エレベーションファイトチームでの練習以降、「試合と練習を近づけること」を意識してきた
【写真】コーリー・サンドヘーゲンと練習する平良達郎 @tatsurotaira
──しっかりコントロールするなかで、堂々のフィニッシュ宣言ですね。出稽古先のコロラドのエレベーションファイトチームでヘルナンデス選手を知る選手(チェペ・マリスカル)にアドバイスももらってきたそうですが、そうやって外から得てきたものを帰国後はどのように沖縄での練習に組み込んだり、松根さんたちと共有して組み立ててきましたか?
「練習方法の話で言うと、向こうではコーチが仕切って、セミナーのような形で最初にテクニックのクラスがあり、それからスパーリングのクラスがあったりという感じなのですが、そういうメニューを自分で組み立てなくてはいけないので、“どういう練習が必要か”を考えて、向こうで学んできた使えそうなことをやっていました。向こうで習ってきたものを頭で整理することと、この試合について必要な武器について“自分には何が必要なのか”ということをすごく考える時間が多くなってきた気がします」
──具体的にどういう点を課題として取り組んできましたか?
「試合と練習を近づけるということと、あとはあまりしてこなかったパウンドのイメージなども、スパーリングでも、押さえて一本という展開のなかでもしっかりとパウンドを混ぜて相手にダメージを与えてポイントを取ることなども意識して練習していました」
──しっかりポイントを取るというお話で、先ほども前回のエドガー・チャイレス戦での反省点をご自身で挙げていたとおり、ユナニマス判定勝利ではありましたが、危ない場面があり、スコアを見ると3Rは相手に取られていました。今回のヘルナンデス戦に向けてという意味でも、ああいう「ヒヤッと」させられる場面が命取りになることがあると思います。前戦で平良選手のなかで思うようにいかなかった部分をきっちり修正してきた感じでしょうか。
「そうですね、そういうところには向き合ってきました。自分にはちょっと“譲る”というか、相手にやらせて最終的には自分の流れにするというヘンな癖があるので、しっかり手前で対処するとか、松根さんたちとも話し合って、“相手が落ち着く時間を減らす”ということを意識してやってきました」
──そういった成長を踏まえて、どんな試合を見せたいと思っていますか?
「……(真顔で)見ている人たちからは、この試合が終わったあと、『平良に早く上位ランカーとやらせろ!』という暴動が起きると思いますね」
──暴動というのは物騒ですが(笑)、それだけの試合を見せてやろうという意欲が伝わってきました。
「そうですね。今回ここで勝てなければブレーキがかかってしまいますし、ずっと上に行くためには落とせない試合というのが続いていくので、しっかり勝って、“平良とこの選手がやったらどうなるんだろう?”と、見ている人たちがわくわくするような、幻想を抱かせる試合をしたいです」
──ところで、今回で5戦目となります。改めてこのUFCという舞台で戦うということとは?
「僕が憧れていた場所で戦えている幸せというものを感じます。今日もUFC PI(パフォーマンス・インスティテュート)で練習してきて、何度訪れてもすごい施設だと思いますし、そこにある湯船に浸かりながら『UFC』というロゴを眺めて、“ああ、素晴らしい……!”と思っていました(笑)。UFCで戦えていることに感謝をしながら、日本を背負って戦おうと思っています。毎回毎回“ここがUFCだ!”って思いますよね」
──そうしてUFCで試合を重ねてきて、ご自身の無敗記録の更新はもちろん、日本人選手で「5連勝」というのは水垣偉弥さんの記録とも並びます。さらに現在はフライ級でのランク入りも見据えているというなかで、1試合ごとの重みが増していますか。
「水垣さんとは戦っている相手も違いますので数字だけをとってどうこうは言えないですが、自分自身はベルトを獲るために、ランク入りをして順位もどんどん早く上げていかなくてはいけないですし、本当に、タイトルに早く近づきたいという焦りを感じています。なので、できるだけ早くどんどんランカー達とやっていきたいという欲が高まっている感じです」