(C)U-NEXT
2024年2月17日(日本時間18日)、米国カリフォルニア州アナハイムのホンダセンターにて『UFC 298』が開催される。
コ・メインでは、元UFC世界ミドル級王者のロバート・ウィテカー(豪州)が、ミドル級6位の“お騒がせ男”パウロ・コスタと対戦する。
ウェルター級からミドル級に転向後は、元王者のイスラエル・アデサニヤと、現王者のドリカス・デュ・プレシにしか敗れていないウィテカーは、“ブリッツ”の復活を期している。
キラーのように相手を仕留める瞬間を15分間集中して求めている
──SNSに4人のキッズと道衣を着ている写真を見ましたが、あれはハプキドーの道衣でしょうか。
「そうさ。自分は剛柔流空手から始めて、やがてハプキドーに移行したのだけれど、そこからMMAに転向して、今はMMAと柔術に集中して練習しているよ」
──ウィテカー選手自身も柔術衣だけでなく、まだハプキドーの道衣を着ることがあるのだと新鮮でした。
「子供たちと学ぶためにね。もちろんノーギだけじゃなく、ギ(柔術衣)を着て、柔術も続けている」
──セルジオ・ペーニャのアカデミーでも練習したようですね。アナハイムンのキングスMMAではベニール・ダリウシュ選手とトレーニングしている様子も見かけたのですが、ファイトキャンプ自体はどこで?
「自分のキャンプそのものは豪州のグレイシー柔術スミートン・グレンジだよ。ただ、2週早く米国に来るようにしていて、つまり時差がある状態で睡眠をちゃんと取って身体を慣らすために。その上で本拠地を構えたいとなった時に、幸い彼がジムを提供してくれて、彼自身が気にかけてくれていたから、ベニールを誘ったっていうところだ。素晴らしい人だ。とても親身になってくれて。だからすごくいい時間が過ごせた」
──パウロ・コスタと対戦するにあたって、どんな対策をしてきましたか。
「自分は確実にパウロ・コスタよりもいい選手だと信じていて、この試合のテーマというのはアグレッシブさをしっかり持ち込んで彼を自分の試合に引きずりこんで、やりづらくさせること。だから、彼と自分に与えられている15分間の全ての時間を活用するっていうことに集中してきた。彼のスイッチを切ってボコボコにしようって。目的としてはただ試合に勝つことだけではなく“痛めつける”ということにある」
──2023年7月の前戦は現在チャンピオンのドリカス・デュプレシに敗れました。あの試合で感じた課題は?
「キャンプを振り返って、試合そのものを振り返って、好ましくないこともあったし最適とは言えない形だったり望んでいる形でもなかった。それで調整しようと思った。それから自分自身をまた呼び戻して、ジムに戻ってまた練習を再開して……すべてがこの週末にうまく結実するようにと思っている」
──その後、デュプレシは、1月にショーン・ストリックランドに判定勝ちしてUFC世界ミドル級王者となりました。ウィテカー選手はデュプレシ戦で、先にボディロックしてテイクダウンのチャンスがありましたが、逆に投げられて下になるような展開もありましたが、実際に肌を合わせたことでわかるデュプレシの強さとは?
「それについては、デュプレシ云々というより、起きてしまったことは仕方ないとしか言いようがないのだけれど(苦笑)、なんだろうな……ちょっと言葉にしづらい。もっと自分にスイッチが入ってたら、彼にやられるということもなかったと思っているし、ただそういうことになってしまったなとしか。あの時に起きてしまったことでしかないんだ」
──ミドル級でウィテカー選手は、元チャンピオンのイスラエル・アデサニヤ、現チャンピオンのデュプレシにしか負けていないトップコンテンダーです。その状況で、今回パウロ・コスタと試合が組まれたことについてどう思っていますか。
「そうだな……むしろチャンスに飛びついた感じかな。試合がしたかったんだ。昨年の12月に試合したいと思っていたし、1月から3月にかけて、半年ちょっとのところで試合したかった。そういう時に2月でオファーがあったから、『やる』と答えて、練習を再開して、しっかり準備してきた」
──ファイトスタイルが“BLITZ”で、ストップ&ゴーが多く、身体への負担も少なくないように感じます。そんななかで、敗戦も経て変化もありますか。
「自分のファイトスタイル自体はゆっくりと何年も時間をかけて調整されて適応してきたと思いたいのだけれど、実際MMAに携わって何年にもなるから、始めた頃から今に至るまでに確実にスタイルは発展して、変化してきた。その変化の“最終形態”っていうのはまだ観られていない状態で、最後に最終的にどういうスタイルに落ち着くかはまだ分からないんだ。それを模索しながらも手応えを得ているよ」
──なるほど、それを試す場としても試合を望んできたのですね。それをぶつける相手パウロ・コスタをどうとらえていますか。
「いい選手だと思う。長い間にわたって、ミドル級のハイレベルな選手として話題に上がってきた。強力な、パワー・パンチャーだね。パワフルな蹴りも持っているし、ウェル・ラウンダーだと言える。だけどいじめるようなスタイルというか、相手が中に入って試合の主導権を彼に握らせてしまうとしっかりそこを突かれる。それでもしそうなら、自分はそうならないようしっかりファイトして彼を追い詰めて“嫌がる”ことをすれば、彼は勢いを失っていくはずだ」
──あなたのブリッツのルーツのひとつである日本にも以前来られたようですね。
「そうさ、日本は地球で2番目に大好きな場所だ。土地もだし、カルチャーが好きだし、食べ物も好きで、子供たちもみんなそうだよ。だから早く行きたくてソワソワしてるくらいなんだ。早く行きたくてうずうずしてるから、子供を持つべきじゃないね(笑)」
──そういえば5人目のお子さんが生まれたようですね。
「そうなんだ!」
──おめでとうございます。
「ありがとう!」
──どんな試合を見せたいでしょうか。
「ファンだったり、自分の側にいてくれるみんなに見せたいのは、しばらく見せられていないものを見せること。自分の中で、殺し屋のように相手を仕留める瞬間を15分間集中して求めている一面を見せたい。日本のファンの皆さんには感謝してる。本当にありがとう。試合を見逃さないでね! またすぐお会いしましょう」