2023年11月4日(土)にタイ・バンコクのルンピニー・スタジアムで開催される『ONE FIGHT NIGHT 16』の「ウェルター級サブミッション・グラップリング世界タイトルマッチ」(12分1R)で、マゴメド・アブドゥルカディロフ(ロシア)と対戦する、タイ・ルオトロ(米国)が試合前の公式インタビューに答えた。
ライト級サブミッション・グラップリング王者ケイド・ルオトロの兄タイ・ルオトロは、史上最年少のIBJJF黒帯世界王者にして、2019年のADCC世界選手権で16歳の最年少で準決勝進出。2022年のADCC世界選手権で銅メダリストとなった。
ONEサブミッションではゲイリー・トノンにダースチョーク、マラット・ガフロフにリストロックで一本勝ち。2023年5月にMMAミドル級&ライトヘビー級MMA王者のライニアー・デ・リダーに判定勝ち。2023年8月の前戦では、81.6kg契約でダギ・アサラナリエフと対戦。1R 2分39秒、ヒールフックでダギを極めている。
対するアブドゥルカディロフはダゲスタン出身。世界レスリング連盟(UWW)の世界グラップリング王者に何度も輝き、ADCC欧州選手権を制覇したこともある。
今回、ウェルター級王座を賭けて戦うタイ・ルオトロは、「ベルトを意識していないと言ったら嘘になるけど、そういうことを遮断し、目の前のことに集中することが自分のやるべき態度。なぜなら僕はベルトと戦うわけでなく、マゴメドと戦うのだから。タイトル戦がプレッシャーになっているのは確かだけど、僕と弟はそのプレッシャーに常に向き合ってきたから、跳ね除けるのも得意なんだ。あとはやるべきことをやるだけだ」と語った。
僕が万全の準備をしていれば、相手が勝つ可能性はゼロだ
──対戦相手アブドゥルカディロフの印象を教えてください。
「最初にオファーを受けた時、正直、名前を知らなかった。でも調べたら、名前を知らなかっただけで、彼の実績は昔からチェックしていたんだ。彼はタフで攻撃的な選手、強敵だ。最近あまり出てきていないので、柔術界ではそれほど広く知られてはいないが、彼はミカ・ガウヴァンなどの有名選手に勝った実績を持っている。試合巧者で、この戦いはかなり厳しいものになると覚悟している。相手を過小評価はしていない」
──今回の試合、柔術界の下馬評ではあなたが圧倒的に有利ですが、そのことはプレッシャーになりますか。
「柔術界の期待と言う点で僕は常にプレッシャーを感じている。僕と弟はオムツを履いていた3歳の頃から柔術をやっていて、その頃からハイレベルな選手たちから教わってきた。それは本当にラッキーだったし、感謝しかない。自分が持っている柔術の真の力を見せたい。今回の試合はそれがすべてだ。だから、多少のプレッシャーはあるが、それが大好きだ。そのために生きているし、それが僕の成長なんだ。そういう人生を選んだ。だから、最高のパフォーマンスを見せる準備はできている」
──アブドゥルカディロフのグラップリグをどう分析しますか?
「何でもできるタイプだ。ダゲスタン出身の高いレスリング技術を披露してくれるに違いない。パスガードも上手いし、柔術の技術もある。様々な技術に精通しているから、ミスは少ないタイプだ。極めるチャンスを見つけるのは簡単ではないと思うが、僕と弟は17年間トレーニングをやってきた。チャンスを見つけるのは得意。もしできないとしたら、それはやるべきことを全部できなかったという意味になる。自分の準備が万全であれば、相手が勝つ可能性はゼロだ。絶対に」
──いつもはテイクダウンで先手を奪いますが、今回もその戦い方になりそうでしょうか。それともクリエイティブな方法でマットに持ち込みますか。
「いつも通りそこから始めるつもりだ。何があろうと、僕の戦い方は真っ向勝負だ。お互いの角を突き合うんだ。自分のゲームプランは変えない。いつもそうだ。ただ、向かっていくだけ。僕は試合の半分はメンタルでの戦いだと思っている。角を突き合わせて真っ向から勝負するのが僕の戦い方だ。最初から間違いなく激しい戦いになるだろう。彼のレスリング技術は高い。僕のレスリングはこの4年間で間違いなく上達したし、今回の試合でそれを試したい」
──相手の武器で警戒しているものは?
「彼のキムラ(ロック)は素晴らしい。『問題がないなら余計なことはするな』と言う言葉があるが、彼の戦い方はまさにそれを体現している。彼の戦いは無駄がなく、ミスをしないし、やることを上手く機能させている。とても効果的な動きだ。ただ、僕が気付けない動きは彼にはないから、僕は自分のチャンスを見つけて、必要なタイミングで行くだけだ。
もちろん彼が堅実なプレーヤーであることは間違いない。隙を見つけるのはそう簡単にはいかないだろうけれど、自分もケイドも17年間トレーニングしているんだ。だから、隙を見つけるのは得意だし、見つけられるはずだ。もしそれができなかったら、ちゃんとやるべきことをやってない、ということなんだ。僕が万全の準備をしていれば、相手が勝つ可能性はゼロだと思っている。それはあり得ないことだ」
──理想とする勝利の方法は?
「以前はダースチョークやバギーチョークなど特定の技で極めることを意識していたが、今はどんな技であれ極めるということだけに集中している。でも、ヒールフックは例外だ。理由はないが、あれは好きじゃない。それで勝っても何かしっくりしないんだ。だからチョーク系を狙う。それで勝利した方がずっと嬉しい。だから、今回も相手の足への攻撃はあまり考えてなく、首を獲りに行きたい。」
──なぜヒールフックが好きではないのでしょうか。
「完全に個人的な経験だけど、よくは分からない。ヒールフック自体に恨みはない。ただ、15歳の頃、ADCCの大会に出場した時、戦う度にレッグロックを仕掛けられた。足を引きずりながら試合を終え、足首とヒザが酷かった。その時“ヒールフックは嫌いだ”と思ったことを覚えている。もちろん、技術なので学ばなければいけないし、成長しないといけないのは分かっている」
──今回がタイトル戦ということでのプレッシャーはありますか。
「そこを意識していないと言ったら嘘になる。人それぞれだと思うけど、自分の考えでは、そういうことを遮断し、目の前のことに集中することが自分のやるべき態度だと思っている。だって僕はベルトと戦うわけでなく、マゴメドと戦うのだから。1日の終わりには、夜はそこに意識を集中させる。もちろん、タイトル戦がプレッシャーになっているのは確かだけど、僕と弟はそのプレッシャーに常に向き合ってきたから、跳ね除けるのも得意なんだ。あとはやるべきことをやるだけだ」