いま『五輪書』を読んでいるんだよ
──あなたの右クロスは強力な武器です。
「ああ、そうだね」
──では、今回の対戦相手ビトー・ペトリーノのスタンドをどう見ていますか。
「彼の打撃は、間違いなくすごくハードで、強敵だ。だけど『MMA』で考えた時にまだ底が知れていて、彼と同じようにタフで強い選手はいる。だから今回とても基本的な試合の作戦で組み立てるということが彼に勝つために必要なことなんだ」
──ペトリーノのオーソからの前手のカウンターの左フックは警戒すべき武器では?
「その点で考慮するべきは、入り(エントリー)だ。彼はフックをチェックするのが上手くて、相手が入ってくるのをかなりじっくりと待って狙っている。だから思うに、この試合は忍耐勝負になる。であればこそ、自分としては、自分のアプローチの仕方が戦略上正しいものであるかをしっかり確認することが重要だ」
──彼は元極真のマルチン・プラフニオにテイクダウンを決め、肩固めでキャリア初の一本勝ちもマークしています。組み技・グラウンドにおいての自信は?
「自分の柔術のほうが、断然上だよ。とはいえ、彼はトップポジションで強いようだし、彼のテイクダウン、爆発力は目を見張るものがある。彼が3Rまでその強さをキープできるかどうか、要注目だね」
──元ランカーのあなたにとって、この試合の持つ意味は?
「この試合で自分がいいなって思えるのは、自分がアンダードックであることだ。誰にも期待されていない状態というのはいいものだよ。自分にとっては、みんなは間違っていたんだと、そう証明できるというのが良いことなんだ」
──ところで古流柔術にも親しんだあなたにとって、日本の文化は近しいものでしょうか。
「見て、いま『五輪書』を読んでいるんだよ」
──ラスベガスのファイトウィークに『五輪書』を持ち込んでいるのですか!
「まさしくサムライ文化そのものさ。規律、そして誉れを学んでいる。それに、実際のところ日本は旅行先として大好きな国のひとつで、今年もまた行きたいと思っているんだ」
──日本に来た時は何をされたのですか。
「IBJJFの試合に出る予定があって、パンパシフィック・アジアだったかな。紫帯の頃だな。日本で紫帯になったんだよ。でも、手を骨折してしまったんだ。だから試合はできなくてね」
──なんと柔術の試合のために来日していたのですね。またいつか日本で試合を見せてください。
「日本のファンのみんな、いつも応援ありがとう。日本で試合をしたいと思っていて、その気持ちが通じれば、大観衆の皆さんの前で実現するかもしれない。PRIDE時代からの大ファンで、ヒョードルの試合も大好きだった。あんなすごい会場が湧いた状態で試合をしてみたいよ。ぜひ、今回の僕の試合も、日本からU-NEXTで応援してください!」