MMA
インタビュー

【ONE】強豪マイッサ・バストスと対戦する山田海南江「“強い”というその先に何があるかのか知りたい」=3月9日(土)『ONE Fight Night 20』

2024/03/09 08:03
 2024年3月9日(土)10時から、タイ・バンコクのルンピニースタジアムにて『ONE Fight Night 20』(U-NEXT配信)が「国際女性デー」を祝して全カード女子ファイターの大会として開催される。  リングで行われる同大会には、日本からMMAではアトム級(※52.2kg)戦として、修斗世界女子アトム級王者の澤田千優(TEAM AKATSUKI)と、同級5位のジヒン・ラズワンが対戦。さらに、第2試合目のアトム級(※52.2kg)サブミッショングラップリング戦にて、山田海南江(IGLOO BJJ)が、強豪マイッサ・バストス(ブラジル)と対戦する。  山田は、幼少から柔道とレスリングに取り組み、レスリングの強豪校・安部学院高校を経て自衛隊体育学校レスリング班に入校。2014年クリッパン女子国際大会フリースタイル48kg級3位、2016年天皇杯全日本選手権同級3位、全日本社会人オープン選手権優勝2回、全日本オープン選手権(シニア)優勝などの実績を残すも、肩の怪我の回復が東京五輪予選に間に合わず。  ブラジリアン柔術転向後は、2019年にJBJJF青帯で全日本を制すると、2021年と2022年に紫帯で全日本連覇。2022年IBJJF世界柔術選手権では紫帯ルースター級3位となっている。2022年には、グラップリングでUWW世界グラップリング選手権53kg級優勝。  対戦相手のバストスは、グラップリング界の超強豪。2019、2021、2022年IBJJF世界選手権48.5kg優勝。2023年はルースター級で優勝。ノーギでも世界選手権で46.5kg級と51.5kg級で優勝している。2024年は、1月のアブダビ・グランドスラム東京のルースター級で優勝。1月27日にはIBJJF欧州選手権のライトフェザー級で銀メダルとなっており、山田と同じく今回がONE初参戦となる。  山田は、2023年11月のADCCアジア&オセアニアオープン55kg以下で準優勝。5月11日にタイで行われるADCC予選第2弾を経て、世界大会を目指すなか、ONEでのアトム級サブミッショングラップリングでのバストス戦をいかに戦うか。  ケージグラップリングは2023年12月の修斗で経験済みだが、今回はリンググラップリング。それでもコーナーやロープもあるリングでのレスリング出身の山田の戦いにも注目だ。 強い選手とやるほうが自分をもっと引き上げられる ――ONEサブミッショングラップリング初参戦になります。 「けっこうオファーをもらったのが急で、あまり試合に関して緊張とか不安が無いから、もうもらった段階ですぐ“お願いします”といって、試合までしっかり仕上げてという感じでした」 ――道衣でもノーギでも世界を制したマイッサ・バストスが相手と聞いて、どのように感じましたか。 「今回対戦させていただくマイッサ・バストス選手って、世界的にすごく有名というか、本当に強くて。自分は今年黒帯になったばかりなんですが、黒帯で必ず戦うようになる選手だと思っているなかで、こんなにすぐにその機会がもらえたというのは経験としてすごくいいことだし、もちろん勝つためにいろいろしてきました」 ――ADCC予選もある中で、今回ONEで戦うということに関しては、躊躇もなかった? 「無いですね。即答でした。場所とかきっと関係してくるかもしれないですけど、その選手しか見てなかったです。やっぱり名前というか、自分を知ってもらうチャンスでもあるし、勝てたら一番おいしいですよね。でもどの試合でも、どの選手に対しても変わらないと思います。試合する、柔術、グラップリングする、練習する──それが全部、すべて好きで。本当にだから、誰がどう当たっても特別な気持ちは何もないです。ただ、もしかしたら強い選手とやるほうが自分をもっと引き上げられるかもしれないです」 ――日本での柔術グランドスラム東京で女子茶黒ルースター級で優勝するなど、強さを見せていたマイッサ選手(※山田は怪我で出場ならず)と、思ったよりもずっと早く対戦が実現し、どう戦いたいと考えていますか。 「自分の強みであるレスリングは、たぶん組んだ瞬間に相手がすぐ引き込んで寝てくるので、正直たぶん難しいと思うので、トップをやり続けて、もう本当にずっと攻め続けて、ここぞとないチャンスをものにするしかない。もしかしたらチャンスなんてないかもしれないくらい、本当にすごく強いので、とりあえず自分が出し切れる部分を全部出してみて、一応作戦は練っていますけど、上から攻めて、スクランブルになって、レスリングが生きればと思っています。でもたぶんそんなに上手くいかないと思うので、それも頭に入れながら、でも、やっぱりやれることはちゃんとやってみたいと思っています」 ――できればケージが良かったという思いもありますか。 「いや、あんまり思っていないです。向こうが引き込んでくるからケージに押し込むというのもたぶんなかなかないと思うし。立ちで勝負してくれるんだったら、ケージレスリングもあったかもしれないですけど。だから、そこらへんはあまり気にしてないです」 ――この試合のために何か新たに取り組んだことなどもありますか。 「無いです。もうずっと同じです。もともとマイッサ選手が強くて、いずれやると思ってたし、研究もずっとしていたので」 ――11月のADCCアジア&オセアニアオープン55kg以下で準優勝。ONEの計量方式は初となりますね。 「減量はないんですよね。元々一番低い階級でやってて、そのときが減量あるくらいで、今ナチュラルで、ADCCに今年行く予定で、55kgまで増やしてはいないんですけど、ちょっと体重を上げつつとやっていたところの話だったので、体重はあまり困っていないですけど、初めてのハイドレーションにちょっとドキドキしています(※無事、体重&ハイドレーションテストをパス)」 ――柔術世界大会、ADCC、サブオンリーなどもあるなかで、ONEではこのサブミッショングラップリングで王者を制定し、破格のボーナスが用意されることもあります。そのなかに足を踏み込んだことは、どのような心境でしょうか。 「そうですね……ONEだから出たかったとかってあんまりなくて。自分がやっていることを貫く道筋の中にいま、今回の試合があるだけで。でも、ONEに出られてファイトマネーや賞金があれば、これからまた海外に挑戦するという意味で良いし、それにプラスして世界女王と戦えるというのはすごく良かったです」 ――いまバストス戦に集中されていると思いますが、王者ダニエル・ケリーとの試合を想像することはありますか。 「いや、どうだろう。でもすごいONEは見ていて、日本人選手も出ているじゃないですか。一緒に練習したりしている選手もいるから見たりして、そのなかでダニエル・ケリー選手のグラップリングマッチも見ていますけど……あまり“誰とやりたい”というのが本当に、マイッサ選手くらいだったから。でもこの大会で勝って(ダニエルと)やるということになったら、たぶん普通に“やります”と言うだろうし。そこはもうその流れというか、自分が立てている道筋の中にあるものだったら全部やっていくと思います」 ――MMAやキック、ムエタイなどもあるONEのなかで、マイッサとのグラップリング戦でどんなご自身を魅せたいですか。 「そういう部分では、正直まだONEで初めてだし、自分を外に向けて出すということがあまり得意じゃない性格なので、そこらへんは置いておいて、自分らしい戦いができたらなというのはあります。その中で“こんな日本人選手がいるんだ”と、試合の中で感じてもらえればいいかなと思っています」 ――今回の試合がチャンピオンシップではないなか、ADCCにも制限されずに出られるということもある中で、先ほど「自分の道筋」と仰いましたけれど、何を目標としていますか。 「私の最終目標は、“強い”というその先に何があるかということです。世界チャンピオンの基準って正直よく分からなくて。ムンジアル・ワールドもそうだし、ADCCもそうだし、もしかしたらマイッサ選手に勝ってチャンピオンと言えるかもしれないし、正直そこは分からないですけど、もっともっと強くなって、強いということの先に何が見えるのかというのが目標です」 ――もう1点、今回「国際女性デー」の一環としてこの大会が行われることについて、どう感じているか教えてください。 「千優選手がいろいろいいことを言っていて、私はあまりないんですけど(笑)、私もやっぱりそういう機会に呼んでいただけたことをすごく光栄に思っているし、女子ならではの大会という雰囲気とかもきっとあると思います。そこにこだわりはあまりありませんが、見ていただいて“女子の格闘技の試合、大会もいいな”と思ってもらえればいいかなと思うのと、“こんなに強い女性がたくさんいるんだ”と思ってもらえればいいかなと考えています」
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