フェザー級で戻って来る。俺をいつも忙してしてくれ
前述の通り、アレクサンダー・ヴォルカノフスキーはラグビーリーグの選手から、MMAに転向し、2012年から7年をかけて王者マックス・ホロウェイを撃破。豪州出身者として初となるUFC世界フェザー級王座獲得に成功した。その対戦者のなかには日本の矢地祐介、粕谷優介、廣田瑞人も含まれる。
今回、緊急参戦で「ライト級」王座に2度目の挑戦を試み、敗れた。
試合前のインタビューで彼は「すべての試合、勝ったものからも学びがあって、勝利した試合でもやっぱり間違いというものは必ずどこかに見つかるものだ。いわんや、負けた試合だったらなおさら学ぶべきことは山積みで、実際に試合で起きていたことはテクニックそのもの以上のものがあるというか、そこのディテールが見えてくる。
なぜ上手くいかなかった? 逆になぜ上手くいったか──そこには小っちゃな小っちゃな戦いがたくさんあって、ミリメートルのほんの刹那で何かが変わる世界でやっているから、その詳細を紐解いていくようなことをしてるんだ。チェスの対戦のような頭脳戦で、自分はこの一手を打つとなると、じゃあ相手の動きは次はどうだ? ということをやり、その理解と、己の筋肉のメモリーというのを照らしわせる──そういう作業の繰り返しだ」と、勝因も敗因も検証して、身体の動きで確認するとしていた。
そして試合後、ケージのなかでヴォルカノフスキーは、こう語っている。
「(傷を指して)見ろよ? UFCにひとつ言いたいのは、俺をいつも忙してしてくれ、ということだ。自分は戦っていないと調子が良くないんだ。家にじっとしていずに、ジムでトレーニングして働いてないと頭が働かないからこの試合を受けた。だから忙しくしてくれ、次は1月にでも試合をしたい。傷も治療をしておく。(自身の階級の)フェザー級で戻って来るよ。いまここでやるべきはやったよね。それしか言うことはない。故郷のみんなありがとう。僕は元気だ。毎朝、感謝している。アブダビはいつもいい場所だ。もっといいショーを見せたかった」
フェザー級に戻り、早期復帰を望んだヴォルカノフスキー。アブダビ大会前には、2024年1月20日の『UFC 297』カナダ・トロント大会で、MMA14戦無敗・フェザー級5位の挑戦者イリア・トプリア(ジョージア)を相手にフェザー級王座6度目の王座防衛戦の可能性も報道されていたが、TKO負けから3カ月。60日間のメディカル・サスペンションを経て、再び減量して万全の状態に戻せるか。