MMA
インタビュー

【UFC】豪州帰国のヴォルカノフスキーを「ウォークライ」が出迎え。“もうひとつのラグビー”からUFC世界王者に

2023/10/25 12:10

ラグビーリーグにはレスリングの要素が入っている

──ヴォルカノフスキー選手は、2歳の頃に始めたレスリングで、わずか1年ほどで国内王者になったのですよね。

「そう、グレコローマンさ。間違いなく僕の強靭さを作ってくれた要素のひとつだ」

──その後14歳からラグビーに転向されたとのことですが、その理由は?

「僕は12歳の頃にはもう今と同じくらいの背があって、同時にすごくがっしりした体格だったんだ。だからレスリングでは自分より2、3歳は年上の子供と当てられていたんだ。体重が同じとはいえ、子供にとっては大きな差だ。それでも僕は堂々と戦い、ほとんど負けることはなかった。“負けるだろう”と思われている試合ばかりだったけどね」

──アンダードッグだったと。

「常にね。それも今の僕を形成する大きな要素のひとつだ。いつだって“アンダードッグ”として、自分より大きい人間との戦いを経験してきた」

──現在もあなたの身長は、フェザー級としては相当小さいですよね。ましてやライト級では……。

「ラグビーでもそうだよ。168cmの僕が、190cm、130kgの相手とぶつかり合ってきた。フォワードの一番前だったからね。普通は“いてはならない場所”で常に渡り合ったのは、ただ友人たちと一緒にやりたかったというのが大きいよ。競技としても大好きだったしね。あともうひとつ、これもよく言うんだよ。僕がレスリングを止めたのは、もうあのタイツを着用したくなかったからだってね」

──なるほど(笑)。

「そして豪州ではレスリングはそれほど盛んではなかったんだよ。だから友人たちと別のものを追い求めたくて、ラグビーリーグを始めたんだ」

──ここでひとつ確認させてください。あなたがされたラグビーリーグというのは、豪州で特に盛んな13人制のものであり、日本で一般的にラグビーとして知られている15人制の競技──区別のためにラグビー・ユニオンとも呼ばれます──とは異なるのですよね。

「その通りだよ」

──ルールもいろいろと異なっていて、あなたのラグビーリーグの方では、相手をタックルで倒した後、レフェリーのコールがあるまでの数秒間相手を抑え込むこともあるし、逆に抑えられた方は少しでも早く立とうとします。そのためあなたのラグビー・リーグのスタイルの方が、国際的に盛んな15人制ラグビー・ユニオンのスタイルよりもレスリングやMMAに近いのではないですか?

「イエス! もちろんラグビーに必要なタフネス、強靭さ、ハードなコンタクトは全てMMAに通じるものだよ。でもそれだけでなく、ラグビーリーグの方にはレスリングの要素が入っているんだ。君が言ってくれたことに関して、興味深い話があるよ。僕らはちょうどうちの地元を代表するラグビーリーグのプロチームであるイラワラ・ドラゴンズの選手達にレスリングを教えてるんだ」

──!!

「僕とコーチのジョー・ロペスの2人でね。ドラゴンズは豪州のナショナルリーグで戦う、真のトップチームだ。レスリングはラグビーリーグにおいて重要だよ。特にディフェンスは相手を捕まえ、制して上になり、動きを止める必要がある。自分がいい体勢を取れたときに、相手をいかにコントロールするかを熟知する必要があるんだ」

──レスリングの中でも、ラグビーで特に重要なのはあなたがやられていたグレコローマンスタイルの方ですよね。上半身に組みついて、相手が持っているボールごとコントロールする必要がある。もし、フリースタイルレスリングのようにダブルレッグやシングルレッグを相手に仕掛けたら……。

「相手はボールをパスできるし、またすぐに立ち上がってプレイ・ザ・ボール(攻撃側の倒された選手が立ち上がって、ボールを後ろに蹴って味方に回すというラグビーリーグ独自の動き)することもできるよね。だからラグビーリーグでは、上半身に組みついてボールごと抑えてテイクダウンする必要があるし、その後も相手がすぐにプレイ・ザ・ボールできないように抑え付ける必要があるんだ」

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