高橋「もっと泥臭く捕まえにいくことが出来たはずなのに」
──試合後の率直な感想を。
「ま、ちょっと受け容れがたいなというのが一番で。初RIZINで自分が試合したかった神戸で。やっぱり思い返すといろんな人に道を作ってきてもらってやっとこの日を迎えてやったのですが、そこの期待に応えられなかったのがキツいっスね。正直、久保選手に対して自分はイロモノのイメージがついていて“正直、久保に負けたら終わりやな”と常に頭のなかに入れていて、プレッシャーがすごいあって。やっぱり久保選手もすごい対策もしていたと思いますけど、シンプルに強かったですね。まあまあ、悔しいというのが一番最初の感想です」
──判定結果にご自身は納得していますか?
「自分では“勝ったかな?”と正直思ったんですけど、判定で割れたときに、ONEの時からいつもスプリットで負け続けて“これは来たな”というのがよぎって、中途半端な試合をしている自分がやっぱり悪いので、もっと明確にポイント取らんとなというのは思うのですけど、ちょっと泥沼入っている感じがするので、どう抜け出すか……って感じですね(苦笑)」
──久保選手に対して戦う前のイメージを今「イロモノ」とのことでした、そして実際に戦って対策されていることを感じたということでしたが、どういったところにそれを感じましたか?
「タックルのディフェンスとカーフキックもすごいディエンスしていて。右ミドル蹴ったときにもキャッチされてパンチを合わされたので、右ミドルとか蹴りたかったのですが良くないなと止めたんです。カーフは何発か当たってたから蹴ろうかなと思ったのですけど、しっかりカットされて1回バチンとヒザが当たって。ダメージとかないので蹴り続けると不利益があると思ったからカーフキックも止めて。かといって何か他に組み立てられるものがあったかというそうでもなく、ちょっと見合ってしまったなというのもあるし、やっぱり久保選手は首相撲が上手かったというのが一番あります。距離取るのとかもすごい上手いと思うし、シンプルに強かったですね」
──初のRIZINの舞台の印象は?
「自分が待ち望んでいた通りのRIZINで、ここで勝つ・負けるで知名度や扱い方が全然違うと思うので。今日の負けで、“RIZINの洗礼”を受けたという感じで受け止めて、もっと成長できると確信しました。連敗が続いていますけどまだやれますね。それをこれからもRIZINに参戦したり、他の格闘技にも出て5連敗したら5連勝すればいいだけなので、カムバックしたところをみんなに見せたいです」
──迷いもまだあると思いますが、現時点で最大の敗因は何だったと思いますか?
「やっぱり久保選手の打撃のリズムに合わせてしまったというのと、1Rちょっと“行けるかな?”と思ってしまって、プランとしてはタックル行って寝かせる練習をしていたのですけど、それがまったく試合で出なかったのは自分でも驚いています。“行けそうで行けない”みたいなのがずっと続いていて、そこは久保選手の距離の設定が上手かった気もしつつ、自分の覚悟が足りなていなかった気もするし。何か、綺麗に勝とうとしすぎているのかと思いました。もっと泥臭く捕まえにいくとか、そういうのがもっと自分は出来たはずなのにという、ちょっと後悔みたいなものが多少ありますね」
──先ほども話に出ましたが首相撲でかなりコントロールされたのがありましたか?
「ああ、そうですね。タックル入るのですけど、前腕でフレーム張って首掴んでヒザ蹴り打ってくるというのがあって、そういうのでタックル入りにくかったりというのがあるし、タックルを研究してたな、という風には思います。自分もプランを立てていたけど、もうひとつ上のプランで、自分の見積もりよりだいぶディフェンスが上手かったというのがあります」
──試合中の感触としては、判定に勝っているイメージを持って試合を出来ていたのでしょうか?
「2Rは取られたと思って、圧をかけられているのはよろしくないなと思いつつ、でも試合が終わったときは“勝ったかな、でも、うーん?”と思いつつ。まあそうですね、そういう試合をした自分が悪いですね」
──RIZINの判定基準は事前に意識して臨みましたか?
「ルールミーティングでいろいろ聞いたりするんですけど、自分がユニファイドルールを見すぎて、1R、2R、3Rポイント取るような採点が頭のなかにずっと残っていて、アップデートしているつもりだったけど、多分できてないですね。1Rと3R取ったかな? と勝手に思ってふわっとしているので、ルールを理解するところからもうちょっと深掘りしないといけないですね」
──久保選手はもK-1、GLORYなど立ち技キャリアがかなりある選手で、MMA転向後のキャリアは短いですが、立ち技のキャリアを感じましたか?
「そうですね、ファイトスタイル的にも久保選手の埋めるところってはっきりしているので、自分ももっと引き出しとか見せて圧倒する気だったですけど、今日はよくなかったですね。という(苦笑)。とくに言葉が出ることもなくって感じで」
──ONEで活躍した高橋選手の戦いに期待するファンに「こんなもんじゃない」と、次にもっと実力を発揮したいでしょうか?
「やっぱり期待に応えるというか、期待を超えたいし、PRIDEとか見てきて格闘技に感動とか興奮もらってキャリアや人生があるから、見ている人に興奮や感動を返したいです。当時、格闘技からもらったものを。今みたいな中途半端な、ずっとスプリットで負けるので、自分のネジを外す必要があるとは毎回思いますね」
──次はそういう試合を見せてもらえますか。
「そうです。泥臭く、自分にはインフルエンサーみたいな能力がないので、生き様勝負をしていくしかないので。ホンマにもう1回格闘技と向き合って考え直さないとなと思っています」
──何度も「このままじゃ」という言葉が出ます。ONEの時も、ここで行っておけばと何度も言っていましたが、今日も「自分では」ということでしたが、セコンドはどういう指示をしていたのでしょうか。3Rはもっと早く仕掛けて然りだと見ているはずですが、どういう指示がインターバルの間にあったのですか?
「『前に出ろ、捕まえに行け』と、作戦は今の話と一緒ですが、そこで前に行かず捕まえに行けない自分に失望しているんですよ。毎回なんでそうなるのか、ちょっと自分では分からないですね。タックルを試合で行った数が少ないからなのか。そこがね、ちょっとやっぱりシビアなというか、自分のなかの深刻な問題やなというのはありますね」
──久保選手は、「カーフ蹴られても自分のスネが硬いからこれ以上続けたらそっちが潰れると。俺にカーフは蹴れない」と。続けるとスネがイカれるという感覚で戦っていましたか?
「すごくカーフキックに敏感に反応してたし、そうですね。“これ、蹴り続けると自分が不利益を被るな”と思ったんですよ。タックル行くのがプランなのに足が壊れていたら話にならないので、自分はカーフ蹴るのを2Rから止めたんです。上手かったですね、ディフェンスは」
──「3Rにわたりこうやる」ということは考えてながら試合はできていたのでしょうか?
「そうですね、ずっとどう入るかを見ながら距離の設定とかやってたんですけど、やっぱりその展開になった瞬間に自分が動けてなかったかなって思うんですよね。“今行ったら入るのに何故か入らない”みたいな。っていうのもあるし、難しいですね、試合は」