2024年3月2日(日本時間3日)米国ラスベガスのUFC APEXにて『UFC Fight Night: Rozenstruik vs. Gaziev』(U-NEXT配信)が開催される。
メインイベントは、大会名にある通り、ジャルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)vs.シャミル・ガジエフ(バーレーン)のヘビー級の5分5R戦。
試合を前に、本誌ではホーゼンストライクに話を聞いた。
スリナムでいま最も有名なファイターは、アーネスト・ホーストでもメルヴィン・マヌーフでもレギン・アーセルでもなく、ジャルジーニョ・ホーゼンストライクだろう。
スリナム初のUFCファイターであるホーゼンストライクは、2020年5月にフランシス・ガヌーに敗れるまで11連勝。しかし、ガヌー戦後、シリル・ガーヌ、カーティス・ブレイズ、アレキサンダー・ヴォルコフ、ジャイルトン・アウメイダに敗れ、ランキング12位まで後退した。
キック出身のホーゼンストライクにとって、課題は組み技・寝技。米国フロリダのアメリカントップチームで練習する“ビギ・ボーイ”に、ATTでのファイトキャンプ、かつての自分と似た12戦無敗のシャミル・ガジエフとの試合、そして、自身に初めて黒星をつけたフランシス・ガヌーのMMA復帰などについて聞いた。
ガヌーのMMA復帰は簡単じゃないと思うけど──
──今週末のUFCのメインイベントで、12勝無敗のシャミル・ガジエフと対戦するジャルジーニョ・ホーゼンストライク選手です。今回のファイトキャンプはどのように行ってきましたか。
「いまフロリダのアメリカン・トップチームでトレーニングをしていて、ATTのトップファイターたちと一緒に練習してる。ビッグネームを挙げるならジュニオール・ドスサントス、ペサオ(レナン・フェレイラ)、ブシェシャ(マーカス・アルメイダ)、マルセロ・ゴルム、そしてコーチたちだ」
──ブシェシャと練習してるのは寝技強化の意味合いが大きいでしょうか。
「もちろん、その通りだけれど、特にグラウンドゲームだけのために準備しているわけではなく、MMAとしてトータルファイトのなかで何が起きても大丈夫なように準備しておく感じのトレーニングの一環なんだ。何が起きても対応できるようにしたいからね」
──ATTといえば日本では堀口恭司選手が有名ですが、さきほどのように、ある程度階級で分かれて練習するので、あまり練習では一緒にならないでしょうか。
「フフフ(笑)、さすがにスパーはしないけど、恭司とはよくお喋りするんだよ。ほんとにいい人で、仲良くしてる。彼はいつもジムにしっかりいて、いつもフレンドリーで、本当にいい人だ。だからしょっちゅう言葉を交わしてる。日本人ファイターみんなとも会うけど、アットホームな雰囲気だよ」
──“ビギー・ボーイ”は母国のスリナムでは、貧しい地域の若者のために、自分のジムを無料で開放しているそうですね。いまでも戻ることもありますか。
「もちろん。いつも試合の後には故郷に帰るんだ。たくさんのファンもいるし。地域もだし、国全体に大きな影響を与えてきたんだ。みんなが(試合を)見ていて、自分はみんながいろんな形での応援を送ってくれているのをすごく感じるし、だからこそ毎試合後には3週間くらい帰郷しているんだ」
──オランダとの関係もあり、スリナムはキックボクシングで有名です。アーネスト・ホースト、タイロン・スポーン、メルヴィン・マヌーフと多くの著名選手を輩出しました。あなたもキックボクシング出身です。今、MMAの人気はどれだけ高まっていますか。
「間違いなくMMAは大きな反響を起こしていて、とりわけ自分がUFCに出るようになってからというもの、若いファイターはみんなグラップリングのトレーニングを始めるようになり、みんなUFCファイターに憧れてる。だから、確かにキックボクシングは大きな存在ではあるけれど、次にMMAが来ていると言っていいね」
──そんなあなたのオーソからの左の打撃、そして右ストレートも強打で、クリス・ドーカス戦では左ジャブを効かせて跳びヒザ、打撃ラッシュで23秒 TKO勝ちでした。しかし、ジャイルトン・アウメイダ戦では、最初のテイクダウンを切ったものの、2回目のダブルレッグテイクダウンで倒され、金網での立ち際でバックを取らせなかったものの、正対して下になったところをパスガードされました。課題となるケージレスリングを含むテイクダウンディフェンスと寝技をどう修正してきましたか。
「ああ、間違いなく多くのことを学んだよ。特に、ああいうミスを犯して終わってしまったときは。戻ってから、コーチたち、さきほど言った練習パートナーたちとあらためて作り直して、再調整して、より強くなるのと同時に、2度と同じ間違いを起こさないようにしてきた。しっかり準備できて、すごく強くなったと感じるし、調子も良くて、試合に向けて万全な状態だ」
──対戦相手のシャミル・ガジエフ選手は、12月の前戦でUFC4連勝中のマルティン・ブダイを序盤から圧倒し、右でダウンを奪ってのTKO勝ちでした。ホーゼンストライク選手とはどんな試合になりそうですか。
「確実に面白い試合になる。彼の12戦無敗の記録は凄いけれど、彼は自分が戦ってきたような相手──ガヌーやガーヌ、ブレイズ、ヴォルコフのような相手と戦っていないし、自分ほどのパワーを持った相手とも戦ってきていない。彼にとって、これまでやってきた試合とは違うタイプのものになるはずだ」
──再びトップ戦線に浮上するために必要なことは?
「まずはこの試合に勝った上で、そこから1、2試合を積めば、また上に行けると思う」
──以前あなたとUFCで戦ったフランシス・ガヌーが、3月のアンソニー・ジョシュアとのボクシングマッチを終えた後にMMA復帰戦を行うことが発表されました。ボクシングに転向しているガヌーが、そう簡単にまたMMAにアジャストできると考えますか。
「簡単ではないと思う、アジャストメントは。だけれど、彼はプロ前にボクシングをやっていて、MMAをやってからボクシングに転向したわけだから、もしかして彼にしてみれば容易なのかもしれないね。そうであってほしいと俺も思うし、彼がやりたいこと全部しっかり成功させるようであってほしいと願うところだよ」
──2019年にUFCに出場する前年にはRIZIN(アンドレイ・コヴァレフに判定勝ち)でも戦いましたね。日本のファンへメッセージを。
「ずっと応援し続けてくれているみんな、ありがとう。週末、しっかり仕事するぜ。みんな大好きだよ!」