2024年3月8日(金)、4月5日より始まるKNOCK OUTのリアリティ番組『THE KNOCK OUT FIGHTER』の記者会見が行われた。
会見には、番組内でKNOCK OUTのファイターを育成するコーチに就任することが決まった鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)と五味隆典(東林間ラスカルジム)が出席。
「鈴木千裕のMMAの師匠である五味くんにコーチをお願いしました。面白い選手育成が見られると思います」と山口元気代表。
「五味くんと千裕のつながりは、千裕がMMAを始める時から五味くんにファイトスタイルが似ていると思っていて、吉祥寺と久我山(ラスカルジムが当初あった)でいろいろ繋がり合って知っている仲だったので、山本空良戦の前に五味くんのところに練習に行ったらいいんじゃないか、ぜひお願いしますということから始まりました。指導してもらっている中で、魂の練習というか大切なものを教えてくれている人だなと思っていて。
今でも千裕が慕って東林間まで1時間半かけて大事な時は気合いの練習に行っています。選ばせてもらった理由の一番はそこです。そういうものを教えていただいている中でこの番組をやる時にパッと思いついたのが、千裕は決まっていたんですがもう一人は五味くんだなと。五味くんにKNOCK OUTファイターに魂の部分を教えたもらいたいとお願いしました」と、コーチ就任を依頼した理由を話した。
続けて「その中でコーチ就任だけでなく、無茶なお願いをして。コーチ同士で最後に戦ってくれないかと。6月23日の代々木大会で五味くんと千裕でやってくれないかとお願いしました。千裕が引退試合の相手をやらせてくれとしつこく言っていて、なかなか実現できなかった中でここでどうかなと。どうでしょう?」と、なんと6月23日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館で開催されるKNOCK OUTのビッグマッチで、鈴木と戦って欲しいとのリクエストを出していることを明かす。
マイクを握った五味は「先週の土曜日のお話しですか。山口さんにだいぶ東林間の居酒屋を気に入ってもらって、だいぶ飲んでしまったので記憶にございません。全然覚えていません(笑)。連絡が来た時点で嫌な予感はしていました。あとで記憶とLINEを辿ってどうなっているのかなと。育成と5vs.5になるんですか?」と、覚えていないとする。
山口代表が「千裕が師匠を超えたいと。拳を交えたいというところがメインになって来ます」と説明すると、「引退はデビューしたての選手も格闘技をやる以上、常に頭にあることだと思いますし、45歳になってそういった久しぶりに楽しいお話しを、ワクワクするような胸が熱くなるようなお話しだと思ったんでしょうね。そうですね、なのでまあ、打ち合いが出来ればと思っていますけれどね」と対戦を了承。
鈴木はその返事を受けて「最初はMMAがいいなと思いましたし、KNOCK OUTの新ルール(UNLIMITEDルール)も面白いかなと思ったんですけれど、試合の中で学べるものがたくさんあるのでボクシングで正々堂々と本気で殴り合いたいですね」と、パンチのみのボクシングルールを提案。
五味は「ボクシングは相模原ヨネクラジムで格闘技の手ほどきを最初に会長に受けて、千裕が生まれる前からボクシングはやっているのでボクシングはライフワークなんでしょうね。朝起きてコーヒーを飲むのと一緒。走ってサンドバッグを打って。余力がある時はMMAの練習とか指導をする生活なので。MMAの試合で負けたことはあるけれど打ち合いで負けたと思った試合はないと思っている。
あとはMMAのレジェンドクラスがアメリカとかサウジアラビアの方でボクシングルールでリングに上がっているので、そういうのも目標にしていこうと思っているんですよ。メイウェザーとパッキャオは夢の世界かもしれないけれど、ディアス兄弟とボクシングルールとか、マクレガーとボクシングルールとか、BJペンとかヴァンダレイとか…そういった目標はずっと持っているんですよね。その中でいま日本でトップでやっていこうとする選手とやれるのは久しぶりに、20年前のブームの時のような楽しい気持ちで、20年ぶりくらいなんですよね、楽しい気持ちになったのは。千裕が4月の防衛戦を問題なくクリアすれば実現していくことになりますね」と、MMAを引退した選手たちがやっているように、自分もボクシングルールで戦っていくことを目標にしているとした。
体重に関しては五味が「73kgにしようと思うんですよ。一番キレのあった時にチャレンジして。格闘家はいつもこれが最後になると思ってやっていますし、KOされればそういう気持ちになるかもしれないし、20年前の五味隆典を千裕に見せてやろうかなと思っていますね。千裕は20年前の俺のような活躍をしたので自分自身へのチャレンジだし、目の前にいる自分に似たヤツにチャレンジするというね。ワクワクしています。3カ月しっかり練習時間があるので後悔がないように73kgまで追い込んでやろうと思っています」と、全盛期の体重である73kgでやりたいと提案。鈴木は「もちろんOKですよ」と了承した。
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こんなに燃える試合は今までなかったので過去最高潮に楽しい(鈴木)
<質疑応答>
――対戦相手の印象は?
鈴木「変わらないですよね。いつも練習で見ている五味さんなので。全盛期の時の体重まで落としてくれると言ったので、めちゃめちゃ楽しみです。でも、こんなに燃える試合は今までなかったので過去最高潮に楽しいです、試合までが」
五味「ここ数年話題になったり、流行っている不良格闘技…格闘技と言っていいか分からないけれど、そういったものを黙らせるかのように去年一人意気を吐いて、ライブでお客さんを直に盛り上げて身体が勝手に立ってしまうような試合をするところまでやった選手が出てきたんですよね。言ってみれば20年ぶりに出たところだと思うんですよ。それでタイトルも獲りましたし。格闘技の申し子といった感じで捉えています」
――五味選手は今は何kg?
五味「85kgだね。練習が終われば83kg、84kg。73kgにするには10kgか11kgだね。お前は通常体重何kgなの?」
鈴木「71、72kgですね。逆に増やすので大丈夫です」
――コーチとして何を一番選手たちに伝えたい?
鈴木「一番は気合い入っている人なら誰でもいいと思いますね。ただ、生半可な気合い入っている人ではなくどんな練習にも耐えられる人を見つけたいですね。五味さんの練習の応用を僕はやるので、それに耐えられる人にぜひ来て欲しいです」
五味「キックのプロ選手でもMMAの選手でもいいですし、3カ月ありますからキチっと一緒に汗をかいてトレーニングして、そのうえでお客さんの前に最高の舞台に出ていい試合を見せて、シンプルにトレーニングと試合。それでお客さんに喜んでもらえる選手ですよね。それについてこれる選手が自分のチームでぜひやりたいとなれば来て欲しいです」
――基本的には3カ月で2チームが争う?
「1クール3カ月と考えてその形で行きます」
――そのたびに大将戦と対抗戦がある?
「やれる人とやれない人がいると思うんですが、なるべくやっていきたいと思っています」
――結末はどうなればいいと考えているか?
「大将戦は一番盛り上がると思いますが、これからのKNOCK OUTを背負っていくような子たちをそだてていきたいと。そこに期待しています」
――5vs.5はKNOCK OUTルール?
「これはその選手によってルールを互いのコーチと話し合って選んでいこうと思っています。キックボクシングルールだったり、ムエタイルールだったり、UNLIMITEDルールだったりするかもしれない。もしかしたらMMAかもしれない」
――指導のモットーは?
鈴木「シンプルに分かりやすく伝えるのはもちろんですが、現代的トレーニングと昭和的トレーニングを上手く合わせることですね。今は質をとる、効率をとる方が若手選手は多いんですけれど、昔からの変わらないトレーニングってあるんですよね。それをちゃんとやる、両方バランスよくやっていくのをモットーにしています」
五味「僕は今までもそうですが、大きな舞台に出る選手が来て、逆にプロ選手から自分も影響を受けて、今のトップ選手はこういう感じかと影響を受けて自分もトレーニングを続けているので、選手からもいい影響を受けて自分のジムの子たちも影響を受けて、まずジムでの練習を盛り上げられる選手でないと会場を盛り上げられる選手にはなれないので、一緒に高め合うというか一緒にトレーニングしていこうと思っていますね」
――選抜する5人の構成は?
山口「なるべく若い子がいいんですけれど、やる気があれば。お互いのコーチがこいつだったら一緒に練習していきたい、教えるというよりは一緒にチームで高め合っていくと思うのでそこのやる気が大事だと思っています。女性が2人そろえば女性の試合もあるでしょうし、年齢も関係ないのかなと思っています」
――参加選手の集まり具合は?
「主にキックをやりたいという選手が集まっています。今日この会見があったことでMMAの選手たちとか志している人たちが注目してくれるのかなと。大々的に公募しようと思っていますし、こっちからも声をかけていこうかなと思っています。この1~2週間で決めていきたいと思っています」
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この試合は五味隆典は五味隆典のままでいられるか(五味)
――チームとしてやるからには相手チームに全勝する気持ちがある?
鈴木「なかったら格闘技やってないですよ」
五味「何を言っとるんだ、当たり前でしょ」
山口「チームが勝つような、やる気の出るボーナスも考えています。もちろん大将戦のKOボーナスも考えています。1000万。それくらいお互いリスクがあると思っているし、それくらい価値がある対決だと思っているので。お互いKOを身上としてきた男たちなのでそれくらい稼いで欲しいと思っています」
――それを受けてどう思う?
鈴木「もちろん獲るべき。やるからには絶対KOですね」
五味「ありがたいお話しです。お金じゃない部分もあるんですけれど。俺のいろいろなものを継承した後、五味隆典を丸々獲られてしまうと…去年は乗り移ったかのように、俺もサポートしていましたけれど、継承したって言うんだったらそれを肌で感じてみたい。ただ、譲りたくはないんですよ。簡単にはだし、五味隆典は一人だけと俺は思っているので。そういうレジェンドの意地はあります。それよりこの試合は俺自身でいられるか。五味隆典は五味隆典のままでいられるか。金原選手も20年前の格闘技ブームの中にいた2人なので、意地というか。まだ金原さんも俺も鈴木千裕を認めたくないの。俺たちの時代はそんなもんじゃないよって思っていますね。だからこそ向き合えるんですよ。全然怖くない。お金はついて来ればいいかなって感じです」
――2人の対決は何ラウンドを希望?
五味「ボクシングが好きなので5Rをやってみたい気持ちもありますし、減量していきながら自分の体力とか受け入れないといけない部分もあるし。RIZINの場合は何も準備期間がない中でやった部分もあるので参考にはならないです。あとは千裕の次のタイトルマッチを見て考えようと思います(笑)。様子を見ながら。フルタイム行った時はどういう打撃になるのかなとか、そういうことをチェックしてそれで決めようと思っています」
――決着はどうでしょう?
鈴木「KO以外にないっすよ」
五味「ノックアウト。どっちかがそうなるしかないですね。KOボーナスがとんでもない額が出るらしいのでそれを狙いに行くしかない」
――五味選手はMMAの引退試合というのは考えている?
五味「膝のこともありますし、俺の中でMMAっていうのはUFCで区切りがついているんですよ。と思っていますし、現実的なところで。例えば重量級で減量が出来ない状態でMMAをやろうとは思わないんですよ。なぜかと言うとちゃんとした階級でタイトルも獲ったし。ボクシングがラクってわけじゃないですよ。MMAはレスリングやって打撃やって寝技やってってそれは45歳がやることではないので。ただ走ってバッグを打って安全が保てる範囲でスパーリングをやって。ボクシングっていうのは凄くシンプルで激しいスポーツなので、そういうのにチャレンジしたいんですよ。グラップリングは2月にサンボの大会にチャレンジしたので、そういった形で格闘技の現役として続けていくことを考えています。大体さ、今のMMAのトップの選手が俺に勝って嬉しいかっていうのもあるじゃん。MMAっていうのは全部の体力を使うものだから。ただ、俺はMMAで倒してきたんだから、今の子たちにもパンチじゃ負けないって想いはあるんですよ」
鈴木「僕もずっとキックボクシングとMMAで倒してきたので、僕の一番の武器はパンチなので矛盾が生まれるんですよね。どっちが本当に強いのかっていうのを証明したいので過去一仕上げて戦います」
――鈴木選手はRIZINで防衛戦が控えているが、この試合が決まったからには五味選手のところへ練習には行かない?
五味「ダメだよ」
鈴木「戦いはもう始まっているんですよ」
五味「その辺は千裕に任せる。去年までは出来る限りやったし、もちろん千裕自身自分で出来る選手なので。俺はここ数年、トップ選手のトレーニングを見ていて自分がやりたいと思ったんですよね。こんなにトレーニングするなら俺がリングに上がって俺が稼ぎたいなとずっと思っていた。そうやって選手から刺激を受けていたから。この階級のトップとかじゃなく、ひとつの団体の中で一番盛り上げるヤツと向き合えるってことで楽しみですね」