(C)PFC
2024年3月3日(日)、北海道・札幌のPODアリーナにて『PFC.32』が開催された。
2024年のPFCプロ公式戦の幕開けとなる今大会では、メインのバンタム級、セミのウェルター級の2大タイトルマッチが行われた。
メインイベントでは、バンタム級王者・渡部修斗(王者/FIGHT LYNX)が一夜かぎりの復帰で防衛戦に臨み、圧巻の初回、マジカルチョークでの一本勝ちで、亀松寛都(2位/POD GYM)の挑戦を退けた。
Fighting NEXUSでPFCのベルトを巻き、PFCマットで義理を果たす形で初防衛に成功した渡部は、試合後にベルトを返上。「もしこの先復帰することがあれば、フライ級でやりたいと思います。が、それは少し考えて本当にやりたくなったら」と、階級を下げての復帰の可能性を示唆した。
また。セミのウェルター級タイトルマッチでは、王者・新名正啓(ジャクソン道場)に、3連勝中の成田佑希(1位/TEAM ZEKE)が挑戦。5Rにもつれる熱闘の末、成田が全ラウンドをリードし、王座を賭けた再戦で勝利。7年越し悲願の王座奪取を果たしている。
【第2部】
▼第6試合 メインイベント バンタム級タイトルマッチ 5分5R
〇渡部修斗(王者 /FIGHT LYNX)
[1R 1分40秒 リアネイキドチョーク]
×亀松寛都(挑戦者 2位 /POD GYM)
2023年11月の前回大会『PFC.31』にて、今回のバンタム級タイトル挑戦者である亀松寛都(2位/POD GYM)が、前哨戦で寝技巧者のジミー西をアッサリとリアネイキドチョークで下し、来場していた渡部修斗(王者/FIGHT LYNX)へまさかの挑戦をぶち上げた。
亀松からの挑戦表明を受けた渡部はそれを受諾し、「北海道でやり残したことをやる」と、PFCで一夜かぎりの復活を決意し、防衛戦の相手として亀松を迎え撃つこととなった。
亀松はザ・タイガー石井(第2代王者/とらの子レスリングクラブ)から奪取したフライ級タイトルを返上し、バンタム級に階級変更して2戦目にしてバンタム級タイトルへの挑戦となる。
ルール確認での中央で、渡部が差し出した両手を握らず、グローブタッチを拒否した亀松。
1R、ともにオーソドックス構え。先に中央を取り、圧力をかける渡部のタックルの入りに左ヒザを合わせようとした亀松だが、渡部は角度をつけてそのヒザをもらわず、逆に浮いた左足首をピックして、テイクダウン。
すぐさま腰を抱き、金網で立とうとする亀松をダブルレッグで背中を着かせてハーフに。
首を抱えて頭をマットに着けての渡部のパス際を、フックガードで浮かせようとする亀松だが、左手で首を、右手で亀松の右ヒザ裏を抱えている渡部は、両足をさばいてダースチョーク狙い。
首を抱えられながらもヒザを立てて中腰にまで戻す亀松に、渡部はがぶりから右足をかけて絞め上げながら左に崩し。
もう一度立ち上がるも同じ形で亀松を崩すと、渡部はダースの腕を解いてバックに。引き込んで4の字ロックを組むと、左腕を喉下に滑らせ、マジカルチョーク(リアネイキドチョーク)。亀松の力が抜けてレフェリーが間に入った。
気を取り戻して座り込む亀松の肩を抱く渡部。PFCバンタム級のベルトを再び腰に巻くと記念撮影後、マイクを渡されて、今回の試合への思いを語った。
「まずは北海道の皆さま、はじめまして。第4代PFCバンタム級チャンピオンの渡部修斗です。今日はご来場いただきありがとうございます。去年の8月にこのタイトルを獲って引退したんですけど、今回、この北海道の地で1回限り、復帰して防衛戦をやるっていうことで、何か自分が北海道で試合する意味を示せたらなと思ってたんですけど、それは自分の強さを見せることだと思っていて……これがマジカルチョークです。渡部修斗です。これがPFCのチャンピオンです。
今回も皆さん温かくてほんとう大好きで、指導を仰いでいた飛田(拓人)先生が出たり、北海道のジムからも練習仲間が応援に来てくれたり、セコンドにもずっとやってきた嫁の(青野)ひかると上田(貴央)さんが来てくれたなかで勝ててほんとうに嬉しいです。
そして亀松選手、ありがとうございました。いろいろ言ってもらったのに反応出来なくてごめんなさい。でも自分がそこに乗っかるんじゃなくて、自分がチャンピオンの試合をすることが君への見本だと思っていたので、このような態度を取りました。今日試合で君と戦えてほんとうに良かったです。これからのPFCと日本のMMAを背負って行く、ほんとうに期待の若手だと思っています。皆さん、亀松選手の応援もよろしくお願いします」と挨拶した渡部は、意外な言葉を口にした。
「亀松選手、デビュー戦でタイガー(石井)選手に負けて、3年後にリベンジしたんだっけ……また3年後、俺、待っているからやろうよ。(司会から「現役復帰?」と問われ)3年後にできるように、今後も練習はしっかり続けて。でも引退してるんで、現役復帰は……上田さん、どうですか、俺、強かったですか? 自分、これが終わったら決めようと思っていて『復帰します』──とは言えないんですけど、ちょっと保留で。もし復帰するなら、ちょっと減量、楽すぎるんでフライ級で復帰しようかなと思っうんで、そのときはよろしくお願いします」と、フライ級での現役復帰を示唆。
そして、山本代表に向き合うと「この最高の思い出の場をありがとうございました。このベルトは、僕は今日で返上しますんで、このベルトを巡って、また亀松選手や北海道の選手、全国からバンタム級の選手が集まってこのベルトを争って、このPFCと北海道の格闘技が盛り上がっていったら、自分は本望です。自分の後輩もいるんで、ぜひよろしくお願いします。最後に一言『PFC、Fighting NEXUS、最高!』」と語り、ケージを降りてベルトを外し、山本代表に手渡した。