なれませんでした!”って感じで(苦笑)。第9代ですよね、次で。“第9代”が欲しいです」
──そのためにどんな試合に?
「KO必至じゃないですかね。どっちも“事故らせられる”と思うので。お互い危険な右を持っている。もちろん最後に立っているのは自分ですけどね」