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【ONE】交わらない思想と階級が日本で交錯──平田樹「自分しか見ていない。いい仕事をしたい」×三浦彩佳「まぐれじゃないことを証明する。勝つのは私」=1月28日(日)有明アリーナ

2023/12/19 10:12
 2024年1月28日(日)に東京・有明アリーナで開催される『ONE165 Rodtang vs. Takeru』の追加カード発表会見が12月18日、都内にて行われた。  MMA女子アトム級で、平田樹(フリー)と三浦彩佳(TRIBE TOKYO MMA)による日本人女子対決が決定。  平田は2023年3月のアトム級戦でハム・ソヒに判定負けからの再起戦。三浦は2023年11月のストロー級戦で中国のメン・ボーを1R あやかロックで極めて一本勝ち。今回は階級を落として、平田との日本人対決に臨む。 ▼ONE女子アトム級(※52.2kg)5分3R平田 樹(日本/フリー)6勝2敗三浦彩佳(日本/TRIBE TOKYO MMA)12勝5敗 ※元ストロー級王座挑戦者  2019年10月の両国国技館大会で、リカ・イシゲを2R 腕十字で下している平田は、ONEとしては4年3カ月ぶりのホームカムバックに、「日本大会は沢山の人が応援に来てくれると思うし、みんなと一緒に戦えるのはすごく嬉しいです。前回の日本大会でも日本の言葉で応援してもらって、それを“浴びれる”のはすごく嬉しい。しっかりお客様を集めて、盛り上げたらいいなと思います」と日本大会出場を語った。  一方の三浦は、「“ほんとうにこのカードが組まれるんだな”というのが正直な感想ですね。そもそも平田選手はアトム級なので、私はストロー級でずっとやっていくつもりだったんで、このカードが組まれると思ってなかったですし、対戦相手という目線で平田選手を見てなかった。  ただ、私自身、ONEの日本大会に出るのは初めてで、ファンの皆様や応援してくださる方々、たくさんの仲間たち、家族が来てくれる前で試合が出来ることはすごく嬉しいです」と、ホーム凱旋を喜びながらも、当初は戸惑いがあったことを明かした。  平田は、三浦との階級を越えた日本人対決について、「『やれ』って言われて、『はい、やります』みたいな感じで。煽りですか? みんな注目しているので……頑張ります」と淡々と語りながらも、トラッシュトークを求める声に「(いまは)無いです。自分しか見ていないので」と、緊張感を漂わせた。  前回の会見でチャトリ・シットヨートンCEOが「日本のファンは、日本人選手の試合を望む」と語っていた通り、ONEとABEMA主導により決定したこのカード。  再起を日本で賭ける平田は、「しっかり“いい仕事”をしたいと思います。女子の試合が組まれたし、日本人対決でもあるし、ONEからのオファーで“やれ”ということだったので“盛り上げろ”という、ONEからの意志なのかなと思っています。しっかり数字を取って、お客さんを集められるように頑張ります」と語ると、日本人同士で戦うやりにくさについて問われ、「特にない。やれと言われたらやります」と腹が決まっていることを示した。  日本人選手との前戦は、コロナ禍のなか、2021年2月の『Road to ONE』渋谷大会で中村未来を2R TKOに下しており、ABEMAの『格闘代理戦争』時代も無敗。アトム級での黒星は、ジヒン・ラズワン戦とハム・ソヒ戦のみで、いずれも判定負け。一本負け・TKO負けが無いのが平田の戦績だ。  対する三浦は、日本人選手とのMMAの試合は、2016年11月のDEEP JEWELS以来、7年2カ月ぶり。「国内で試合をしていたときも、海外選手との試合が多かったので、久々の“日本人対決”ですが、試合では関係ない」と、覚悟を決めている。 [nextpage] 平田「ここに戻って来るということは、それだけ好きなこと」、三浦「二階級制覇も視野に」  階級を合わせるのは、三浦だ。ストロー級で王者ション・ジンナンへの再挑戦を目指していたが、今回のアトム級もあわせて二階級制覇を新たな目標に掲げている。 「アトム級ということで階級を落とすので、これは私にとって新たな挑戦になります。二階級制覇も視野に入れています。可能性を広げるチャンスを与えてくれたONEに感謝しています」  ハイドレーションテストがあることで基本水抜き禁止で、ユニファイドより1階級上のリミットとなるONEストロー級の56.7kgから、ONEアトム級の52.2kgへ。  難しい減量が待っている三浦だが、「コンディションはすごくいいです。ONEストロー級の時は常にアンダーで、もともと日本では52.2kgでやっていたんですけど、ONEでは水抜き無しでアトムに落とすので、いつも以上に細かく相談していて、いま“過去イチ”かなというくらいコンディションはすごく良くて、心身整っている感じなので来月が楽しみです」と、すでにアトム級の身体作りに手ごたえを得ている。  対する平田は、階級を落としてくる相手との試合当日のフィジカル差も懸念されるが、「フィジカルトレーニングをメッチャやるということは無く、いつも通りの試合までのコンディショニングでやっていくと思います」と、自身の強みであるスピードやキレを重視して試合に臨むという。  両者の前戦は、明暗を分けている。  平田は、3月に元UFCでRIZIN&ROAD FC王者にも輝いたハム・ソヒに判定負け。 「その期間、結構、落ち込むこともあったし、逆に何も考えないときもあったんですけど、やっぱりここに戻って来るということは、それだけ好きなことだと思っているんで、しっかり1月もそのハッピーな姿をみんなに見せられたらいいなと思います」と、敗戦を経てファイターとして生きる思いを再確認して、日本大会に臨む。  対する三浦は、グラップリングルールで専門職のダニエル・ケリーを苦しめ、11月のストロー級戦では、中国のメン・ボーを初回で“裏あやかロック”で極めてタップを奪った。  フィニッシュ力の向上を、「普段やっているトレーニングがやっと身体に染み付いてきた。トレーナーの堀江登志幸さんのご指導と長南亮(TRIBE代表)さんの気合いとチームの人たちからいろんなアドバイスをいただいているおかげで、試合に向かう精神力も出来ているのが、攻めに繋がっているのかもしれません。代表とチームの仲間を信じて突き進むだけです」と、充実の練習環境にあるという。  そんな三浦を平田は、「相手の印象……全然、やると思っていなかったので、試合が組まれたときは“はい、やります”という感じだったんですけど、しっかりいい試合をして、自分のいい仕事が出来たらと思うし、それを終わってまた普通に格闘技をやって“充実した生活”が出来たらと思います」と、Android 18のごとく表情を変えずに印象は語らず。自分次第だとした。  対する三浦も、「階級が違って対戦相手の目線で平田選手を見てなかったので、本当にいちONEの選手として頑張って欲しいなっていう風に見てましたし、こう対戦するとなって、感慨深いというか、いまは精一杯、試合をしたいと思っています」と、試合の印象は語らず。一方で、「すごく魅力的な選手だと思います。私は平田選手と試合をする・しない関係なく、私には無い、“カッコイイな”と思いながら、自分を表現するのが上手だなって──私いつもすぐ泣いちゃうので。素敵な人だなと思います」と性格の違いを語った。「久々の日本大会に出ることが決まりました。ずっと負けていたんですけど、この前(メン・ボー戦で)、久々に勝てて、それがまぐれではないというのを証明したい。この試合に集中していますが、私はアトム級でもストロー級でもチャンピオンになれると信じて、いま練習しています。皆さんの応援が力になります。ぜひ会場に来て応援に来てください。日本大会なのでたくさんの人に会場に来ていただけたら嬉しいです」と、階級を越えた平田との戦いで連勝し、実力を証明したいと語った三浦。会見後のSNSでは「勝つのは私! I'm zombie this is me!!!!!!!!」と投稿した。  最後に平田は「久々の日本大会ですごくワクワクしていますし、家族もサポーターの皆さんも観に来れると思うのではやくチケットとPPVを買わないと無くなっちゃうので、ぜひ応援をよろしくお願いします」と“らしく”語っている。  互いに柔道ベースで、強味は似ているが、異なる格闘技への思いがある。三浦の必殺のあやかロックへのアプローチは、平田にとっても得意な形だ。それでもかかるのが必殺技とするなら、それを極めるためには、苦手としてきた打撃で立ち会う時間も出て来る。そこでは、国内外で磨いてきた平田のスタンド力が試される。そして柔道技以外のテイクダウン、グラウンド打撃も。  セコンドとともに勝っても負けても泣く三浦と、勝利のダンスの発露と孤高の苦悩は表には出さない平田。互いにいかに格闘技に向き合ってきたか、どう向き合うかが試される──アトム級の日本人対決だ。
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