MMA
インタビュー

【RIZIN】殊勲の勝利・久保優太「カーフをカットして“ブッ壊したぞ”って」「フェザー級で一番打撃力のあるケラモフ選手と、GLORY・K-1王者だった僕がやったら面白くないですか」×高橋遼伍「“RIZINの洗礼”を受けた」

2024/03/26 12:03

久保「やっとこの形が出来てきたかなって」

──試合後の率直な感想をお聞かせください。

「いやあ……そうですね。この約1カ月半、本当にやっぱ高橋遼伍選手を乗り越えるために最初は周りから、(勝算は)2割・3割くらい、もっとないというくらい『勝てないから止めておけ』と言われましたけど、記者会見でも言ったとおり、僕はこの1カ半、『絶対強くなってこの日を迎える』とみんなにも言ったんで。どうですか? 強くなってたでしょ、ハッハッハ!」

──判定結果が割れて、聞いているときは何を考えて、どんな思いだったのでしょうか。

「セコンドからは『絶対勝ったぞ』と言われていたので『勝った、勝った』と思っていたら相手に1票入ったときは『あれ?』って。僕も勝ったかなと思ってたんですけど(笑)。いや、なんかびっくりしちゃって、どきどきして“ヤベ!”って、負けたらどうしようっていうそういう焦りというか、“お願い!”という感じでした。“マジか!”と思って。難しいですね。

 ジャッジペーパーを見たら、ダメージ、アグレッシブネス、ジェネラルシップのなかで、ひとりジャッジの方がアグレッシブネスを相手に評価を入れていたので、1票入っていたということですが、びっくりして、もっと3R効いたとき攻めなきゃいけなかったかなと焦っちゃいました。

 そのアグレッシブネスの部分、1Rのテイクダウンとか最後バック取られてケージ際に僕は一生懸命逃げて練習通りいったのですけど、ああいうアグレッシブなところが評価されたのかな、僕は結構ボディを効かせようと自分はやっていたつもりだったので。ただまあ、僕が距離感だったり、ペースの掌握だったりとか、打撃はジャブ、ミドル、三日月蹴り、ストレートという感じで打撃の展開を僕が掌握してたかな? とは思っていました」

──ご自身としては戦っているなかで勝っているという確信は常に持っていたのでしょうか。あるいはどこかで行けると?

「いま言ったように、1R目は様子見っていうか、作戦として、1Rはやっぱり強いというのは分かっていたので、そこをこうどう防ぐかをやっていて、2R、3Rは僕がペースを掌握したというか、ボディを効かせて、自分の距離でペースを掌握したっていう実感があったので、そういう感じでした。2R、3Rで僕が勝っているなという感じでした」

──対戦相手の高橋選手の印象は、戦う前と実際に戦ってみてからでは違うところはありましたか?

「本当に対戦決まったときから映像を見て。高橋選手のことは、ONEで見ていて知っていたので、日本人でONEで活躍している選手だなというくらいの印象だったんですけど。実際に試合が決まって研究して高橋選手を見ていたら、前々日の記者会見でも言ったのですけど、“見れば見るほど強いな”と思って。打撃もできるし組みもできるし本当にコンプリートファイターだとは分かっていたので。まあ、ただ僕自身が成長すれば絶対勝てると、僕は自分を信じて頑張ったので。そうですね、練習通り遂行しようと思っていました」



──高橋選手の組みに対して、顔を押してフレームを作ってテイクダウンを防ぎ、首相撲ヒザに繋いだ形は、今回練習してきた成果なのですか?

「そうですね。もう、僕が他のK-1ファイター出身の選手と違うのは、僕って、もともとNJKFというムエタイがベースの団体でやっていて、タイでも試合していて、首相撲が出来るんですよ。なので、やっぱり、BRAVE行っているときからずっと宮田代表からも、今からレスリングを(やるにあたって)、もちろんレスリングを純粋にやるときありますけど、『久保くんは首相撲で対抗しなさい』と常々言われていて、その形がやっと、こうやってこのMMAを──何戦でしたっけ? シバター戦はカウントに入れていいんでしょうか? 非公式試合になっていたり入っていることもあって、僕の口からは何とも、僕が迷惑かけて言える口じゃないんですけど──あのカウントが無かったとしたら、1、2、3、4、5戦目か。やっとこの形が出来てきたかなって」

──サウスポー構え同士で、高橋選手はスイッチしての左カーフ、そしてインローでインカーフも狙ってきました。効いてはいなかったでしょうか。

「高橋選手の得意な蹴りですね。僕はまあ腐ってもGLORYとK-1でチャンピオンになった男ですからね。僕に打撃は効かせられませんよ。ただ、さすが高橋選手は上手いので、タックル行くふりして右バン! バン! って左右のストレート、フックを当てられたので、やっぱ上手いというか効いたので、今後ああいうのは修正していきたい研究材料になりましたね」

──相手のローに指を差したのは、蹴りを「チェック、カットできているぞ」というアピールでしたか。

「はい。“ブッ壊したぞ”って。僕のスネって多分、対戦相手やったことがある人なら分かりますが、“電信柱”なんですよ(笑)。めちゃくちゃ硬くて、いくらローが強い選手でも、今までK-1ファイターでもいましたけど、僕がカットするとみんな嫌がってロー蹴ってこないです。僕のそういうブロック技術って結構高いっていうか、普段自分ではそういう技術レベルを上げる練習を昔から、小っちゃい頃からやっているので、だから高橋選手にカーフ蹴られたとしても何回かカットすれば、ブロックして『自爆したろ?』と指差して。『研究したな?』と高橋選手が言うので『僕にはカーフ効かないよ』って言いました(笑)」

──高橋選手がもう右カーフ、右インローを出せない、出してこないなと、試合中に思ったのはいつですか?

「何回かカットしたときに、“あっ、ブッ壊れたな”って。カクっと痛めた素振りをしたときに、“蹴ってきたらもっとブッ壊してやるぞという気持ちで、別に出せないぞとは思わなかったですね。いつ来られても“また迎撃してあげるぞ”というスタンスで、なおかつ自分はとにかくボディを効かせてハイキックを狙うという戦略で、あとジャブとで。入ってきたらカウンターという戦略でした」

──最初に相手がガクっときた、足を痛めたのはどのくらいでしたか?

「僕が指差して、“効いたろ?”って言ったときとか。あのあたりから感触がありました」

──「次は元王者クラスと」という発言がありました。牛久絢太郎選手はバンタム級に転向しており、ほかには斎藤裕選手、クレベル・コイケ選手、ヴガール・ケラモフ選手となりますが、特に対戦したいのは?

「やっぱケラモフ選手とやりたいですよね。だってRIZINで一番打撃力あるって言ったらケラモフ選手じゃないですか。RIZINフェザー級で一番打撃力のあるケラモフ選手と、GLORY・K-1のチャンピオンだった僕がやったら面白くないですか。僕はそこ勝つために、本当に『この高橋選手を乗り越えたらRIZINのトップ選手とやらせてくれ』という発言権は正直得たと思っているんですよ。僕はイロモノ扱いというか、そういうふうにどちらかというと見られがちだと思うけど、それは自分自身に原因があるけど、ただ今回高橋選手に勝ったことで、本格派というか、周りの評価は変わるんじゃないかと」

──今後の目標や展望を教えていただけますか。

「本当は僕はやっぱりKOしてマイクで会場で言いたかったのですけど、ギリ判定になってしまったので、会場では発言できなかったですけれど。本当に高橋選手には、みんな僕が絶対負けると格闘家の人たちが事前予想で評価していたんですけど、僕は高橋選手に勝ったということは自分も本当にトップクラスにこうやって、うん、まあ、挑戦するというか、自分はRIZINでチャンピオンになることを目標にK-1からこのMMAに来たので、次はちょっと本当に、たとえばRIZINの元チャンピオンとか、そういう選手とやらせてもらえないですかね? って。これはまあ、勝ったら絶対言いいたいなと思っていたのですが、ちょっとギリ判定だったので、会場では言えなかったのでこの場を借りて言わせてほしいです」

──ところでサラさんはオーストラリアに行っていていないということでしたが、ケージサイドにいらっしゃいました。

「びっくりしました」

──サプライズだったのですか?

「違うんです。僕、前々日会見で『心配だから電話する』と言いましたよね。それで電話したら来てくれたんです。しかも飛行機で15時間かけてオーストラリアから。またすぐ戻っちゃうらしいんですけど。『うわあ』って。どうしたんだろう、サラちゃん。本当に来てくれて夢のようで。本当に今回僕がトップ選手とやらせてもらうということで、僕がここで本当にトップ取れるか取れないか、今日はすごい分岐点で勝負だと思ったんです。だから本当に不安になっちゃって。(サラが会見場に到着し)あ! サラちゃん! 勝ったよサラちゃん!」

サラ サラちゃん参上! こんにちは!

──サラさん、久保選手の試合いかがでしたか。

サラ えっ、めっちゃおめでとう。いやちょっとさ、さっきめっちゃ怒ってたの知ってる?

久保 知らない。どうしたの?

サラ 寝技の人と試合してたと思ってたの。

久保 え? どういうこと?

サラ 相手は寝技の人だと思ってた。そしたら違った。

久保 全部できるからね。

サラ 強い人って知らなくて、それにKOじゃなく勝ったのが嫌だったんだけど、めっちゃ強い人だったんでしょ? いや、知らんかった。

久保 それで電話したんだよ。

サラ めっちゃただの素人だもんサラ。超恥ずかしいと思って。そのあとさ、試合が終わったあとにインタビュー受けたの。めっちゃ怒っちゃって『あの人に勝ったとしても嬉しくない』とか言っちゃったから、すごいそれは今年一番恥ずかしいことでした。だからめっちゃおめでとう。でもめっちゃKOはしてほしかった。素人目線。ちょっと話長くなっちゃった。

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