2024年3月29日(金)タイ・バンコクのルンピニースタジアムにて『ONE Friday Fights 57』(U-NEXT配信)が開催された。
▼第4試合 キャッチウェイト(63.5kg)ムエタイ 3分3R○モー・テート・アウン(ミャンマー)[3R 2分50秒 TKO]×丸山智也(=紀州のマルちゃん/武勇会)
丸山は紀州のマルちゃんのリングネームでJAPAN KICKBOXING INNOVATIONで活躍。2020年8月にINNOVATIONライト級王座決定戦、2021年11月にINNOVATIONライト級タイトルマッチ、2023年4月にINNOVATIONスーパーフェザー級タイトルマッチを行っているがいずれも敗れている。「KOできんかったら負け」というほどKOにこだわりを持つ。
アウンはラウェイで32勝(26KO)1敗の戦績を持つ。
1R、サウスポーで長身の丸山にアウンは左右フックでどんどん前へ出る。丸山の蹴りは上体を動かしてかわすが、丸山は首相撲から顔面へヒザを突き刺し、ダウンを奪う。立ち上がったアウンは右ストレート。アイポークのアピールがあり、再開後も右ストレートを顔面とボディに放つ。丸山はヒジとヒザで対抗し、顔面へのパンチの連打とヒザの連打でアウンを下がらせる。首相撲の対応が出来ないアウンへヒジとヒザの丸山。
2Rが始まると突っ込むアウンを丸山は首相撲に捕まえてヒザ。アウンは腰に抱き着いてこれを凌ぐが、丸山は容赦なくヒザを顔面とボディへ見舞っていき、ヒジも打つ。左右フックを出しながら突進するアウンに大歓声が上がり、丸山に右ストレートを直撃。丸山は首相撲からヒザの連打だ。離れると丸山は左右フック、ヒジとヒザ。アウンも右ストレートで反撃。激しい打ち合いに場内は大いに盛り上がる。
3R、右ミドルから右ストレートで前へ出るアウンを首相撲に捕まえる丸山。離れるとアウンが右ストレートを放ち、丸山はヒザで対抗。右ストレート、左フックをもらう丸山だが、すぐに右フックで反撃。前に出ながらフルスイングするアウンに、丸山はヒジ。アウンはボディへの右を打つ。
アウンの右フックで丸山はダウンしかけるが、首相撲で凌ぐ。しかし、アウンの右ストレートでダウン。立ち上がろうとするも足がいうことをきかず、アウンが残り10秒の逆転で激闘を制した。アウンには35万バーツのボーナスが贈られた。
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▼第3試合 キャッチウェイト(68.9kg)ムエタイ 3分3R〇トゥアン・トラン(ベトナム)[3R 0分56秒 TKO]×上西勇弥(TEAM Hi-UP)
上西は幼少期から空手を学び、19歳からキックボクシングを始めてアマチュア無敗。2017年にはボクシングのプロテストに合格。その後もレスリングやMMAを学び、2019年にブラジルのキックボクシング大会にて65kg以下トーナメント優勝。
2019年12月には『TWOFC(TACHI WAZA OPEN FINGER CHAMPIONSHIP)』という大会で、ラジャダムナンスタジアム元王者の肩書きを持つTOMとチャイディー・力にオープンフィンガーグローブ着用のヒジありムエタイルールで勝利している。2023年2月の第1回『NARIAGARI』のメインイベントで寒天マン(春日井“寒天”たけし)とキックルールで対戦し、判定負けしている。
トランはムエタイで8勝1敗。
1R、上西はガードを下げて右へ動くが、トランはすぐに距離を詰めての連打を決める。これに打ち合いで応じる上西。トランのワンツー連打にアッパーを交えたコンビネーションで対抗するが、左フックからの右フックでダウンを奪われる。トランは首相撲に捕まえるとボディへヒザを2発突き刺し、2度目のダウンを追加。
さらにボディへのヒザを連打していくトランに上西は打ち合いを挑み、右ストレートをヒットさせる。トランもワンツーで前へ出ていき、上西はあくまでも低いガードでジャブ、右ストレートを出し、フットワークを使ってこのラウンドを凌いだ。
2R、ジャブを出しながらフットワークを使って下がる上西にトランもジャブを突きながら前へ出る。上西はかわしながら右ローを蹴るが、トランのワンツーに大きくグラつく。しかし、前へ来たトランに左フック、右ストレートからの左フックを決めてダウンを奪い返す。再び首相撲からのヒザに捉えるトラン。上西は右の蹴りから右フック、ガードを下げてジャブを打つ。
3Rが始まってすぐ、上西の右ミドルをキャッチしたトランの左ストレートで上西がダウン。立ち上がった上西は打ち合いに行き、トランのワンツーにヒザで対抗する。しかし、ワンツー、左右のボディをもらうと通算4度目のダウンを喫し、トランのKO勝ちとなった。
激闘を演じたトランには35万バーツのボーナスが贈られた。
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▼第2試合 キャッチウェイト(73.9kg)MMA 5分3R×ミハイル・グリツァネンコ(ロシア)[判定1-2]〇松田征也(BLUE DOG GYM)
柔道をバックボーンに持つ松田は、MMA3戦0敗。GRACHANでデビューし、2023年12月の前戦で伊藤類に1R TKO勝ち。2023年10月には柔術家のディオゴ・ロボ・トクナガに2R TKO勝ちも、試合後のケージ上のアピールで落ちて話題となった。対するグリツァネンコはMMA4勝1敗。4つの勝ち星は全試合フィニッシュ勝利している。
1R、ともにオーソドックス構え。積まて左ミドルのグリツァネンコに組む松田。小手に巻くグリツァネンコ。離れてシングルレッグの松田をここも切るグリツァネンコは右を突く。
右ローからワンツーのグリツァネンコに低いシングルレッグの松田だが、差し上げるグリツァネンコ。松田は遠間から組みも触らせないグリツァネンコ。
左ヒザを浴びる松田。さらにグリツァネンコは右をヒット! 右ストレートを返す松田だが、左ジャブを突くグリツァネンコは松田の組みを突き放す。左ミドルも当てるグリツァネンコは左ジャブも。松田も右ミドルを返すが単発。右前蹴りがローブローに。グリツァネンコが立ち上がり再開。
2R、ダブルレッグで押し込む松田。差し上げるグリツァネンコは切るが、前に出るのは松田。グリツァネンコは左ハイ。ガードした松田はシングルレッグからスタンドバックへ! 持ち上げ崩してバックについて崩し。両手を着かせてヒザ! ヒップアタックのグリツァネンコを潰してサイド、上四方を奪うと、ストレートアームバー狙い。さらに頭つきのキムラへ! ブリッジで耐えるグリツァネンコに上から絞る松田! 最後はヒザを顔面に突いてゴング。
3R、両手を挙げてフェイントを見せる松田はシングルレッグ! 切るグリツァネンコは松田の入りに跳びヒザ。これをかわした松田は左で差してコーナーに押し込み右ヒジ。さらにボディロックテイクダウン! マウントからパウンドも後方に抜けたグリツァネンコ。そこを詰めてボディロックから後方に投げてマウントは松田!
上からヒジを落とし、背中を向けたグリツァネンコにリアネイキドチョーク狙い、さらにトップキープでバックからパウンドする松田! ゴング。
判定2-1で、ヒザ蹴りを受けて目を腫らせながらも組みでドミネートし、キムラでニアフィニッシュを奪った松田が勝利。試合後、「日本のファンにメッセージを」と問われた松田は、タイの観客に「コップンカー!(ありがとう)」とタイ語で語ると、自身を「ジャパニーズ・クレイジーボーイ、強くなって戻って来る名前を憶えてくれ」と英語でアピールしてリングを降りた。
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▼第1試合 キャッチウェイト(73.9kg) MMA 5分3R×ホジニソ・コモルディノワ(ウズベキスタン)[3R 1分16秒 TKO] ※パウンド〇緒方亜香里(AACC)
ロンドンオリンピック柔道78kg級日本代表、2011年パリ世界選手権銀メダルの緒方亜香里(AACC)は、2022年11月のプロ修斗で上田真央に2R TKO勝ち。2023年12月には奥谷晴加とのグラップリングマッチで1R アームロックで一本勝ちしている。対するウズベキスタンのコモルディノワはMMA2勝1敗。柔道のアジア王者でサンボでも世界タイトルを獲った実績を持つ組技の選手。緒方同様にONE初参戦となる。
1R、ともにオーソドックス構え。ジャブかわワンツーで前に出るコモルディノワ。下がる緒方に首相撲からヒザも。ここでコモルディノワがバランスを崩すと、体勢を立て直した緒方が押し戻して、ジャブ。しかし打ち合いのなかでダブルレッグテイクダウンはコモルディノワ!
下の緒方はクローズドガード。手首を取ろうとする緒方にコモルディノワは上から左右のヒジ。蹴り上げで距離を取る緒方の立ち際にパウンドするコモルディノワ!
コーナーで立つ緒方はコモルディノワの払い腰を潰してパウンド。しかしコモルディノワもすぐに立ち上がり。左で差して押し込みゴング。
2R、コモルディノワはシングルレッグも切る緒方が前に。左右を振ると、コモルディノワがシングルレッグへ。右を突いてコーナーに詰める緒方が前に。首相撲から右ヒザを突く。ボディロックに来たコモルディノワに首投げ狙いもスタンドに。コモルディノワのシングルレッグも切る緒方は、首相撲ヒザでコーナーまで詰める。
首を押さえ右ヒザを連打する緒方! 左足払いでこかす緒方に、コモルディノワは下からシングルレッグで立ち上がり。そこを詰めてなおも首相撲ヒザは緒方。さらに崩してスタミナを削る。
3R、コモルディノワのシングルレッグを切って、首相撲ヒザ。コモルディノワは右オーバーフックから払い腰狙い。それを崩して上を取った緒方はバックマウントを奪取! 左右のパウンドでレフェリーが間に入った。緒方がONE本戦への登竜門的大会の「フライデーファイト」シリーズながら初勝利を挙げた。