MMA
インタビュー

【UFC】メラブ・ドバリシビリ、大いに語る「セフードは普通の人間」「テイクダウンし続けても僕は疲れない」「日本のファイターに必要なもの」「オマリーのジャケットは──」=2.17『UFC 298』

2024/02/17 10:02

日本の選手はもっとMMAレスリングができるようになるといい

──いま日本のヒロヤ選手がそちらで練習していますよね。これまで日本人ファイターでは井上直樹選手や朝倉海選手と練習したことがあるなかで、日本の選手に何が必要だと思いますか。

「みんな才能があって、強くて、戦士だと感じるいい選手たちで、何が必要かっていうのはちょっと分からないくらい、一生懸命練習していていい選手たちだと思っている。彼らに必要なのは──もうちょっとレスリングの練習時間が必要なんじゃないかということかなあ? ビリー(ビゲロウ)ってコーチが日本で彼らの環境を変えて行っていると思うけど、彼はとってもいいコーチなんだよ。彼と練習しているなかで、ヘンリーと戦うためのトリックを仕込んでもらったりもしたんだ。だから、とりあえずもっとレスリングができるようになるといいかと思う。MMAレスリングという意味でね。

 聞いたところによると、通常の日本のジムってとても小さいんだよね? それじゃ大変だ。大きなジムであることも大事だし、そこにケージがあることも必要だし、しっかりと安心して練習できるちゃんとした人たちとトレーニングができることも必要だね。とはいえ、彼ら自身はとても才能豊かで、とてもハードに練習する、とてもハイレベルないい選手たちだって思っている。彼らと練習するときは厳しい時間を過ごしているんだよ。セラロンゴで井上直樹と最初にトレーニングしていたときは全然大丈夫だったけど、最後にスパーリングしたら彼は成長しててすごいキツかった。それに朝倉海はとてもハイレベルなストライカーだね。そしてヒロヤ。彼はとてもいい選手だと思う。驚いたんだよ、すごく才能があって。スクランブルが上手い、もっと良くなっている。


(C)merab.dvalishvili

 MMAっていうのは競技としては新しいから、ジョージアでも同じようなものだと思う。もっと成長するのに、もっと時間がかかる。個人競技で、政府だとか何か機関から援助があるわけでもなく、とにかく個人でやらないといけなくて、いいトレーニングジムはないし、個人でやってるにしてもすごくビジネス一辺倒なところもあって……。ただすごく大変な反面で最高の競技だと思うし、成長過程にあるとも思うし、きっとMMAこそが最高の競技だってことになるし、既にそうだとも思っている。柔道もレスリングも好きだし、オリンピック競技も好きだけれど、これらの競技は落ちてきている。誰ももう観ないし、大変だと思うんだ。ルールが細分化されすぎていて。

 その点、MMAはどんどん競技として良くなってきているし、みんなのDNAに刻まれてる。つまり、“みんな戦うことが好きだろう?”ってこと。誰だって。ほとんどルール無用というか、とにかくしっかりクリーンに戦ってさえいれば、戦うだけのことで完結する。でも柔道なんかはしょっちゅうルール改定があって、足を触って投げてはいけないなんていう。レスリングもよくルールを変えるよね。レスリングでは1ポイントが全てを左右する。だからこそ上にも行けるけれど、ひとつのミスで失うものが大きすぎる。MMAではそういうことはない、1Rで負けることもある、テイクダウンを成功させることもあるけど、そこからリカバリーもできる。

 戦うことってそういうことだ。立ち上がることや再起することだったり。ここ(MMA)ではガチで“一体誰が一番強いんだ”、そして“誰は弱いんだ”っていう戦いの場だ。そこに他のスポーツのような運の要素はない。フリースタイルレスリングはコーチの汚職もすごいと聞くんだよ。八百長的なことをやるって。そんなの狂気の沙汰じゃないか。ただ、これがいまスポーツと呼ばれるものの現状だよ。MMAだけが成長できているんだと思う。そして、自分は日本のMMAというのがより良くなっていて成長しているんだろうと思っている。日本にそういう歴史があることも知っているし、日本の人はMMAをすごく愛しているし。PRIDEを昔観ていたし、今はRIZINがあるよね。そういう団体が好きだ」

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