2024年2月25日(日)東京・後楽園ホール『PURE BIOKEYZ presents KNOCK OUT 2024 vol.1』にて、KNOCK OUT-BLACKウェルター級3分3R延長1Rで、漁鬼(SHINE沖縄)と対戦する渡部太基(TEAM TEPPEN)のインタビューが主催者を通じて届いた。
渡部は藤原ジム所属として2006年3月に全日本キックでプロデビュー。Krush、M-1、REBELS、RISEなど様々なリングで活躍し、2011年1月にトーナメントで優勝して初代WPMF日本ウェルター級王者となり、2016年1月にはKrush同級王座を奪取。RISEのウェルター級王座決定戦にも2度挑んでいる。2019年7月の『RIZIN,17』でHidekiに判定2-0で敗れると引退を示唆したが、2021年11月に2年半ぶりに復帰。2022年9月には初代KNOCK OUT-BLACKウェルター級王座決定戦に臨んだが良太郎に敗れた。前戦は2023年3月にスアレックに判定負け。戦績は24勝(13KO)29敗2分。
昨年3月にスアレック・ルークカムイに敗れて3連敗となり、1年近くリングから離れていた渡部だが、今年をラストイヤーと定めて再起したという。「最後のベルト」にかける思いとは?
自分の100%を出せれば、もう一度ベルトを巻ける
──前回の試合から約11カ月空きました。
「モチベーション的に『もういいかな』と思ってたんですけど、いろいろ自問自答して、『こんな終わり方でいいのかな』という気持ちもあって。一昨年暮れには3人目の子供も生まれたんですけど、上の子はもうパパがキックボクサーだということも分かるようになって『次、いつ試合するの?』とか言われたりもするんですよね。『戦うパパはカッコいい』というのもあるみたいで、『勝ったらまたリングに上がりたい』とも言われて。ただラスト1試合とかだと難しいなとも思ったので、ラスト1年と期限を決めて頑張ろうかな、みたいな」
──では、今年は試合をしようと。
「そうですね。まあ家族もいるので、最近は1試合終わった後のオフが長すぎたというか、ゆっくりしすぎちゃったところがあったので、今年は格闘家として1年やり切ろうと思ってます」
──昨年3月の試合後、始動したのは?
「ゴールデンウィーク明けぐらいからちょいちょいジムに行き始めた感じですね」
──その期限の中での目標は?
「最後はやっぱりベルトを巻くというのが、一番の理想ですよね。自分の100%を出せれば、もう一度ベルトを巻けると思っているので。もちろん対戦相手もいるので、なかなかうまくいかないことも多いですけど、もう一度自分を奮い立たせて、やってやろうという感覚になってます」
──というところで、今回は漁鬼選手との試合になりました。漁鬼選手の印象は?
「中島弘貴選手との試合の時、自分は同じ大会に出ていてちょうどその次の試合だったので控えていたんですね。正直、彼のことはノーマークだったので、『中島選手がサクッと勝つのかな』と思っていたら1人目のジャッジが漁鬼選手に入ったので『えっ!』と驚いて。ウェルター級の選手なのに、1階級上の中島選手と延長まで行って、マジか!というのが最初でしたね。後から試合を見てみたら、一発があって勝負度胸もある選手だなという印象でした。沖縄から来てるということで、『食ってやろう』という意気込みも感じました」
──今回も渡部選手が相手ということで意気込んでいると思いますが、それを迎え撃つ気持ちというのは?
「僕も『下剋上マッチ』みたいなところで勝って、ここまでやってきましたからね。その時の気持ちも覚えてますし、『絶対食ってやる!』と思って乗り越えてきたんで。でも今は立場が逆になっちゃったんでね、『そうはいかねえぞ』と。ここはキッチリと、大人の強さを見せつけたいですね」
──今は3連敗という状況です。そこから何か改善したというところはありますか?
「特に『これ!』というものはないんですけど、客観的に見て、自分の反応が悪いところとか、そういうのを埋める意識はしてます。あとは、最近はキックボクシングだけをやってたわけじゃなかったんですよね。言い訳になっちゃうんですけど、仕事をしながら、子育てもしながらという感じだったので。でも今は家族の協力もあって、格闘技に集中できています。『ラスト1年だから、わがまま聞いてくれ』という感じで、キック最優先にしてもらっています」
──試合も1年近くぶりで、コンディション面ではどうですか?
「しばらくリングから離れていたので、体を休めることはできました。ただ、練習に復帰する時はキツかったですけどね。今はケガも少しずつよくなったりして、調子がいいです」
──あと1年と決めた中で、タイトルもすぐにというわけにはいかないかと思います。その道のりについては?
「与えられた相手を倒していくというだけしかないんですけど、このラスト1年は本当に自分との戦いだなという感覚ですね」
──良太郎戦後もスアレック戦後も、敗戦後に一度は去就を考えたわけですよね。そこからまた自分を奮い立たせるまでには、どういう思いがありましたか?
「今の仕事はパーソナルトレーナーなので、それも含めてキックにしか関わってきてないんですよね。だから『これがなくなったら、何も残らないな』というのもあるし、好きで続けてきて18年目になるので、いい時も悪い時もあるんですけど、だいたいみんな、潰れてやめていくじゃないですか。そうはなりたくないなと思いながらも、思い通りにいかなすぎたというか、歯がゆさも悔しさもあったんですよね。だから体もしっかり仕上げて、自分自身に言い訳できないようにして、ラストの挑戦をしようと思いました」
──その中で今回の漁鬼戦は、どういう試合にしたいですか?
「もちろん勝ちが一番ですけど、プロである以上は魅せる試合をしないとですね。勝っても『つまんなかったよ』って言われたら、一番面白くないんで。記録も大事ですけど、記憶に残る試合をやりたいですね」
──「負けたけどいい試合だったよ」でもなく。
「はい。勝って盛り上げたいですね。今回の漁鬼選手はそれができる相手だと思いますし。「渡部太基・最終章」なので、気合い入れていきます」
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「今回というよりこの1年という感じなんですけど、いい時も悪い時もずっと応援してくれた人たちに感謝の思いを込めて、面白い試合を届けたいと思っているので、注目していてもらえたらと思います」